200832(日)

放牧飼養されたブラウンスイス種とホルスタイン種の比較研究


放牧飼養されたブラウンスイス種とホルスタイン種の比較研究

 昨年、畜大の学生さんの「放牧飼養されたブラウンスイス種とホルスタイン種の乳生産および血液成分の比較」という研究に協力をさせていただきました。

 それによると、ブラウンスイスのMUN(乳中尿素窒素)値がホルスタインよりも高くなっています。MUNが高いということは、摂取タンパクが多いか、エネルギーが不足しているかのどちらかですが、エネルギーが不足し体脂肪が動員されたときに増えるとされる乳中のリノール酸は、逆にホルスタインのほうが高い値を示しています。同様にエネルギー不足・体脂肪動員と関連する血中のNEFA(遊離脂肪酸)も、ホルスタインの方が高い値になっています。つまり、ブラウンスイスのMUNが高いのは、摂取タンパク質の量が多いためであるということになります。放牧飼養において、牧草摂取量ではブラウンスイスがホルスタインを上回ると思われ、エネルギー不足による体脂肪の動員ではホルスタインにその傾向が比較的強く見られることから、ブラウンスイスのほうが放牧適正が高いというのが学生さんの説です。

 これは、身を削ってまで乳を出すブラウンスイスがうちにはいないことや、去年の暑い夏の日、ホルスタインが日陰で休んでいる時でさえも、ブラウンスイスが草を食べ続けていたことなどと一致するものです。

 学生さんはチーズを作ってその比較もしています。何回つくってもブラウンスイスの乳で作ったほうが黄色みが強くなっています。学生さんは草をたくさん食べているからではないかと言いますが、これはわかりません。

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 現状では、エサが高くなったといっても乳代よりは安いので、まだ配合飼料をやって乳を搾るほうが所得が高くなる計算ですが、もっと穀類がひっ迫すれば状況は変わってきます。ホルスタイン一種に依存することが本当にいいことなのか、立ち止まってみてもいいのではないでしょうか。

 今年から、根釧農試でもブラウンスイスの試験が行われるようですが、どのような比較試験が行われ、どのような結果が出るか楽しみです。

 

 






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