a 他トピック Others(208)
2023年4月11日(火)
八木健三先生の画文集「私のワンデリング」を見つけた
a 他トピック Others×208

22年10月24日のマイ十勝に恩師の一人の八木健三先生から頂いた絵を紹介した。先生の画文集を持っていたのを思い出したが 残念ながら引越しで紛失したらしい。先週 古書ネットオークションで見かけたら 何と500円スタート。これは買わねばとポチしたら 幸運にもそのまま落札。福島県いわき市の阿武隈書房の出品だった。きれいに保管されていたものが到着。知人への献辞と先生の署名付だったのには驚いた。
この画文集 「私のワンデリング」は先生の退官記念事業として1978年7月に北大ワンゲル部・OB会から刊行され 親交のあった坂本直行さんが序文を寄せている。
内容はニセコが一番多い。これはクラブの冬合宿がニセコで行われていたためだろう。なお現在でもこの冬合宿は行われている
比羅夫から見た羊蹄山。地質学者らしく噴火口などが丁寧に描かれている。比羅夫スキー場から眺めるとここまで細かくは見えないので鳥観図的だと思う。
ニセコ五色温泉が定宿で 山スキーは自分には地獄だったが 夜は有名な露天風呂に入り極楽の毎日だった。先生は毎回3-4泊して 学生と一緒に山スキーをやられた。かなりの腕前だった。
札幌近郊の山々では奥手稲山の家も紹介。
これは手稲山の中腹にあった初代パラダイスヒュッテ。学生のスキー練習の場だったが 先生もよく来られた。
日高山脈も複数枚含まれている。
先生の仕事柄 海外の山も含まれ ヨーロッパアルプスやロッキー山脈のものが多い。
改めて各ページを見直すと 先生の絵は「雰囲気は直行さんと似ているが 地質学者の野帳(フィールドノート)の延長」と思う。先生がお亡くなりになってもう十年近くたつ。画文集は今でも変わらずに当時を伝えてくれて いいものだ。
追記: 絵をブログに掲載するには版権者の承諾が必要だが 自分もその一員だし 本の紹介として容認頂けると思う。ただし このブログを引用する場合は直接原本からにして頂きたい。








改めて各ページを見直すと 先生の絵は「雰囲気は直行さんと似ているが 地質学者の野帳(フィールドノート)の延長」と思う。先生がお亡くなりになってもう十年近くたつ。画文集は今でも変わらずに当時を伝えてくれて いいものだ。
追記: 絵をブログに掲載するには版権者の承諾が必要だが 自分もその一員だし 本の紹介として容認頂けると思う。ただし このブログを引用する場合は直接原本からにして頂きたい。
2023年4月5日(水)
伊藤秀五郎「北の山 続編」 坂本直行の装丁・挿絵
a 他トピック Others×208

先に伊藤秀五郎の「北の山」の装丁・挿絵を坂本直行さんがしたことを紹介したが その続編を入手出来た。
表紙のデザインは全く同じで 色が正編が青だったのに対して続編は茶色だ。出版は著者の没年の昭和51年(1976年)で版元は山岳書を多く出していた茗渓堂だ。
内容は 石狩岳・大雪山・日高山脈・北大山岳部創立・熊の話・ヒマラヤ・札幌近郊など広範で 主に紀行文と随筆だ。正編よりもはるかに読みやすいのは現代仮名遣いためだけでもないと思う。
挿絵は直行さんの花のスケッチで 六花亭の包装紙のデザインと同じ時期と思われる。ただし全て白黒だ。この点は正編と大きく異なる点だ。
これはハマナスだろう。
オオバナエンレイソウと思ったが 違うかも知れない。
何れにしても戦前から戦後にかけて約40年にわたる北海道の山関係の記事を集めたもので 読んでなかなかに面白かった。
表紙のデザインは全く同じで 色が正編が青だったのに対して続編は茶色だ。出版は著者の没年の昭和51年(1976年)で版元は山岳書を多く出していた茗渓堂だ。





