お客様作品(42)


2012819(日)

試作に終わった、ドイツの人間魚雷・・


試作に終わった、ドイツの人間魚雷・・

久々のホビーコーナーからお客様作品。
I氏製作のドイツ・特殊潜航艇『DelphinⅠ』です。

ドイツは第二次大戦の中、魚雷本体内部を改造し、人が乗れるようにした特殊潜航艇を数多く開発していました。

攻撃方法は潜航艇の下に魚雷を装着、敵地で魚雷を切り離すと言うもの。

しかし初期のものは性能に乏しく、実際にあまり戦果を上げられず、生還率も低いものだったそうです。また、速力も遅く船団などの攻撃には向きませんでした。

そこで開発されたのがこの『DelphinⅠ』。

『DelphineⅠ』は、はじめ、日本の人間魚雷『回天』のように潜航艇そのものに爆弾を取り付け、敵船に体当たりする方式で開発されましたが、後に魚雷を切り離す方式に改められ試作艇が完成しました。

確実に射止めたいという考えから、一度は日本と同じ発想に行き着いたのですね。

I氏は、この『DelphinⅠ』をフルスクラッチ(完全自作)で製作しました。

プラ板積層で削り出し、独特の涙滴型の艇体を再現しています。この潜航艇を1/72スケールキットでそろえたところ、この型式が手に入らないことから自作を決意したとのこと、I氏の創作意欲にはいつも頭が下がります。

ちなみにDelphinとはイルカのこと

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この『DelphinⅠ』は通常潜水艦などに搭載される浮力調整のためのバラスとタンク、すなわち浮沈装置を構造簡素化のために載せなかったため、魚雷同様推進力のみで浮力を得る仕組みでした。そのため一旦発進するとエンジンを止める事は出来なかったそうです。

最終的に、燃料の枯渇によりガソリン機関を使用する『DelphinⅠ』は、試作のみで終わりました。

しかし試作艇の性能はなかなか良かったようで、事実、発展型の『DelphinⅡ』も計画されました。

この潜航艇の開発がもう少し早かったら、大戦中のヨーロッパの海域での新たな脅威になっていたかもしれません。

今日はI氏製作の、フルスクラッチ(完全自作)の、ドイツ特殊潜航艇『DelphinⅠ』を取り上げてみました。


明日、8/20(月)は、当店お休みを頂きます。


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ホビーコーナー・・艦船模型専門のちょっと濃いコーナです。


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海・雑貨コーナー・・マリン雑貨からハワイアンまで、海を感じてください。


企画展『タイタニック展』延長開催決定!

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ご要望の多かったタイタニック号・処女航海100年企画『タイタニック展』の延長開催を決定。5/29(火)から開催しています。

期間:5/29(火)~9月末日

会場:店内企画展示室


入場は無料です。ご興味をお持ちの方は是非ご来場下さい。



船の模型と海雑貨・・STAR SHIP MODELS


店舗情報はこちら→http://www.obnv.com/interior/475外部リンク

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201288(水)

戦艦『大和』・・坊ノ岬沖に沈む


戦艦『大和』・・坊ノ岬沖に沈む

今日は‘やまと’さんの作品、1/700・戦艦『大和』から、戦艦『大和』について・・・。

北緯30度43分 東経128度04分 鹿児島県坊ノ岬沖 345mに沈む戦艦『大和』が完成・就役したのは、太平洋戦争開戦間もない1941年。

史上最大の戦艦として、まさに桁外れのスペックを持った船で、その大きさもさることながら主砲に採用された46cm砲は、射程距離40km以上、その威力も想像できるでしょう。

そんな無敵とも思えるような戦艦も、時代の流れは戦艦同士の砲撃戦から、航空機を使った機動性重視の航空戦力に主役が移っていきます。

大和型戦艦は前半は戦火を交える機会も少なかったようですが、その後数度の交戦で被弾もしばしば、しかし本土への帰還を果たします。

しかし、レイテ沖海戦で浮沈艦とされていた大和型戦艦の姉妹艦・戦艦『武蔵』が5時間の攻防の末撃沈された事を受け、『大和』の乗組員も同じ運命がありうることを悟るのでした。

