2008年12月7日(日)
サンタクロース
ショートストーリー×14
「ねぇ? お父さん、サンタさんて本当は居ないんだよね?
みんなが言ってたよ、プレゼントは本当はお父さんが買って来てくれるって」
その時、娘はまだ小学二年生だった。 正直、驚いた。
「そんな事は無いよ、良い子のところには本物のサンタさんが来るんだよ」
私は、我が子の純粋な夢を壊した その『みんな』を苦々しく思った。
12月25日 クリスマスの夜
子供達が眠りにつく頃、私は昼間のうちに買って隠しておいたサンタクロースの衣装に、そっと着替える。
そして、2階にある子供達の寝室へと向かう。
このタイミングが難しい。
完全に眠っていてはいけない、でもベットに入って直ぐも良くない。
ベットの中で、夜の闇の音を十分に聞き、後は眠りにおちるのを待つだけ。
そんな、タイミングがベストである。
そっとドアを開ける。弟はグッスリと眠っているが、かけ布団のすき間から僅かに娘の視線を感じながら、枕元にプレゼントを置く。
でも、娘は決して話しかけてはこない。
なぜなら、昼間のうち十分に言い聞かせてある。
「いいかい、サンタさんはね、子供達が寝てからやって来るんだよ。夜遅くまで起きている子にはプレゼントをくれないんだよ」
子供達の部屋を出て、サンタの衣装を脱ぎ袋に押し込み、慌てて階段を下りて テレビの前で涼しい表情に戻る。
後を追うように娘が下りてくる。
「お父さん!今サンタさん来なかった?ここ、通らなかった?私見ちゃったの!サンタさん」
私は少し面倒臭そうに言う。
「えぇ、寝ぼけたんじゃないのかい? そんな、家の中をサンタさんが通ったら いくらお父さんだって気が付くよ。誰も来ていないよ」
娘は、慌ててベットに戻り、また直ぐに戻って来た。
「見て!ほら!プレゼントよ!私これ、とっても欲しかったの! やっぱりさっきのはサンタさんよ!だって私、本当に見たんだもの!」
「本当だ!良かったね~。いつも良い子にしていたからだね。でも今日はもう遅いから寝なさい」
「うん!おやすみなさい!」
そんな娘が中学校に入学した年の暮れ。
「さすがに、この歳でサンタさんはないよね~」
などと小生意気な事を言う。
「そんな事は無いよ、サンタクロースは本当に居るんだよ」
娘の顔には、(またお父さん・・・始まった)と書いてある。
「大丈夫、弟には内緒にしておくからサ」
12月25日 クリスマスの夜
いつもより早めに弟を寝かしつけ、娘だけを呼び、袋を手渡し小声でささやく。
「早く これに着替えなさい、少し出かけるよ」
袋の中にはサンタクロースの衣装が。
驚く娘をよそに私は、せっせとトナカイの衣装に着替える。
数分後、静かに降る雪の中を、可愛いサンタクロースと ちょっとオマヌケなトナカイを乗せた車が一台。
実は、サンタの衣装を買った翌年から「せっかく買ったのだから」と、私はクリスマスの夜になると、友人達の子供にプレゼントを配ってあるいていた。
今年は娘と一緒に、友人宅を回ることにしたのだ。
大勢の子供達に配るプレゼント。当然、高価な物は買えない。しかし大丈夫!