2023年4月1日(土)
恩師から頂いた絵 (2) 堀江道雄先生
a 他トピック Others×208

恩師の二人目は堀江道雄先生だ。1年目にドイツ語を教えて頂いた。度々教官室にお邪魔して 親しくお話を伺うこともあった。先生は山登りの愛好家で 身なりはあまり気にしないが清潔感のある大柄のイメージだった。初夏の頃 茨城の私の実家から送られてきたメロンを差し上げたら そのお礼で3メートル位の巻紙のお手紙を頂いて驚き恐縮した。内容はメロンの謝意とその頃に行った札幌岳近くのガマ沢川の沢登りの随想だった。約1/3はスケッチ風の水彩画で 先生は焚き火の横で 仲間はフキの葉屋根の仮小屋でくつろぐ様子が描かれていた。沢の流れと焚火の音が聞こえる絵だ。
当時はメロンは初夏にならないと出回らない貴重品ではあったが 部屋の中に広がるメロンの匂いは季語だったのかもしれない。
残念なことに保管が悪くて変色した部分もあるが その晩の夕食のメニューは イワナの塩焼き・羊肉の石焼き・焼きナスの沢水冷やし・ピーマンの串焼き・ブランデーティー とある。
私にとっての堀江先生は 最近のWBCでの「村上選手・栗山監督の関係」に似ていたのかも知れない。当時の自分は勉強もしないでクラブにうつつを抜かすダメ学生で 語学では予習をしないのは話にならないのに それでも先生の部屋に出入りしていたのだからひどい鉄面皮だった。
その講義のテキストは”Eis und Gletscher”(氷と氷河)だった。この主題もあってか 「次回はあなたに 一人でやってもらうから」と言われた。当日も予習をしないで出向き 丸一時間(90分)一人で逐語訳をやることになってしまった。もちろんシドロモドロになったが 先生は我慢強く続けてくれた。また この荒療治に付き合ってくれたクラスメイト達にも迷惑をかけた。これは先生が私を励ますためだったのは明らかで 「あきらめずに使い続けるのは村上・栗山の関係と同じ」だが 「最後までダメだったのは大きく違う」。本当に情けないことだった。
その時以来 講義には出なくなってしまい 当然 ドイツ語は不可で 卒業まで再履修を受けることになった。この失敗はほぼ半世紀を経た今でも「大きな後悔」として残っている。あの時に一念発起していたら 私の人生もだいぶ変わったものになったと思う。
先生の専門はドイツ文学だが 研究論文をたくさん書いて昇進するとかは無縁とお考えだったようで 「何が本質なのかを考えることが大切だ」 と常々言っておられた。その頃に伺ったことの一つ一つが自分の心の支えになり 恥ずかしい大失敗がその後の自分を鼓舞してくれたと思うし 今も続いている。先生とのかかわりを今流の教育論に変質させるつもりは全くなく ただただ先生のご配慮に感謝している。


私にとっての堀江先生は 最近のWBCでの「村上選手・栗山監督の関係」に似ていたのかも知れない。当時の自分は勉強もしないでクラブにうつつを抜かすダメ学生で 語学では予習をしないのは話にならないのに それでも先生の部屋に出入りしていたのだからひどい鉄面皮だった。
その講義のテキストは”Eis und Gletscher”(氷と氷河)だった。この主題もあってか 「次回はあなたに 一人でやってもらうから」と言われた。当日も予習をしないで出向き 丸一時間(90分)一人で逐語訳をやることになってしまった。もちろんシドロモドロになったが 先生は我慢強く続けてくれた。また この荒療治に付き合ってくれたクラスメイト達にも迷惑をかけた。これは先生が私を励ますためだったのは明らかで 「あきらめずに使い続けるのは村上・栗山の関係と同じ」だが 「最後までダメだったのは大きく違う」。本当に情けないことだった。
その時以来 講義には出なくなってしまい 当然 ドイツ語は不可で 卒業まで再履修を受けることになった。この失敗はほぼ半世紀を経た今でも「大きな後悔」として残っている。あの時に一念発起していたら 私の人生もだいぶ変わったものになったと思う。
先生の専門はドイツ文学だが 研究論文をたくさん書いて昇進するとかは無縁とお考えだったようで 「何が本質なのかを考えることが大切だ」 と常々言っておられた。その頃に伺ったことの一つ一つが自分の心の支えになり 恥ずかしい大失敗がその後の自分を鼓舞してくれたと思うし 今も続いている。先生とのかかわりを今流の教育論に変質させるつもりは全くなく ただただ先生のご配慮に感謝している。
2023年3月28日(火)
坂本直行の装丁・挿絵の山岳書「北の山」
a 他トピック Others×208

