2016528(土)

夕刻のころ


夕刻のころ

夕陽を撮りに車を走らせた先は私の生まれ育った場所。


数年ぶりに行ってみる。

通いなれた道は何も変わっていなかった。



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離農した父が手放した所。

以前の姿で残っていたが回りにあった納屋や車庫は取り壊され
畑の真ん中にポツンと実家があった。


南側には大きな山があった。

巨大な山に見えたけれど、今見るとそうでもない。


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用水路も絶対溺れるほどの水の勢いと大きさに圧倒されていたが
ここも今見るとこれで?と思う大きさに変わっていた。

ここに恐る恐る倒れた木をかけて山へ渡り、よく散策した。

冬はジャンプ台を作ってボブスレーで一回転させる
危険な少女だった。


その山から真正面に実家が見える。
2階の左側が私の部屋。
ベランダに物干竿が片方だけひっかかっていた。

高校生の時、よくそこでタバコをすった。
バレているはずなのに両親からは一言も言われなかった。

農家である事が嫌でたまらなかった。
一番大変な職業である事を理解出来た頃には
両親はもういなかった。


最低な娘。



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遠くの山は霞んでいた。

もうすぐ夕暮れ。

別の場所へと移動する。



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ここはどこだろう?と夕陽の見える所へ来た。

刻々と沈んでいく太陽をずっと見ていた。

きっと昔から変わらない景色なのに今気が付くのは
どうしてなのだろう、と思う。



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田んぼに沈んだ夕日の空が映っていた。

まだやってる農家さんっているんだ。



そろそろ、カエルの声が聞こえ始めていた。






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