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202345(水)

伊藤秀五郎「北の山 続編」 坂本直行の装丁・挿絵


伊藤秀五郎「北の山 続編」 坂本直行の装丁・挿絵

 先に伊藤秀五郎の「北の山」の装丁・挿絵を坂本直行さんがしたことを紹介したが その続編を入手出来た。
 表紙のデザインは全く同じで 色が正編が青だったのに対して続編は茶色だ。出版は著者の没年の昭和51年(1976年)で版元は山岳書を多く出していた茗渓堂だ。

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 内容は 石狩岳・大雪山・日高山脈・北大山岳部創立・熊の話・ヒマラヤ・札幌近郊など広範で 主に紀行文と随筆だ。正編よりもはるかに読みやすいのは現代仮名遣いためだけでもないと思う。

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 挿絵は直行さんの花のスケッチで 六花亭の包装紙のデザインと同じ時期と思われる。ただし全て白黒だ。この点は正編と大きく異なる点だ。

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 これはハマナスだろう。

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 オオバナエンレイソウと思ったが 違うかも知れない。

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 何れにしても戦前から戦後にかけて約40年にわたる北海道の山関係の記事を集めたもので 読んでなかなかに面白かった。



202341(土)

恩師から頂いた絵 (2) 堀江道雄先生


恩師から頂いた絵 (2) 堀江道雄先生

 恩師の二人目は堀江道雄先生だ。1年目にドイツ語を教えて頂いた。度々教官室にお邪魔して 親しくお話を伺うこともあった。先生は山登りの愛好家で 身なりはあまり気にしないが清潔感のある大柄のイメージだった。初夏の頃 茨城の私の実家から送られてきたメロンを差し上げたら そのお礼で3メートル位の巻紙のお手紙を頂いて驚き恐縮した。内容はメロンの謝意とその頃に行った札幌岳近くのガマ沢川の沢登りの随想だった。約1/3はスケッチ風の水彩画で 先生は焚き火の横で 仲間はフキの葉屋根の仮小屋でくつろぐ様子が描かれていた。沢の流れと焚火の音が聞こえる絵だ。

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 当時はメロンは初夏にならないと出回らない貴重品ではあったが 部屋の中に広がるメロンの匂いは季語だったのかもしれない。

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 残念なことに保管が悪くて変色した部分もあるが その晩の夕食のメニューは イワナの塩焼き・羊肉の石焼き・焼きナスの沢水冷やし・ピーマンの串焼き・ブランデーティー とある。

 私にとっての堀江先生は 最近のWBCでの「村上選手・栗山監督の関係」に似ていたのかも知れない。当時の自分は勉強もしないでクラブにうつつを抜かすダメ学生で 語学では予習をしないのは話にならないのに それでも先生の部屋に出入りしていたのだからひどい鉄面皮だった。
 その講義のテキストは”Eis und Gletscher”(氷と氷河)だった。この主題もあってか 「次回はあなたに 一人でやってもらうから」と言われた。当日も予習をしないで出向き 丸一時間(90分)一人で逐語訳をやることになってしまった。もちろんシドロモドロになったが 先生は我慢強く続けてくれた。また この荒療治に付き合ってくれたクラスメイト達にも迷惑をかけた。これは先生が私を励ますためだったのは明らかで 「あきらめずに使い続けるのは村上・栗山の関係と同じ」だが 「最後までダメだったのは大きく違う」。本当に情けないことだった。
 その時以来 講義には出なくなってしまい 当然 ドイツ語は不可で 卒業まで再履修を受けることになった。この失敗はほぼ半世紀を経た今でも「大きな後悔」として残っている。あの時に一念発起していたら 私の人生もだいぶ変わったものになったと思う。
 先生の専門はドイツ文学だが 研究論文をたくさん書いて昇進するとかは無縁とお考えだったようで 「何が本質なのかを考えることが大切だ」 と常々言っておられた。その頃に伺ったことの一つ一つが自分の心の支えになり 恥ずかしい大失敗がその後の自分を鼓舞してくれたと思うし 今も続いている。先生とのかかわりを今流の教育論に変質させるつもりは全くなく ただただ先生のご配慮に感謝している。



2023328(火)

坂本直行の装丁・挿絵の山岳書「北の山」


坂本直行の装丁・挿絵の山岳書「北の山」

 ネットオークションで入手した山岳古書の中に伊藤秀五郎の「北の山」があった。梓書房で昭和10年(1935)の出版だ。正と続があるようだ。

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 これは覆刻版なので状態は非常に良く 袋とじのページをペーパーナイフで切りながら読んでいくスタイルだ。

