まちづくり・政治(59)


20091224(木)

おしおきするだけでは済まない議会の役割


 町の公共料金の見直しの中で、体育館や文化センターの利用料を値上げすることについて、議長を除く議員全員で作った特別委員会で否決していながら、本会議では特別委員会の委員長が賛成したほか、反対した議員のうち2人が賛成に転じて一転可決したことについて、新聞に批判的な囲み記事が載り、町民からも疑問の声が上がっています。

 議案がそのままなのに、町長が「説明不足があった」と陳謝したり、「問題点は早急に見直したい」との説明を信じて賛成に転じたことは、確かに議員の信念を疑われても仕方ありません。

 しかし、昨年の今ごろまで議員を務めさせていただいていて、議会の雰囲気を知っている立場としては、それほど驚くべき事態ではありません。もちろん異常だとは思いますが。

 問題は、議案を否決することに対して、町長側ばかりでなく、議会側にも「あってはならないこと」という認識があることです。

 昨年の3月議会で、町の奨学金の条例を廃止する案と、新規就農者に対する助成金を半減する案の2件について否決した時も、そのあとの懇親会では、議長や議員会長のあいさつに「残念ながら全て原案可決というわけにはいきませんでしたが」というくだりがありました。

 今回のことでいえば、特別委員会で否決したことで、「これで執行側も慎重に検討するだろう」、「議会としては一定の役割を果たした」という気分が生じたとしても不思議はありません。

 しかし、地方分権が進んでいく中で大事なことは、町への権限委譲の数を増やすことなどよりも、議会が町民の代表としてちゃんと機能して、自分たちの町のことを自分たちで決められるかどうかだと、私は思います。

 清水町の体育館や文化センターの利用料がいくらなら適正かは、清水町民でなければ決められません。国の基準があるわけでなし、他の町を見ても歴史や文化、財政事情が異なります。 

 町長におしおきしたように見えても、実はメンツを保たせただけ。責任を町長に押し付けただけです。




2009118(日)

道の駅って何だろう?


 「国道が2本も通っているのになぜうちの町には道の駅がないんだろう」という声をよく聞きます。

 一方、町としては、「道の駅で採算の取れているところはほとんどない」、「高速道路の週末1000円で管内の道の駅はどこも苦戦している」として、道の駅設置については慎重に検討するとしています。つまりは、当面、取り組むつもりはないとの考えです。

 町の考えも一見もっともらしく思えますが、道の駅をほしがる町民の声とは全くかみ合っていません。

 採算が合えば取り組むが、赤字になりそうなのにそんなことはできない。まして、財政が厳しいときに。そんなところでしょうか。

 ここに2つの問題が見出せます。ひとつは、いまだに町が自ら経営し採算性を気にしなければならないという発想。もうひとつは、もし財政が豊かだったら町民の強い要望にこたえて赤字でも設置するのかということです。

 道の駅をひとつの経営ととらえれば、うまくいくかいかないかは、それぞれのやり方次第であって、確実にうまくいきそうだからやるということなら永遠に実現は難しいでしょう。だからこそ、民間の力が必要なのです。

 最も大きな問題は、道の駅が果たす役割についての考え方が整理されていないことだと思います。

 道の駅がほしいと思っている町民が求めているのは、町の顔、看板としての施設、町のアイデンティティや町民の活動(経済・文化)の表現の場、町の経済への波及効果ではないでしょうか。

 ただ施設を作って、どこにでもあるみやげものを並べるだけの道の駅なら、私もいらないと思います。

 しかし、道の駅を否定することが、町民のまちづくりへの思い、特産品づくり、経済の活性化まであきらめることにつながれば、町民の町に対する誇りはずたずたです。



2009112(月)

誰のための資料?~役場流儀の町民参加


誰のための資料?~役場流儀の町民参加

 平成23年からの第5期清水町総合計画を策定する「清水町新たなまちづくり計画策定委員会」の会議が4回終了しました。

 毎回、共通しているのは、時間切れ、あるいは消化不良で終わってしまうことです。説明を聞いている時間が長くて十分な議論ができなかったり、配布された資料が役場の内部資料をそのままとじた分厚いもので容易に理解できないことが、その原因だと思います。

 今回の計画策定に当たっては、まちづくり基本条例の趣旨に沿って町民参加を得て行う方針が示されていますが、形だけ整えればよいと考えているのではないかと思われかねない進め方といわざるを得ません。

 まちづくり基本条例の条文中に明文化された町民参加の具体的要素は、審議会等における委員の公募と住民意見提出制度などですが、条例の趣旨に沿って町民参加を進めるならば、役場の外の町民にもわかりやすい資料を作り、わかってもらうための説明を行い、理解を共有することが、まず求められます。

 また、会議を重ねるうち、役場の仕事の流儀が一般のそれと違うことも、次第に委員たちにわかってきました。

 先日の会議でも、第4期の総合計画の評価について、行政の自己評価と町民が感じている町政の満足度にギャップがある、役場で「ちゃんとやってます」ということが町民の身近なところでの結果につながっていないと、委員から鋭い指摘がありました。
 
 そもそも、策定委員会そのものが町民参加のアリバイ作りのためのものだとの指摘もあります。「町民参加」ということは行政主導、行政中心が前提であるともいえます。

 これが「町民参加」の限界なのか。

 いや、私たちは、町民自らが10年後の清水町を照らす灯台のような計画を作るんだという、今回の計画策定の原点を忘れてはいけません。

 そのためには仕事の流儀を変えることが必要かもしれません。そして、それが新たなまちづくりの第一歩かもしれません。
 



2009920(日)

宝物は何ですか?