プレゼントを受け取る子供達の目は、プレゼントではなく可愛いサンタさんに釘付けである。
「わぁ~!サンタさん!ありがとう!」
そこには、数年前の娘と同じく キラキラと輝いた瞳があった。
最後の一軒にプレゼントを届け終えた帰りの車中、娘がつぶやく。
「みんな いっぱい喜んでいたね、 なんだか私の方が嬉しい気持ちになったよ。 みんな可愛いな~・・・来年も一緒にプレゼントを渡しに行こうね」
私は前を見たまま答えた。
「今、感じている その気持ち。 その気持ちのことを『サンタクロース』って呼ぶんだよ。
サンタクロースは人の形をしているのではなく、大人達の心の中に居るんだよ」
そう言って、娘が欲しがっていたホーナー製のブルースハープを手渡した。
今年、コンブは高校二年生、サンタクロースが本当に居ることを知っている。
みんなが言ってたよ、プレゼントは本当はお父さんが買って来てくれるって」
その時、娘はまだ小学二年生だった。 正直、驚いた。
「そんな事は無いよ、良い子のところには本物のサンタさんが来るんだよ」
私は、我が子の純粋な夢を壊した その『みんな』を苦々しく思った。
12月25日 クリスマスの夜
子供達が眠りにつく頃、私は昼間のうちに買って隠しておいたサンタクロースの衣装に、そっと着替える。
そして、2階にある子供達の寝室へと向かう。
このタイミングが難しい。
完全に眠っていてはいけない、でもベットに入って直ぐも良くない。
ベットの中で、夜の闇の音を十分に聞き、後は眠りにおちるのを待つだけ。
そんな、タイミングがベストである。
そっとドアを開ける。弟はグッスリと眠っているが、かけ布団のすき間から僅かに娘の視線を感じながら、枕元にプレゼントを置く。
でも、娘は決して話しかけてはこない。
なぜなら、昼間のうち十分に言い聞かせてある。
「いいかい、サンタさんはね、子供達が寝てからやって来るんだよ。夜遅くまで起きている子にはプレゼントをくれないんだよ」
子供達の部屋を出て、サンタの衣装を脱ぎ袋に押し込み、慌てて階段を下りて テレビの前で涼しい表情に戻る。
後を追うように娘が下りてくる。
「お父さん!今サンタさん来なかった?ここ、通らなかった?私見ちゃったの!サンタさん」
私は少し面倒臭そうに言う。
「えぇ、寝ぼけたんじゃないのかい? そんな、家の中をサンタさんが通ったら いくらお父さんだって気が付くよ。誰も来ていないよ」
娘は、慌ててベットに戻り、また直ぐに戻って来た。
「見て!ほら!プレゼントよ!私これ、とっても欲しかったの! やっぱりさっきのはサンタさんよ!だって私、本当に見たんだもの!」
「本当だ!良かったね~。いつも良い子にしていたからだね。でも今日はもう遅いから寝なさい」
「うん!おやすみなさい!」
そんな娘が中学校に入学した年の暮れ。
「さすがに、この歳でサンタさんはないよね~」
などと小生意気な事を言う。
「そんな事は無いよ、サンタクロースは本当に居るんだよ」
娘の顔には、(またお父さん・・・始まった)と書いてある。
「大丈夫、弟には内緒にしておくからサ」
12月25日 クリスマスの夜
いつもより早めに弟を寝かしつけ、娘だけを呼び、袋を手渡し小声でささやく。
「早く これに着替えなさい、少し出かけるよ」
袋の中にはサンタクロースの衣装が。
驚く娘をよそに私は、せっせとトナカイの衣装に着替える。
数分後、静かに降る雪の中を、可愛いサンタクロースと ちょっとオマヌケなトナカイを乗せた車が一台。
実は、サンタの衣装を買った翌年から「せっかく買ったのだから」と、私はクリスマスの夜になると、友人達の子供にプレゼントを配ってあるいていた。
今年は娘と一緒に、友人宅を回ることにしたのだ。
大勢の子供達に配るプレゼント。当然、高価な物は買えない。しかし大丈夫!
プレゼントを受け取る子供達の目は、プレゼントではなく可愛いサンタさんに釘付けである。
「わぁ~!サンタさん!ありがとう!」
そこには、数年前の娘と同じく キラキラと輝いた瞳があった。
最後の一軒にプレゼントを届け終えた帰りの車中、娘がつぶやく。
「みんな いっぱい喜んでいたね、 なんだか私の方が嬉しい気持ちになったよ。 みんな可愛いな~・・・来年も一緒にプレゼントを渡しに行こうね」
私は前を見たまま答えた。
「今、感じている その気持ち。 その気持ちのことを『サンタクロース』って呼ぶんだよ。
サンタクロースは人の形をしているのではなく、大人達の心の中に居るんだよ」
そう言って、娘が欲しがっていたホーナー製のブルースハープを手渡した。
今年、コンブは高校二年生、サンタクロースが本当に居ることを知っている。
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