200911(木)

新年早々堅い話ですみません


   本来、行革は一律削減・節約とは違う(1)


 行財政改革を進めて財政の健全化を図り、町民参加のまちづくりを実現しようとするという考え方は今や町中で共有されていると思います。

 しかし、行革は単なる削減や節約とイコールではないはずです。構造改革や意識改革によって、経費を掛けずに同じ効果を得ることを目的とすべきです。

 借りたお金を返すことは個人であれ、企業であれ、町であれ当然のことであり、その上で、どう行政サービスを充実させ、町を活性化させるかが本当の課題です。

 行政サービスを削り、町民に負担をかけて町の負債を減らしたことが行政の自慢すべき実績になるはずがありません。

 お金がない中でいかに町民の福祉を増進させられるかが行政改革の成果だと思います。お金がないことを宣伝して町民の要求・要望を抑え込むことを行革の成果にしていいはずがありません。それでは本末転倒です。


 本当に必要なことにお金を使うために財政健全化を図っているのではなかったでしょうか。

 12月議会において「緑のおばさん」を廃止する条例案が賛否同数議長裁定で否決になりました。

 行政改革を単なる削減・節約とはき違えた机上の考え方が、現場の必要性によって否定された結果だと思います。

 児童の交通安全街頭指導にボランティアの力を活用するという方針には基本的に賛成です。

 しかし、清水小学校に向かう妙覚寺前の交差点は非常にあぶない箇所であって、専任の方が毎日しっかり張り付くことが望ましいことは、現場の関係者だけでなく執行側も認めています。

 公共の担い手としてボランティア活動を活発化させることはもちろん大事ですが、町が行うべき事業を決める際に町民の参加を得、現場の声が生かされることは自治の基本です。


 費用対効果を無視した削減は行革とはいわないはずです。

 3月議会において否決された2つの条例案はそのことが問われたと思います。

 3年に1件、あるいは5年に1件あるかないかの新規(参入)就農者に対する奨励金100万円を半分に減らすことが、費用対効果でプラスになるのかは大いに疑問です。

 単に金額を減らせば行革が進んでいるような感覚は改める必要があります。

 しかし、もっと言えば、わずかばかりの奨励金よりも研修制度の充実や就農認定の明確化が、将来を考えればより重要だと思います。

 また、町民や職員の研修費が大幅削減され、一方で商工業における後継者問題が深刻さを増すなど、人材育成に対する危機感は強まっていると感じます。


 事業に優先順位をつけて、正しい行革を進めるためには、正しい情報を提供する必要があります。

 昨年、さわやかプラザを廃止しようとした際に、きずな園の施設が老朽化し、特にボイラーが危険な状態なので、その移転先が必要だとの説明がありました。

 しかし、緊急性を要したはずのきずな園のボイラーは、特に修理されることもなく一年が過ぎ、さわやかプラザ廃止ありきの説明だった疑念が持たれています。

 削減一辺倒の中で、町民参加の手段である審議会も委員数ばかりか開催回数まで最低限に抑えられています。どうせ町民の声なんて聞く気がないのだと捉えられてもおかしくありません。


 第1次の緊急3ヵ年計画(17~19年)はとにかく財政を立て直すために、それこそ緊急に作った削減計画です。

 しかし、今、これから長期にわたる財政難の中にあって、しっかりとした町民の自治を築いて、行政のスリム化と行政サービスの充実を両立させるためには、新たな発想で、将来に向けた布石を打っていくことが重要です。

 そもそも、地方交付税が減少に転じた平成12年から財政健全化の取り組みを進めていれば、こんなにも大幅な削減を行わなくてもよかったはずです。

 気付いたときが始めるときです。後から後悔しないために、一人ひとりがしっかり考えることが大事だと思います。

 やがて、それが大きなうねりとなって、活気のあるまちづくりができていくのだと信じます。






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橋本てるあき
橋本牧場(酪農)場主

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