まかない(843)

今日のまかないは45年前の麻婆豆腐です。
ラーメン屋のチャーシューとイカ大根、リボンシトロンのガラナ付きです。
麻婆豆腐とチャーシューの調理を担当します。

使う調味料は豆板醤、甜麺醤、豆豉、酒、醤油、砂糖、化学調味料です。
あとは豆腐、豚ひき肉、軟白とニンニクと生姜のみじん切り、スープ、胡椒、ごま油。
個人的にはこの荒々しい麻婆豆腐も捨てがたい。
豆板醤と甜麺醤と豆豉のバランスでキャラクターが変わるのも面白いといえば面白いです。

ラーメン屋のチャーシューは、一度やってみたかったという衝動から醤油ラーメンのタレを作った際にできたものです。
休みをスープ作りとタレ作りに当て、なかなかうまくできたとテンションを上げていたのですが、「考え方が根本的に間違っている」と指導を受けギャフンという気分を味わい終了。

今日のまかないはたなぼたビーフンです。
調理を担当します。

何を使っても良いとのことなので、冷蔵庫から発掘された古漬けのような白菜と大根の葉っぱ、箱の底でシワシワになって小さく転がっていたにんじん、玉ねぎ、その他気になり始めた素材たちに活躍してもらいます。
上海焼きそばの気を強くした感じをイメージします。

性格的にもカラッと仕上げるのが苦手ということに加え、昔の全日空ホテルの焼きそばのイメージも入って今回スープの量は多めです。
マスターをして一瞬あんかけかと思わせるほどですが、実際は汁気がとろみとなって絡んでいる感じです。
味付けはにんにくとタカの爪で香りを立て、醤油感を少し出しながら胡椒もちょっと効かせてビーフンは味を吸わないので味は濃いめに。
仕上がってから入れ忘れたおろし生姜を混ぜ込んで完成です。

「おいしいし、ビーフンのイメージとは違うけれどこれはこれで面白い」とのこと。
ビーフン特有の匂いもうまく飛ばしているようです。
いくつかいじればいけるようです。
何よりも一番良かった点は、大根の葉っぱだと思って使ったものが実は春菊だったことです。

今日のまかないは松子炒飯です。
そんず炒飯はエビ(尻尾付き)入りです。

炒飯は松の実の香りと芳ばしさが後引く感じで意外です。
エビはおまけですが、松の実の前に立ちはだからぬよう調理されています。
そういったところが教本やyoutubeやクなんとかなどでは知ることができない部分であるように思います。

今日のまかないは本まぐろ定食です。
頂き物の本まぐろ、中トロクラスです。

個人的好みは〆サバですが、本まぐろは別格。
特に死ぬまで泳ぎ続ける姿には、休まないと帯状疱疹が出るものとしては頭が下がる思いです。
こんなにおいしいものを与えてくれた神様、仏様、くださった方に感謝するとともに、それを味わえる味覚を持った身体を与えてくれた両親に感謝、そしてそんな自分を褒めてあげたい気持ちです。

さらにまぐろに加えて、刺身醤油が名古屋だか岡崎だかいう回る寿司チェーンの店のように甘くておいしい。
「みりんとか砂糖入れてるんですか」とマスターに尋ねると「そんなもの入れてない」とのこと。
どうやら作りかけの冷やしラーメンのタレにつけて食べていたようです。
その後、ちゃんと刺身醤油でいただきましたが、いやあいろいろ入っているタレはおいしいものですね(タレが)と思いました。

今日のまかないは肉絲㭘飯(ルースホイハン)です。

使う調味料は家庭にもある当たり前のもの。
そこから物足りなさのない濃いめの味付けに、その上しょっぱくないところへ持って行くバランス。
素材が持ち寄った要素で成り立つおいしさといいますか、飛び道具がたくさんある現代においてそれを使わない仕上がりを味わえることにしびれると同時に恐ろしくもあります。
味付けだけでなく絲に切った豚モモの肉の柔らかいふっくら感、食後の油感のないすっきり感など大げさに言えばもう勘弁してくださいと。。

調理に限らず志のようなものに触れた時、何かこう、なんとも言えない何かがなんとなくぼんやりしてたなーとはっきりします。
すごい。
向かい風へと踏み込む勇気というとあれですが、追い風吹く逃げ道はいくらでもあるとも思います。
そんな自分が自覚なく逃げ続ける日々に終止符を打つ時が来た、そんな気分にさせられるというといささかどうなのかともいもいますが、まさかがそしてまさにです。