伝統と因習(8)


2009412(日)

白い着物。


中学校と小学校の同日ダブル入学式を迎えて装った格好はこのとおりでした。

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卒業式と変わって、白い着物。

前回は二藍(紫の別名、紅は呉藍ということであり、藍と同じ単語を使っていた時期があった。そのため二藍(ふたあい)とも呼ばれる)の着物でしたが、今回はこちらにしました。

半衿は、黒。

ですから帯締め帯揚げなどの小物も黒にしました。

以前まで黒は喪服のものというイメージがありましたが、今はおしゃれ用のがあるので、幅が広がってありがたいです。

後ろはこんな感じ。

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本当は帯もこないだしめた鉄さび色にしたかったのですが、柄付けが椿で、ちょっと季節から遠く外れるので、季節を感じないものに変えました。
色味は同じなので、合わせる着物によって帯が同じでも面白いということがわかっていただけたらと思います。

さて、今回の着物で一番の驚きはといえば、この着物、実は木綿なんです。

薩摩絣なのですが、細い細い、木綿糸を使って絹とおなじような手触りを(といっても幾分木綿の硬さはありますが)作っています。

普通、日本で取れる木綿は糸が太めなので、ざっくりとした風合いにあってしまうのですが、インドなどの木綿は繊維が細いので、こういうものが出来たりできるのです。

着物も実はワールドワイドなんですよ~。



200944(土)

藍染め


藍染め

黒船がやってきたとき、彼らは、日本人の衣服の殆どが青であること見て驚いた。

とはあまり有名な話ではありませんが、日本人は藍色が好きです。
藍色が好きというよりは、藍の効果もあるのかと思います。

日本人の黄色い肌に合うとか、虫がつかないとか。

藍とは、色素を含んだ草から作られる染色液です。
一口に藍と言っても、種類にはいくつかあって、本州ではタデ科の蓼藍(たであい)、沖縄ではキツネノゴマ科の琉球藍、それより南はマメ科の印度藍から藍の元ができます。
日本で本藍と呼ばれるものは、タデ科の藍、です。
藍は徳島産のものが一番質がよく、出荷のシェアも決まっているそうです。

さて、藍は、生の葉そのままでは使いものになりません。実際に染めることは出来るそうですが、すぐかすれて消えてしまう繊細さを残しています。
それを永く堅牢に残すために、収穫した葉をまず乾燥させ、それを集めて水をくわえて蒸し、発酵させて<すくも>というものにします。

<すくも>そのものは、変なにおいもする、カビの生えたウーロン茶葉のようです。

これが藍色のもとになるの?
と、驚いたことがあります。

実際に染めるためには、保存してあった<すくも>をアルカリ性溶液に溶かし、発酵を進めてやり、その液体に、藍の花(表面に泡が立つ状態)が咲くまで待ちます。
アルカリに溶かすのは、含有された色がその中でしか発色しないからだそうです。
藍の花が咲けば染色が出来ます。

染色するものとしては糸や布です。あらかじめ水に浸してから藍甕に沈めます。
布は染め上がれば仕立てて着ることができます。
絣模様を織りで出すようにしたのは江戸も終わりのころで、それ以前は藍木綿と言えば模様も何もない一色のものでした。

庶民に唯一許されていた奇麗な色。しかし付ければすぐにあの色になると思ったら大間違い。これで藍色までにもっていくのは意外と難しいのです。

絹の場合ですと、一度目の染では甕覗き<かめのぞき>というごくごく薄い色にしかなりません。
8回くらい染めたり乾かしたりをしてようやくジャパンブルーくらいになるはずです。
だから染めの回数でいろいろな段階の色があります。

水色、花色、花田色、納戸色、黒に近い勝色、全て藍から出来る色です。

木綿ですと、意外と染まりやすいようではありますが、何度も色を付けなければやはり濃い色にはなりません。

藍染体験をしたときに、一時間藍甕に着けたハンカチの色は透明感のある濃い目の青色と言った感じで、売っているものと同じような、どしっと深い色ではありません。

絹の場合ですと、染めた糸を長い棒にくくりつけ床に叩きつけて、「糸の中にまで色が入るようにしている」ところもあります。

藍甕の中は黒褐色という色ですが、綺麗なブルーになるのは、不思議なことです。

先人の智慧に拍手喝采せずにはいられませんです。



2009324(火)

