2013318(月)

TPP参加は消費者の利益?


 首相のTPP交渉参加表明の記者会見で、ある女性記者の質問が気になりました。

 質問は、TPPに参加することで農業は大打撃を受けるというが、それは消費者が受ける利益と比較してどちらが大きいのかというようなものでした。

 首相は、農業には重要な多面的機能があり、守っていかなければならないと答えていましたが、何か本当に大事なことを置き去りにしているような質疑応答だったと感じました。

 それは、外国から安い農畜産物が入ってくることが消費者の利益になるという前提に立っているからです。

 消費者の利益とは価格の安さなのでしょうか。

 今日食べたものが明日自分の体になると思えばそうは言えないはずです。

 地産地消、医食同源の思想こそが生物としての人の利益ではないでしょうか。

 アレルギーの苦しみを持てば、安さで食料を選ぶことはできなくなります。

 ポストハーベスト農薬のかかった農産物をこれ以上増やすことが消費者の利益なのでしょうか。

 非選択性除草剤と遺伝子組み換え作物を組み合わせた農業から生まれた農産物を、知らずに口にするのが消費者の利益なのでしょうか。

 ホルモン剤を注射して乳量を増やしてまで競争力を向上させている牧場から生産された乳製品を口にするのが消費者の利益なのでしょうか。

 化石燃料を焚いて運んで来たものを食べながら、温暖化防止のために節約生活をするのがスマートな生き方なのでしょうか。

 もちろん、国内の農業に食の安全についての100%の優位性があるわけではありません。

 農家にも、土づくりをしっかりして健康な作物を育て、農薬の要らない農業をめざしていくことが求められます。

 食料・農業・農村を正しくしていくことが国民の利益であるはずです。

 消費者の利益が国内農業を守ることで損なわれるなどという発想がある限り、日本はまともな国にはならないと感じます。






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橋本てるあき
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