201138(火)

搾った乳を捨てないで済むのが一番


搾った乳を捨てないで済むのが一番

 政府の規制仕訳で、酪農の競争力強化のため、指定団体への全量委託販売を見直すことが議論されたようです。

 がんばって質のいい生乳を生産しても集められて一緒になり、飲用や加工用など価格の違う用途に向けられても受け取る乳価はプールされて皆いっしょでは、酪農家はやる気もでない。もっと自由に取引できるようにすべきだという考え方には、うちのCEO(妻のことです)が理解を示しました。

 私のような酪農家3代目と違い、妻は本州の農家でない家庭の出身である上、日々の努力がお金で報われないと納得しない人です。女性はその点はっきりしているような気がします。

 それでも、全量委託販売が基本であるべきだという考え方では一致しています。

 それは、搾った乳を捨てないで済むのが、酪農家にとって何より重要だからです。

 新しく分娩して生産を開始する牛や逆に乾乳になる牛がいたり、エサや天候の影響を受けるなどして、毎日の生乳生産量は一定ではありません。それでも全量、ローリー車が来て持っていってくれる。これは生産枠と価格補償があってのことです。

 酪農家が自家プラントを持って乳製品の製造販売を行う場合に、買い戻さないで直接原料にできる生乳枠を一日1トンから拡大すべきという点も、インサイダーであることが前提の議論です。






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橋本てるあき
橋本牧場(酪農)場主

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