2009年4月4日(土)
藍染め
伝統と因習×8
黒船がやってきたとき、彼らは、日本人の衣服の殆どが青であること見て驚いた。
とはあまり有名な話ではありませんが、日本人は藍色が好きです。
藍色が好きというよりは、藍の効果もあるのかと思います。
日本人の黄色い肌に合うとか、虫がつかないとか。
藍とは、色素を含んだ草から作られる染色液です。
一口に藍と言っても、種類にはいくつかあって、本州ではタデ科の蓼藍(たであい)、沖縄ではキツネノゴマ科の琉球藍、それより南はマメ科の印度藍から藍の元ができます。
日本で本藍と呼ばれるものは、タデ科の藍、です。
藍は徳島産のものが一番質がよく、出荷のシェアも決まっているそうです。
さて、藍は、生の葉そのままでは使いものになりません。実際に染めることは出来るそうですが、すぐかすれて消えてしまう繊細さを残しています。
それを永く堅牢に残すために、収穫した葉をまず乾燥させ、それを集めて水をくわえて蒸し、発酵させて<すくも>というものにします。
<すくも>そのものは、変なにおいもする、カビの生えたウーロン茶葉のようです。
これが藍色のもとになるの?
と、驚いたことがあります。
実際に染めるためには、保存してあった<すくも>をアルカリ性溶液に溶かし、発酵を進めてやり、その液体に、藍の花(表面に泡が立つ状態)が咲くまで待ちます。
アルカリに溶かすのは、含有された色がその中でしか発色しないからだそうです。
藍の花が咲けば染色が出来ます。
染色するものとしては糸や布です。あらかじめ水に浸してから藍甕に沈めます。
布は染め上がれば仕立てて着ることができます。
絣模様を織りで出すようにしたのは江戸も終わりのころで、それ以前は藍木綿と言えば模様も何もない一色のものでした。
庶民に唯一許されていた奇麗な色。しかし付ければすぐにあの色になると思ったら大間違い。これで藍色までにもっていくのは意外と難しいのです。
絹の場合ですと、一度目の染では甕覗き<かめのぞき>というごくごく薄い色にしかなりません。
8回くらい染めたり乾かしたりをしてようやくジャパンブルーくらいになるはずです。
だから染めの回数でいろいろな段階の色があります。
水色、花色、花田色、納戸色、黒に近い勝色、全て藍から出来る色です。
木綿ですと、意外と染まりやすいようではありますが、何度も色を付けなければやはり濃い色にはなりません。
藍染体験をしたときに、一時間藍甕に着けたハンカチの色は透明感のある濃い目の青色と言った感じで、売っているものと同じような、どしっと深い色ではありません。
絹の場合ですと、染めた糸を長い棒にくくりつけ床に叩きつけて、「糸の中にまで色が入るようにしている」ところもあります。
藍甕の中は黒褐色という色ですが、綺麗なブルーになるのは、不思議なことです。
先人の智慧に拍手喝采せずにはいられませんです。
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