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作品の46cm主砲、質感もたっぷりです。

各海戦で、多くの船を失いながら残った、大和をはじめとした艦隊も、燃料の枯渇からまともな訓練も出来ぬまま本土停泊を余儀なくされていましたが、その『大和』に出撃命令が下ります。

その命令こそが、「沖縄海上特攻」。
天一号作戦による『大和』の特攻作戦です。

片道燃料を積んで出撃(3往復分を確保していたとされる説もある)した『大和』は、山口県の徳山を後にします。

このときの様子がアメリカ軍の偵察機により撮影され、その写真が最近になって発見されました。。

この作戦での『大和』の役割は、アメリカ軍に上陸された沖縄戦の支援、つまり大和をはじめとする残った艦隊に、攻撃の主体となる米軍機を引き付け日本側の特攻機を守るというもの。

もし幸運にも沖縄へたどり着けた時には、自力で座礁させ、砲台として陸上戦の支援をするというもの。

どちらの内容も『大和』の最後がやってくることを悟らせる、まさに特攻出撃でした。

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艦橋構造物を眺める。雰囲気が出た作品に仕上がっています。

1945年4月7日坊ノ岬沖。アメリカ軍の偵察機による追尾から
爆撃機の襲来、100機以上の航空機の爆弾投下、機銃掃射、魚雷攻撃、へと移るのでした。

攻撃によって生じた火災と爆発で1000mものきのこ雲が上がったそうです。

魚雷が左舷に多数命中したため『大和』は左に大きく傾き、操縦不能に、最後のとどめとなったのは右舷後方への魚雷攻撃。

この攻撃で『大和』は、一気に傾きを増しゆっくりと横転、直後に大爆発を起こし船体を二つにして海に沈んでいったそうです。

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艦尾方向より眺める。艦尾にはあえて艦載機を載せていません。

今も坊ノ岬沖に沈む戦艦『大和』。悲惨な戦争の歴史に消えた船ではありましたが、現代の日本の工業技術の進歩の礎となった遺産でもあり、その艦影は、当時の敵国・アメリカ海軍士官にも「美しかった」と言わせるほどの魔力がありました。

今日は、‘やまと’さんの作品で1/700・戦艦『大和』特攻出撃の姿から、戦艦『大和』のお話でした。

☆夏休みに艦船プラモデルを作ってみませんか?只今STAR SIP工作コーナーでは、キットお買い上げの方に無料で製作指導、工房内での工具貸し出しを行っています。詳しくは店頭でお問い合わせ下さい。

本日・8/8(水)、お休みを頂きましたSTAR SHIP MODELS、明日より通常営業、8/19(日)まで無休で営業いたします。


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企画展『タイタニック展』延長開催決定!

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期間:5/29(火)~9月末日

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2012727(金)

阿波丸事件・沈められた『緑十字船』


阿波丸事件・沈められた『緑十字船』

今日はS氏の作品から、『阿波丸』という船について掘り下げてみます。

この船の名前を検索すると・・『阿波丸事件』という文字に行き当たる。

『阿波丸』はもとは日本郵船所有の貨客船、これが太平洋戦争・戦時において日本の占領下にある敵国捕虜や市民に対しての赤十字援助物資を運ぶと言う任務を帯びる『緑十字船』と呼ばれる船として徴用されていました。

この『緑十字船』とは、連合国側に位置情報を事前に通報することで、戦時下にあっても航海の無事が保障される、病院船と同等の扱いを受ける安導権をもつ安全航海保障船でした。

