200657(日)

牛舎火災から丸2年

牛舎火災から丸2年

 今日(もう昨日か)5月6日は忘れられない日である。朝3時過ぎに妻の悲鳴で起きたこと、燃えさかる牛舎からの牛6頭と犬1匹の断末魔のほえ声、集まった近所の仲間をはじめ多くの方々や乳器メーカーのおかげで昼前の11時には急増パーラーで搾乳ができたこと。克明な記憶が今でもよみがえる。

 命がけで消火に当たってくださった消防の方々、手作業で火災あとの途方もない量のごみの後片付けをしてくださった方々、激励に訪れてくださった多くの方々への感謝の気持ちを忘れないため、昨年焼け跡へ石を置いた。

 あんなにえらい事態を招き、人々のお世話になったのに、落ち着いてくると当然ながら平静な日常が当たり前になってしまう。火事の日は搾乳できたことだけで感激したのに、やがてもっと暖かい施設で搾乳したいなどと思うようになってくる。

 石にお金をかけるくらいなら牛舎にかけた方がよいという考え方もある。が、私はお金も施設も人の心が作るものであり、実体のない心というもののよりどころとして石も有効だと思っている。

 石に彫られた「謝」の文字には感謝の意をこめたのだが、妻は石を見るたび、死なせてしまった牛や犬にすまないという気持ちになるという。もちろん、その気持ちは私にもある。








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橋本てるあき
橋本牧場(酪農)場主

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