2018年3月8日(木)
これから庭をつくる人のために (その3)
庭縁雑感×15
三回目は「住宅のレベル・玄関ポーチ」について考えます。
住宅の「レベル」とは「高さ」の事ですが、前にも述べたように住宅は道路よりも高い場所に建っています。住宅の玄関ポーチの階段を下りた場所が普通は住宅のレベルになります。ただし、土地の形状によっては必ずしもそうではないのですが、ほぼそんな感じが多い事例となっています。
住宅が道路よりも高い事で屋根に降った雨は道路側に浸透排水されるように計画されます。仮に周りより住宅が低いと敷地内外に降った雨が住宅側に全部集まって来てしまいます。極端に言えばそんな感じですが、実際にはそんな事例もあった事が以前にありました。
住宅を建てる際には道路の高さがわかっているので通常緩やかなスロープ等で道路とアプローチでつなぐように計画します。
しかし、実際にはそうはなっていないケースがありますので参考としていくつかの事例で紹介させていただきます。
A-現況の階段の蹴上げ(垂直面)の高さが15cmなのでAの線が設定レベルかなと思いきや周辺の設備関係(基礎の通気口・汚水桝・エアコン室外機台座)などからBの線が設定レベルだとわかった。他にデッキ等あればその階段の高さなどからも設定レベルを読む事ができます。
仮にAの位置だと歩道までの距離が短いためにアプローチが非常に急なスロープになってしまい危険です。
これらの事から階段が一段足りないのではないかという事を協議して建築サイドで階段を一段増設してもらいました。
B-階段増設後の状況です。これで安全なアプローチの設定が可能となりました。ここで示すB部分は現況歩道アスファルトの切除箇所です。ここの歩道舗装は民地側に縁石が施されていないのでアプローチの基礎を掘削する際に基礎砂利が崩れて綺麗な仕上がりにならないためあらかじめ舗装をカットして基礎部分を同時に仕上げてアスファルトを復旧します。
C-完成の状況です。カーポートの舗装から庭部分までの摺り付けが自然にまとまりました。階段増設前のままで作業を進めた場合は庭部分が逆の勾配になってしまうところでした。
A-現況は木製の簡易的な階段で駐車場までをつなぐ形で不安定なアプローチを余儀なくされていました。不便を感じての改良の依頼となりました。
B-改良後は現況ポーチと同質のタイルで階段を増設して見た目の統一感と安全性を確保しました。住宅の計画段階からご相談をいただければ違った形も考えられたのですが、施主様は出来てみないとわからないというのが本当のところで、事前の説明も無ければ何が問題なのかもわからないという事につながります。事例1とは違って、施主様の負担による工事となりました。
現況が建て売りで状況を納得した上で購入する場合もあるかと思いますが、その後にかかるコストも把握出来たら良いと思います。その点でも説明は大切だと思います。
A-現況は煉瓦のスロープになっています。冬期間に危険があるという事でのご相談でした。スロープから1段上がる蹴上げの段差も少し大きいのも気になります。Aのラインが適正な高さ設定になります。そこまで上げるとさらに勾配がきつくなるので下げたのだと思います。
B-階段状に整備し直しました。ポストのアクセス側は踏面(平らな面)を広げています。ポーチが歩道に近い場合はその高低差によって階段の必要性を考える事になりますが、建築時の同時施工によってコストが圧縮できる場合もあるかと思います。この事例の場合は外構に2度コストがかかってしまっています。そこに住まう人の立場に立った提案や説明の必要性を感じます。
A-明らかに外構まかせの感じで施主様が自身で処置をしています。高さに対する説明も無かったようなので数年この形で過ごしていたようです。
住宅の竣工直後がどういう状況だったかはわかりませんが、もう少し配慮があっても良いかなと感じました。
B-ここは歩道まで距離があったので緩やかなスロープと階段の併用で計画しました。植栽を楽しみながら毎日歩く意味のあるアプローチになったのではないかと思います。仮にもう二段階段をつくっておいてくれたらかなりコストの面で助かったのではないかと思います。
A-これも明らかに1段分の階段が足りません。周りの設備等の高さ設定を見ても明らかです。あとは外構で。という感じでしょうか。やはり同時施工のコスト等の優位性みたいなものを考えてしまいます。他に何か理由があるのかも知れません。しかし、外構整備までの不自由さは施主様が負う事になるので仮の対応でもあれば良いのかなと思います。。
B-出入りの方向性に配慮して半円形の階段ポーチを増設しました。設置してあったポストの前面にポーチを伸ばしてあります。外構の一部として整備していますが建築の一部として見られる場合もあるかと思いますので建築家の建築に対する思い入れが反映されたものになっていれば良いのですが。
これら事例の伝えたい事は、低コストで納めるならスロープで良いが、安全性・景観製・利便性に欠けるために建築時に階段をもう一段足してくれるだけで施主側の快適性が大きく違ってくるケースが多く見受けられるという点です。また、住宅の設定レベルがなぜここなのかという事を施主様に理解していただけるように説明するという事です。多くの人が言えずに、聞けずに不便なまま毎日を過ごしている現状があるという事です。それが当たり前と何も感じていなかったのに外構工事によって今までの不便さに気づかされる人が多くいるという事実です。
まだまだ多くの事例があります。
その他の対応事例
これから新築を考えている方にも参考になればと思います。
次回は「越境」について考えてみたいと思います。