この『阿波丸』、往路の航海は各寄港地を巡る順調な航海で、攻撃目標となることもなく無事シンガポールへと到着します。

その復路・日本までの航海、『緑十字船』が安全航海を保障された船であること知る邦人は、この『阿波丸』への乗船を求めて殺到するのです・・。

この船に乗れば敵の攻撃におびえることも無く、安全な航海で本土の土を踏める、と誰しもがそう思ったのです。

そして昭和20年(1945年)3月28日、『阿波丸』はシンガポールを後にします。幸運にもこの船への乗船が叶った人々が郷里の土を踏むはずでした。

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しかし、昭和20年(1945年)4月1日台湾海峡に差し掛かった『阿波丸』は、不意打ちを食らうように、アメリカ海軍の潜水艦『クイーン・フィッシュ』の攻撃を受けます。

『阿波丸』は、2000名近い乗船者とともに海の藻屑と消えるのでした。
そのときの生存者は『阿波丸』の司厨員・下田勘太郎ただ一人でした。


その後、安全が保障されているはずの『緑十字船』が何故攻撃されたのか?論議を呼ぶこととなります。


日本は『阿波丸』撃沈の事実を知ると、スイスを通じてアメリカに抗議、アメリカは潜水艦側の確認義務を怠った点を認め戦後にかけてその補償の交渉がなされました。

しかし日本は最終的にアメリカに対する賠償の請求権を放棄し、日本政府がアメリカに代わりその賠償にあたることとなるのです。この取引は、「有償食料援助で日本がアメリカ側に支払う額を棒引きれる」という、直接『阿波丸』の補償を勝ち取るよりもはるかに「おいしい」条件で、日本はそれを了承してしまったと言えます。

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S氏作の『阿波丸』、作品にその船の無念を描きとる。
船体側面・上面に十字が描かれ、夜間は識別しやすいよう灯りを灯します。

『阿波丸』撃沈では、往路で軍事物資を輸送し復路で、すずをはじめとした軍事資源を積載したということを偵察で確認していたという事実があります。

これは『緑十字船』としての違反行為に当たり、事実『阿波丸』船長はその積み込みを拒んだのですが、軍部に押し切られそれらを積載していました。

そのため『阿波丸を』明確な攻撃目標として攻撃したことも事実のようですが、その潜水艦『クイーンフィッシュ』からの攻撃許可要請に対して、「攻撃禁止令」が発令されていたことも記録に残っています。

その「攻撃禁止令」の書類が潜水艦『クイーンフィッシュ』艦長のもとへと届かなかったさまざまな要因もまたこの悲劇を引き起こす発端となっているように思われ悔やまれたことでしょう。

その後中国により『阿波丸』のサルベージ調査が行われ、回収された遺骨や遺品は、日本に返還されています。

唯一の生存者である下田勘太郎はその後の人生でも多くを語らなかったそうで1970年に他界されています。

光輝く南の海、しかしそこには戦争によって沈められた多くの墓標が点在します。

今日はS氏の作品から『阿波丸』についのお話でした。


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2012722(日)

本日の完成お披露目~


本日の完成お披露目~

本日の竣工お披露目・・“すたーしっぷ”工房に、艦船模型の製作に情熱を注ぐ大谷氏の作品、1/350『氷川丸』がやってきました。

春から半年近い月日を費やし、こだわりぬいた作品に仕上がり、本日晴れてお披露目となりました。

皆「う~ん」とうなる出来栄え。パーツの組み合わせや、塗装のタイミングなど計算しつくされた作品は、やはり圧巻です。

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船橋部分を船首方向から眺めてみます。

貨客船としての役割が見て取れる貨物艙周辺のデザインも忠実に再現されていますね。

このようなノスタルジックな顔を持つ『氷川丸』は、現存するものとして貴重な存在、だから模型工作でもその顔もこだわって作りたい部分です。木製の窓枠なども絶妙な色合いで再現されています。

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『氷川丸』を運行した、日本郵船のトレードマークである二引をデザインした煙突と、上層の構造物。

