2009915(火)

一行のメール

身内×11

最近、十勝は帯広にすむ私の両親が携帯電話を持った。

70を過ぎて、【何が起こるかわからない】ようになってきたので、緊急用に買ったのだという。

緊急用なら電話機能だけにしておけばいいのに、両親はなぜかメールもできるようにした。

母はメールに興味がないのか、面倒くさがりなのか、電話ばっかりなのだが、父は、【画像が送れる】ことに非常に興味を持っていたらしく、たまにメールをくれる。

最初は、挨拶だけ。

そのうち、子供(彼らの孫)の名前が入った。
元気にしているか、という内容ではなく、いきなり子供の名前だけが書いてあるので、顔を見たいのかと思い、画像を付けて返信する。

翌日、返事が帰ってくる。
同じ内容で2回も帰ってくる。

いや正確にいえば、一回目のは、「写真見たよ」だけで、二回目は、その画像の説明を入れて、写真見たよ、と返してくる。

微妙な間合いと、その画像の説明のしかたが、非常におかしくてくすっと笑ってしまう。

今日は長いメールが来た。

40文字くらいのメールなのだけど、句読点も改行もなく、成績を付けたとしたら、【丙(へい)】(←彼らの時代に習ってみました)だなあ~と思ったけど、あのごつい指で、少しづつ衰える運動機能を使ってがんばって打ったんだなあ、と思ったら、そのメールが愛おしかった。


・・・仲の悪い親子で、若いころはろくに口も聞かなかった。いや聞きたかったけど、聞けなかった。
私が学校や仕事から帰ってくると、先に帰ってきた父は、いつも酔っ払って、気持ちを荒らしていたから。

そんな気持ちの荒れた父とまともな会話など成り立たなかった。

酒によった父は、家族の誰もがまともに声すらだせないほどに厭う存在で、酔っていなくても、その恐ろしさが頭にこびりついて、私は毎日おびえて暮らした。

遠くに嫁いだのも、そういった原因が多分にある。


でも、メールから見る父は優しい。
顔をこわばらせて、怖い顔で打っているのだろうけど、かけてくる言葉は優しかった。

おとうさん、ありがとう。

またメール頂戴ね。






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