着物ひとつに帯三本


「着物ひとつに帯三本」。

一枚の着物をとことん生かすには、帯は三本あわせることが出来る、と私は捉えております。

そもそも私が帯広にいる頃、某新聞社主催スクールで、友人と着付けを習ったのが、着物の道への第一歩。
あれから、20年足らず。

単純に着物と言っても、歴史分野もあれば科学分野もあるし、生物学分野もあるし、民俗学も宗教もある。
長さ12メートル、幅35センチ前後の一枚の反物には、それこそ世界中の美術と技巧の業を載せて彩られ・・・。

と。

今日そこまで話しても、ただ難しいだけですね。
そのあたりは、おいおい話していきましょう。

さて。

今年は、実は、私にとって着物を着ることのできる当たり年です。

卒園式、卒業式、入学式二つ。
式服は洋服でも事足りますが、私は必ず着物を着ます。

本当は近所のお通夜にも着物で出席したいくらい。
ひとつ紋のついた色無地の赤みの無いものを、黒い喪の帯で飾っていけばいいのだけど、いまどきそんなことしたら、浮いてしまう。
だって、抹茶、墨桜、紺、紫なんかでもいいのだもの。
知っている人には、なんともなくても、知らない人には度肝を抜く振る舞い。
大人はやっぱりそこはかとなく控えなければいけません。

だからめでたい所には、着物を選ぶのです。
でも、卒園式と卒業式は近く、入学式は同じ日の午前と午後。

着物を使いまわしたほうが、ぜんぜんお得です。

何がお徳かというとメンテナンス。
一枚丸洗いすると、万吹っ飛ぶことがありますから。←滅多にないですが。

で、「着物ひとつに帯三本」にチャレンジ中。

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同じ着物で帯が違うものをポーズも似せてとってみました。
あっモデルが悪いのはどうぞ許して。

黒いほうは、紅型調の名古屋帯。
織り帯ではなく染め帯という、布の上に文様をかいた帯です。
そしてこれは、全通。
全通とは、文様が、切れ目なく続いている帯のことです。
帯揚げ・帯締め、ともに白。

赤いほうは、織りで椿を織り出した、しゃれ袋帯。
留袖に合わせる絢爛な、錦に比べると格はぐっとさがりますが、名古屋帯よりは格上。
こちらはお太鼓柄と言って、後ろのお太鼓のところと、腹側に来るところの2箇所の文様のみ。はっきり言って寂しい帯だといえます。
帯揚げは生成り色、帯締めは桃色。

面白いでしょ?

着物と似た濃い色のせいで黒い帯は同化してすっきりと軽く見え、赤いほうは反対色ともいえるけれど、大人しい柄行と布のつくりのせいで落ち着いて見えます。
色味だけだと、反対のイメージですよね。

帯揚げと帯締めのバリエーションも加えれば、もっと印象も変わると思います。
帯、または着物の中にある1色と同じ色を選ぶのがコツといわれていますが、そんなルール無視しちゃってもいいんです。

実際、赤いほうの帯には、全く色のない桃色を使っていますし。

帯の結び方も一興ですよね。

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名古屋帯は、一重太鼓。袋帯は二重太鼓。
太鼓という、背中にしょってる部分が一枚か二枚かで名前が違うのですが、それだけでもやはり見える印象はずいぶん変わります。

入学式にはどんな取り合わせにしようかな。

着物も変えようかなと思っていましたが、面白くなってきたので、手持ちの中で一番面白い友禅染の帯を使おうかなと思い始めました。

汽車が描かれている、おもいっきりの洒落もの。
それとも、京紅型の橙色の着物を変えて、赤い帯をしようか、緑の古典柄を染め抜いたものを使おうか。

組み合わせを考えるときが一番辛いときでもありますが、一番楽しいときでもあります。



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