煙突は見事な色分けで塗装され、くどくならない程度に墨入れされた各構造物が実物の風合いを演出しています。

船舶模型を製作する上でこれらのパーツの仕上げ方も勝負どころとなります。

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そしてデリッククレーンのワイヤ類の作りこみ。

大谷氏が、この『氷川丸』を作るにあたり神経をはらった部分の一つとして挙げているポイントです。

このワイヤの張り方を仕損じれば模型全体のイメージを壊しかねないので緊張の作業が続いたとの事。

そして細かい作業として挙げられるのが、甲板の板材の塗りわけ。0.4mmという細いマスキングテープを使い5色の濃淡で塗り分けてあります。この作業は、まさに根くらべでしょう。

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中央部から船橋部・船首方向を眺める。

シアトル航路就航から病院船で戦争を生き延び、再び太平洋航路へ復帰、船寿を全うするという幸運に恵まれた客船のストーリーを感じさせるアングルです。

大谷氏の作品は、模型の王道としての艦船模型を再認識させてくれるものとなりました

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現在、横浜港に保存されている本船『氷川丸』。
この先も大事に残していきたい保存船の一つです。

そしてこの船のモデルもまた、一度は製作に情熱を注ぐ価値のあるモデルかもしれません。

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今日もモデラーが集う“すたーしっぷ”工房。『氷川丸』模型を囲み艦船談義に花が咲くのでした。

今日は大谷氏製作模型のお披露目から『氷川丸』模型でした。

この作品で使用されたキット:ハセガワ1/350 日本郵船『氷川丸』¥9975 (価格はブログ更新時の当店売価です。)


明日7/23(月)は当店お休みを頂きます。宜しくお願いいたします。

夏休み工作教室・受付中→工作教室予約状況


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2012622(金)

『セミ』のルアー・番外編


『セミ』のルアー・番外編

今日はいつもの模型・船の話からちょっと題材が違うものにスポットを当ててみます。

当店でエアブラシをご購入いただき、塗装法の手ほどきをさせていただいたお客様Sさんの作品のご紹介です。

実はSさんが手がけているのは「ルアー」。

糠平湖がフィールドのSさんは、これから夏にかけて魚達のえさとなるセミをルアーに仕立て、現在セミのルアーを研究中。

本日、その作品を見せていただきました。

いつもより夏が遅い糠平では、まだセミの声が聞けていないそうですがこの夏は、セミのルアー研究に没頭・・・の予定とのこと。

短時間の講習でエアブラシをマスター、本日見せていただいた、ルアーの仕上がりもプロ並みです。

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とにかく水中から見上げたとき、水面に浮かんでいるセミをイメージして製作したというこのルアーは魂が入っているようにも見え、丸く入った目玉がまた愛らしく、デスクサイドに飾りたくなるような茶目っ気も・・・

なんとなく、かわいいでしょう?

想像力が命のルアー造り、魚の気持ちになってアイデアを搾り出すそうです。

これから迎えるシーズンで、データ取りをしながら、更に形状を追求していくそうです。

そんなルアーを目にして、私も今年の釣果の報告が楽しみです。

こういうものを目にすると、又一つ趣味が増えそうで、ちょっと心配な店長と店員でした。


今日は、お客様の作品・番外編で模型素材でスタートしたセミのルアー・Sさんの作品のご紹介でした。




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STAR SHIP MODELS(雑貨&模型)
十勝・帯広に『海』を広めるお店をオープン。海辺のギフトショップをイメージした店内には『海・雑貨コーナー』と『ホビーコーナー』が同居。雑貨好き・模型好きともに楽しめるお店です。海・雑貨はマリン雑貨をはじめ、アクセサリー小物、ハワイアンまで取り揃えています。ホビーコーナーは船が中心のプラモデルから木製キット、完成品まで取り扱い。海・船・雑貨・模型の記事をランダムにブログにしていきます。

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