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住宅の「レベル」とは「高さ」の事ですが、前にも述べたように住宅は道路よりも高い場所に建っています。住宅の玄関ポーチの階段を下りた場所が普通は住宅のレベルになります。ただし、土地の形状によっては必ずしもそうではないのですが、ほぼそんな感じが多い事例となっています。
住宅が道路よりも高い事で屋根に降った雨は道路側に浸透排水されるように計画されます。仮に周りより住宅が低いと敷地内外に降った雨が住宅側に全部集まって来てしまいます。極端に言えばそんな感じですが、実際にはそんな事例もあった事が以前にありました。
住宅を建てる際には道路の高さがわかっているので通常緩やかなスロープ等で道路とアプローチでつなぐように計画します。
しかし、実際にはそうはなっていないケースがありますので参考としていくつかの事例で紹介させていただきます。
A-現況の階段の蹴上げ(垂直面)の高さが15cmなのでAの線が設定レベルかなと思いきや周辺の設備関係(基礎の通気口・汚水桝・エアコン室外機台座)などからBの線が設定レベルだとわかった。他にデッキ等あればその階段の高さなどからも設定レベルを読む事ができます。
仮にAの位置だと歩道までの距離が短いためにアプローチが非常に急なスロープになってしまい危険です。
これらの事から階段が一段足りないのではないかという事を協議して建築サイドで階段を一段増設してもらいました。
B-階段増設後の状況です。これで安全なアプローチの設定が可能となりました。ここで示すB部分は現況歩道アスファルトの切除箇所です。ここの歩道舗装は民地側に縁石が施されていないのでアプローチの基礎を掘削する際に基礎砂利が崩れて綺麗な仕上がりにならないためあらかじめ舗装をカットして基礎部分を同時に仕上げてアスファルトを復旧します。
C-完成の状況です。カーポートの舗装から庭部分までの摺り付けが自然にまとまりました。階段増設前のままで作業を進めた場合は庭部分が逆の勾配になってしまうところでした。
A-現況は木製の簡易的な階段で駐車場までをつなぐ形で不安定なアプローチを余儀なくされていました。不便を感じての改良の依頼となりました。
B-改良後は現況ポーチと同質のタイルで階段を増設して見た目の統一感と安全性を確保しました。住宅の計画段階からご相談をいただければ違った形も考えられたのですが、施主様は出来てみないとわからないというのが本当のところで、事前の説明も無ければ何が問題なのかもわからないという事につながります。事例1とは違って、施主様の負担による工事となりました。
現況が建て売りで状況を納得した上で購入する場合もあるかと思いますが、その後にかかるコストも把握出来たら良いと思います。その点でも説明は大切だと思います。
A-現況は煉瓦のスロープになっています。冬期間に危険があるという事でのご相談でした。スロープから1段上がる蹴上げの段差も少し大きいのも気になります。Aのラインが適正な高さ設定になります。そこまで上げるとさらに勾配がきつくなるので下げたのだと思います。
B-階段状に整備し直しました。ポストのアクセス側は踏面(平らな面)を広げています。ポーチが歩道に近い場合はその高低差によって階段の必要性を考える事になりますが、建築時の同時施工によってコストが圧縮できる場合もあるかと思います。この事例の場合は外構に2度コストがかかってしまっています。そこに住まう人の立場に立った提案や説明の必要性を感じます。
A-明らかに外構まかせの感じで施主様が自身で処置をしています。高さに対する説明も無かったようなので数年この形で過ごしていたようです。
住宅の竣工直後がどういう状況だったかはわかりませんが、もう少し配慮があっても良いかなと感じました。
B-ここは歩道まで距離があったので緩やかなスロープと階段の併用で計画しました。植栽を楽しみながら毎日歩く意味のあるアプローチになったのではないかと思います。仮にもう二段階段をつくっておいてくれたらかなりコストの面で助かったのではないかと思います。
A-これも明らかに1段分の階段が足りません。周りの設備等の高さ設定を見ても明らかです。あとは外構で。という感じでしょうか。やはり同時施工のコスト等の優位性みたいなものを考えてしまいます。他に何か理由があるのかも知れません。しかし、外構整備までの不自由さは施主様が負う事になるので仮の対応でもあれば良いのかなと思います。。
B-出入りの方向性に配慮して半円形の階段ポーチを増設しました。設置してあったポストの前面にポーチを伸ばしてあります。外構の一部として整備していますが建築の一部として見られる場合もあるかと思いますので建築家の建築に対する思い入れが反映されたものになっていれば良いのですが。
これら事例の伝えたい事は、低コストで納めるならスロープで良いが、安全性・景観製・利便性に欠けるために建築時に階段をもう一段足してくれるだけで施主側の快適性が大きく違ってくるケースが多く見受けられるという点です。また、住宅の設定レベルがなぜここなのかという事を施主様に理解していただけるように説明するという事です。多くの人が言えずに、聞けずに不便なまま毎日を過ごしている現状があるという事です。それが当たり前と何も感じていなかったのに外構工事によって今までの不便さに気づかされる人が多くいるという事実です。
まだまだ多くの事例があります。
その他の対応事例
これから新築を考えている方にも参考になればと思います。
次回は「越境」について考えてみたいと思います。
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