20101030(土)

往生

身内×11

お祝いの席でみんなが集まって、和やかに話をしている時、ふと母が私の耳元で言った。

「ばあちゃん、こないだ死んだよ」

ばあちゃんとは、私の祖母である。連絡が来ず、亡くなったことも、葬式がすでに終わったことも知らなかった。


ハレー彗星の尾の中を地球が通過するので、地球が滅ぶという騒乱のあった年に生まれ、2回の世界大戦を体験し、満州で子供をそだて、夫を戦争でなくし、それでも彼女は生き延びた。
働き盛りは戦後の混乱の中で、その時代に血縁が寄り集まるかのようにして、たくさんの子供を育てた。

子供が成長した後には、一人寂しくなったのか、新しく結婚をした。私はずいぶん幼かったから知らないけれど、その人の身内の借金の保証人になってしまったために、爪に火をともすような生活を続けていた。

それでいて、いつも住まいを整え、クンシランを育て。
つましい生活の中でもきちんとお金を蓄え、年老いてもなお学ぶことをし続けた。

働く母の代わりに、幼い私の面倒を見た。
厳しく強い人だった。
優しくいとしい人だった。

激動の時代に翻弄されつづけて、その時代の流れに逆らわず、それでも真面目に生きて、100年。

御年100歳と4日。
眠るように穏やかに亡くなった。






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