2009104(日)

芦別アルプス~理想的な放牧酪農の秘境


芦別アルプス~理想的な放牧酪農の秘境

 先日、芦別市で北海道草地協会の放牧研修会が開催され、私は北海道放牧酪農ネットワークからの派遣という形でお手伝いさせていただく機会を得ました。

 放牧というと根釧や天北がまずイメージされ、最近では足寄の認知度が高くなっていると思います。

 旧産炭地芦別の農業は稲作主体で、酪農は数的には盛んとはいえない状況のため、「芦別の放牧」といってもピンとこないかもしれません。

 しかし、温暖多雪でライグラスを冬枯れの心配なく使えることや、丘陵地ながらまとまった面積を確保できているなどのことから、数は少ないですが酪農家は全戸放牧を実施しています。

      
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 訪問した2戸の牧場では、草地をスコップで掘ってみると、団粒構造がよくできていて、ミミズも多数見つけることができました。

 気候条件に土壌の良さも加わり、年数を経たライグラス草地が実に生き生きとしていました。

 傾斜のある地形のためか、小牧区輪換放牧ではなく、一牧区方式で採草地も一部、秋以降放牧地に追加する形態がとられていました。

 地域の立地条件から普通に放牧に取り組み、ニュージーランド型の小牧区輪換による高利用放牧を取り入れなかったことも、芦別の放牧がこれまであまり注目されてこなかった一つの原因だろうと思います。

 しかし、芦別の酪農は、小牧区輪換だけが利用効率の良い先進的な放牧ではないことを証明できる、非常にすばらしいインパクトの強い事例になりうると思います。

 ただ、一牧区方式の実践で気をつけなければならない、季節による草の伸び方の変化への対応は、現状では、草が余ってきたら掃除刈りする、ということにとどまっています。

 草地における草の生産性の季節変化を数値化する意識を高めれば、草地管理、飼料飼養管理において、もっと楽しく、より自然に放牧で乳を搾ることができるのではないかと思います。

 景観の良い丘陵地でライグラスの草地に思いっきり放牧できる。夢のような酪農経営は、札幌から1時間圏にあり、観光資源としても相当な価値があると思います。







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橋本てるあき
橋本牧場(酪農)場主

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