2018228(水)

これから庭をつくる人のために   (その2)


これから庭をつくる人のために   (その2)

2回目は「敷地の高低差」についてです。

お宅に接している道路には必ずと言っていいほど傾斜が付いています。見た目わからなくても水が流れるようになっています。ですので宅地も少なくても道路面は高低差があります。
住宅やお庭は基本水平につくりますので隣接する宅地や道路との間に段差が生じるようになります。

>>事例1
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北側の歩道との間に約30cm段差が生じています。住宅の設定レベルにあたる軒天は水平に化粧砂利が敷かれています。
そこから歩道に向かって土の傾斜で仕上げています。その幅は約80cmです。屋根は無落雪です。

問題点として、雑草の問題と土の流出が考えられます。
現状では化粧砂利の防草対策がなされていないため、雑草の温床になる事が考えられます。また、土の部分は歩道側に流出します。

[対策案1]
敷地境界際に高さ30cm程度の土留を施す事で約2.0mの平地が創出でき、防草対策がしやすくなります。有効活用という面では無落雪であることから歩道際に花壇等を設ける事が可能です。日陰の花壇にはなりますが通りが豊かになります。

[対策案2]
住宅の基礎の際から歩道に向かって摺り付けると15%程度の勾配になります。幅は2mありますので一時的な駐車スペース等として防草対策も兼ね備えて整備する事ができます。冬期間には段差の無い堆雪スペースとしても活用できます。屋根からの雨垂れや落雪が無いために可能な整備です。

>>事例2
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敷地北側で約75cmの高低差が生じています。雨水も雪もここにダイレクトに落ちる環境にあります。
現況は高さ10cm程度の花壇ブロックで表面の砂利を留めている状況です。物置下に敷かれたアスファルトも下部の砂利が空洞化しつつあります。
早急な対応が求められる状況です。

[対策案]
土留を施します。その土留は凍害等の弊害に配慮して排水性のあるものにするのが良いと考えます。
現況は各ライフラインの点検スペースも兼ねているためアクセスを確保する事にも配慮したほうが良いでしょう。

>>事例3
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南側隣地との高低差が80cm以上ある事例になります。
本来なら法面が生じている隣地側に施工すべき義務があると考えますが、問題なのは、その施工の必要性を建築メーカーがオーナーに説明していないというところにあると思います。
このケースでは他者に迷惑をかける場合も考えられるわけですから、新築時や売買時に、後に施工が必要になる事を説明すべきです。ベストなのは住宅の工事の時点で同時に施すことでオーナーの物理的・精神的不安をずっと軽減できるものと思います。

このままでは南側隣地に降った雨の半分は北側にある住人の敷地を通って道路に排出されるため、北側敷地住人が不便を感じてご自身で負担をして土留め工事を行う事になりました。

>>事例4
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住宅建築時の盛り土により周囲より80cm程度高い敷地となっています。土留等が行われていないため、盛り土が隣地に侵入してしまっていました。
境界線から約70cmが使用出来ない土地となり、南側と西側をあわせても16㎡(5坪弱)程度になり「もったいない」気が誰が見てもします。
また、このまま放置すれば雑草の処理に苦労するばかりでなく、隣地に迷惑をかけているのではないかと不安感がつきまといます。

解決策としては「土留」を施す事ですが、住宅と隣地フェンスの部分と北側全面に掘削機械を入れる事ができません。施工に際しては人力による部分が多くなるのでコストは高くなってしまいます。
やはりここでも住宅メーカーが土留の必要性を伝えて住宅基礎工事の前か同時に行う提案をすべだったと感じます。壁が立ち上がった後からでは土留の施工性に問題が生じます。

そういった点で、住宅は建てば良いのではなく、その後のオーナー様の生活にも考えが及ばなくてはいけないと思います。外構は少なからずやるべき事なので、少しでもコストが減る方策があるのならそのアドバイスは必須であると思います。

加えて、前から疑問に思う事があります。やはり敷地の高低差に関わる事なのですが、設定されている「住宅の設計レベル」が不自然に高いケースがあるという事です。色々聞くのですがなかなか腑に落ちていないというのが正直なところでしょうか。(当然それぞれに理由があるとは思いますが)
この住宅設計レベルが庭のレベルに大きく関係するのと、道路から玄関までの高低差にも関係します。住宅の設計レベルが極端に高いとアプローチに階段を設けたり勾配を緩くするために建築で設置した階段ポーチを足し増したりすることがあります。これももし不必要であれば外構コストの低下につながるという事になります。

>>事例5
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道路から住宅設計レベルまでの高低差は1メートルあります。
これは必然で、旧住宅の基礎を利用した新築工事の為最初から想定された高低差と言う事になります。

この事例は庭部分の敷地を2メートルの幅で損をしていますので、土留を設置して庭を広く保てるようにします。庭の高さと通行人の目線がぶつかるためフェンスを設けてプライベート空間を確保します。
高さ1m程度の土留の資材の選択は通りの景観にも影響しますし、フェンス基礎との取り合いもあるのでコストを考慮しつつ全体のバランスも思い浮かべてプランします。
写真以外の部分になりますが、この敷地の高低差に対して玄関アプローチ、カーポートや自転車小屋、物置などの配置や高さ設定も合わせて重要な検討事項になります。

以上、敷地の高低差について数例の事例で説明しましたが、なかなか講習会とかでも理解していただきづらいのがこの高低差問題です。
ただ、高低差はそのまま「水の行き先」の事にもなりますので、特に冬期間地下1m近くも凍る地域性においては非常に重要な課題と言えます。
まだまだ勉強が足りませんので、もっとわかりやすく説明できるようになったらまた取り上げてみたいと思います。

次回は今回も触れた「住宅の設計レベル」について、ちょっとお時間をいただくかも知れませんが慎重に考えてみたいと思います。












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