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 著者は北大山岳部の初期メンバーで 北海道の教育長も務めた人物だ。この本には石狩岳・ニペソツ山・日高山脈・沢・峠・北千島などが含まれ 何れも興味深い。ただ Amazonのある書評では「記録が主で読んでもあまり面白くない」というのもあったが あんまりの言い分だ。

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 裏表紙を見ると 大島亮吉に捧げられているが 素晴らしいのは「装丁と挿絵を坂本直行氏が担当」していることだ。確かに表紙のデザインに直行さんの特徴が良く出ている。同じ山岳部の関係で担当したのだろう。

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 挿絵は8点ほどあり ほとんど日高山脈や大雪山系のようだ。これは「初夏のカムイエクウチカウシ山」

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「ラッコ岳」

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「五月の十勝岳」

 ネット検索したら 千円位から入手出来るようだし この本を「直行さんの画文集」として楽しむのもアリだろう。おススメだ。



2023327(月)

ヤフオクの山岳古書に思わぬ掘り出し物が


ヤフオクの山岳古書に思わぬ掘り出し物が

 ヤフオクを見るともなしに見ていたら「覆刻日本の山岳名著 14冊セット 」が送料込みで3,300円というのがあった。著名な山岳関係の本がチラホラ見えた。十勝ヒュッテでゆっくり読むのもイイナと思い ポチをしておいたら 運良くそのまま落札になった。もちろんネットオークションはやばいのが多いはずだが これは覆刻 元からコピーなので心配はない。

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 送られてきた荷物を開けてビックリ。何れも装丁もオリジナルに沿って復刻されている。これは掘り出し物だったのかも。

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 上高地に有名なレリーフとして名を残しているウエストンの「日本アルプス(The Japanese Alps)」1896年初版のコピーだ。装丁もいい。

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 もちろん復刻の版権は取ってある。

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 素晴らしいのは 各ページが昔風の袋綴じで ペーパーナイフで切りながら読むスタイルだ。

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 これは「槙有恒 山行」だが 奥付もそのまま再現されている。出版は改造社で大正12年だ。

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 この復刻本は1875年に日本山岳会が70周年記念に全22冊で企画したもので 出版は大修館書店だったようだ。

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 今回の入手は14冊なので「志賀重昂 日本風景論」「小島鳥水 日本アルプス」「高頭式 日本山嶽志」「辻村伊助 スイス日記」などが抜けているようだ。
 しかし大部分はそろっているので かなりの掘り出し物だったようだ。また仮に全部集めるとしても 何とかなるだろう。まあぼちぼち読んでみるか。



2023319(日)

優雅な野点が待ち遠しいが


優雅な野点が待ち遠しいが

 北海道では雪が解けて春が始まろうとしている。やがて初夏に続いていくわけだが 個人的には野点(のだて)のシーズンを心待ちにしている。写真はかつて札幌・中島公園で7月初旬に行われていた「大和遠州流の野点茶会」の模様だ。
 これは流派独特の三木(さんもく)茶と呼ばれるスタイルで 竹の三脚に茶釜を掛けてお茶をたてる。まるでアウトドアの焚き火のようなスタイルだ。

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 別方向から。この流派は「武士の茶道」なので 野戦での茶会を彷彿させる。背景は中島公園のコンサートホール「きたら」だ。

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 普通の立礼(りゅうれい)の茶席もあり こちらもまた優雅だ。

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 ギャラリーもたくさんいる。

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 この大和遠州流には煎茶道もあり 赤い毛氈(もうせん)の上でお茶をたてている。

 大規模な野点はしばらく行われていないが準備が大変で場所確保も問題と聞く。コロナ禍も一応鎮静化したし 是非復活してもらいたいものだ。
 十勝ヒュッテのデッキでアウトドア野点をしても楽しめると思う。

注: それぞれ数年前の撮影だが 所作が非常に美しく優雅なので人物もそのまま掲載させていただいた。ご容赦いただきたい。



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Elmtree
 もともとアウトドア大好き人間ですが 時間の制約から残念な思いをしてきました。2019年春に友人の協力を得て 十勝清水にMountain Cabinを自作するプロジェクトを始めました。若者を巻き込んで いつでもバトンタッチできる体制を心がけています。また近くの「遊び小屋コニファー」は アウトドアの大先輩としてリスペクトしています。なお 街・探検・文化については別ブログにしました。Elmtree2をご覧ください。

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