ネットオークションで入手した山岳古書の中に伊藤秀五郎の「北の山」があった。梓書房で昭和10年(1935)の出版だ。正と続があるようだ。
これは覆刻版なので状態は非常に良く 袋とじのページをペーパーナイフで切りながら読んでいくスタイルだ。
著者は北大山岳部の初期メンバーで 北海道の教育長も務めた人物だ。この本には石狩岳・ニペソツ山・日高山脈・沢・峠・北千島などが含まれ 何れも興味深い。ただ Amazonのある書評では「記録が主で読んでもあまり面白くない」というのもあったが あんまりの言い分だ。
裏表紙を見ると 大島亮吉に捧げられているが 素晴らしいのは「装丁と挿絵を坂本直行氏が担当」していることだ。確かに表紙のデザインに直行さんの特徴が良く出ている。同じ山岳部の関係で担当したのだろう。
挿絵は8点ほどあり ほとんど日高山脈や大雪山系のようだ。これは「初夏のカムイエクウチカウシ山」
「ラッコ岳」
「五月の十勝岳」
ネット検索したら 千円位から入手出来るようだし この本を「直行さんの画文集」として楽しむのもアリだろう。おススメだ。






ネット検索したら 千円位から入手出来るようだし この本を「直行さんの画文集」として楽しむのもアリだろう。おススメだ。
2023年3月27日(月)
ヤフオクの山岳古書に思わぬ掘り出し物が
a 他トピック Others×208

ヤフオクを見るともなしに見ていたら「覆刻日本の山岳名著 14冊セット 」が送料込みで3,300円というのがあった。著名な山岳関係の本がチラホラ見えた。十勝ヒュッテでゆっくり読むのもイイナと思い ポチをしておいたら 運良くそのまま落札になった。もちろんネットオークションはやばいのが多いはずだが これは覆刻 元からコピーなので心配はない。
送られてきた荷物を開けてビックリ。何れも装丁もオリジナルに沿って復刻されている。これは掘り出し物だったのかも。
上高地に有名なレリーフとして名を残しているウエストンの「日本アルプス(The Japanese Alps)」1896年初版のコピーだ。装丁もいい。
もちろん復刻の版権は取ってある。
素晴らしいのは 各ページが昔風の袋綴じで ペーパーナイフで切りながら読むスタイルだ。
これは「槙有恒 山行」だが 奥付もそのまま再現されている。出版は改造社で大正12年だ。
この復刻本は1875年に日本山岳会が70周年記念に全22冊で企画したもので 出版は大修館書店だったようだ。
今回の入手は14冊なので「志賀重昂 日本風景論」「小島鳥水 日本アルプス」「高頭式 日本山嶽志」「辻村伊助 スイス日記」などが抜けているようだ。
しかし大部分はそろっているので かなりの掘り出し物だったようだ。また仮に全部集めるとしても 何とかなるだろう。まあぼちぼち読んでみるか。







しかし大部分はそろっているので かなりの掘り出し物だったようだ。また仮に全部集めるとしても 何とかなるだろう。まあぼちぼち読んでみるか。