宝物は何ですか?

 先日、娘の通うジャズダンスの発表会が清水と帯広で行われました。

 舞台は2部構成になっていて、第2部は、宝の地図を手にした少年が仲間と宝探しの旅に出る、あの「宝島」です。 

 海賊まで出てきて、金銀財宝をめぐって戦うことにもなりますが、本当に大事なものは、そんな財宝なんかじゃないんだと気づくというストーリーです。

 プログラムの中ほど、「宝島」のページには小さな封筒が張り付けてあり、中には「あなたの宝物は何ですか?」と書かれた紙が入っています。

 楽屋で、2人の小学生(ダンサー)が妻に、それぞれ自分の宝物は「友だち」、「家族」だと言ったそうです。

 宝物か・・・。



 電源地域振興センターの研修では、「地域で一番大事なものは」、「地域振興、観光振興に携わる上で一番大事にしなくてはならないものは」と宿題を出されました。

 このところ、清水にとって大事なものは何だろう、観光資源は何だろうかと、そんなことばかり考えさせられているような気がします。

 
 清水町新たなまちづくり計画策定委員会のアドバイザー吉岡宏高札幌国際大学准教授は、先日開催された委員会の中の講義で、「外からの光によって自分の足元が見える」と、町内の宝探しには町外からの視点が欠かせないと指摘されています。


 和みの風さんは書きました。

> で、清水町の宝ですか。
> たくさんありますよね。
> 以前ブログにも書きましたが、
> 牛の品評会なんておもしろいですよ。
> 一般の方でも分かりやすくしたら何という観光資源でし
> ょう。
> 牛が産まれる瞬間を間近で見ることが出来る仕組みを作
> ったら
> どんな感動映画にも負けないと思います。
> あの戦車の様なコンパイン。
> トラクター試乗ならぬコンバイン試乗が出来たら、
> 私はお金を払ってもいいと思います。
> テレビで見ましたが、
> 甜菜工場の現場は迫力ありますね。
> 実際に体感してみたいものです。

> まだまだありますよ。
> 景色だったり食材だったり。
> どう提案するのか、どうアピールするのか、
> どこまで観光に力を入れるのか。
> 現実的ではない案をどうやって現実化するのか。
> 「自分たちが楽しむ」ということにどん欲だったら、
> もう少し変わっていくのかもしれませんね。

 和みの風さんのように清水に移り住んで観光に携わる方の意見こそ、生かされなければいけませんね。




2009912(土)

住民参加型から行政参加型へ


 「地域資源を活用した観光振興を学ぶ」その5。

 山田桂一郎氏は、「住民主体による地域づくりからの観光まちづくり」をこの研修のまとめとされました。

 近年、まちづくりにおいて、住民参加を進めることが叫ばれていますが、山田氏によれば、それはまだまだ行政中心の立場から抜け出せていないことの表れということになります。

 つまり、行政は住民らの多様な活動の連携の輪の中でその役割をしっかりと果たすべきということです。

 それは、人、モノ、金の動きを把握し、波及効果を可視化すること、住民の知恵を行動に移していくための場所をつくること、人材バンクをつくることなど、どちらかといえば住民の活動をあたたかく見守るという役です。

 行政が中心の取り組みでは、住民の知恵をつぶすための、いわば「ガス抜き」のための会議がもたれたり、住民の知恵が行政の手柄として実施されたりするケースがあるとか。わかります。

 清水愼一氏も、多様な担い手が連携する新たなコンソーシャムを作り、持続的な「まちじゅう観光」を実現させることが不可欠といい、最悪なのは、行政の思いつきで観光振興を行うことだとされています。

 住民の活動が何もない、起こらないということがどこに原因があるものなのか、何かしようとすれば足を引っ張り合うといわれる町風、それを解決するのが清水町における行政の課題であって、住民が何もしないから行政が直に観光事業をやるというのはまったくの間違いということです。

 観光振興という外部の評価を受ける取組を行うにあたっては、町内での連携に加え、エリアを同一とする近隣町村との連携も不可欠です。

 山田氏によれば、バブルの前も後も変わらず人を集めている観光地は、目的(温泉、食事など)ではなく、エリアで選ばれているとのこと。

 地域が連携して、地域の魅力を向上させることが必要で、自分のところだけが良ければいいという事業者の地域は落ち込んでいるという話は、まったくその通りだと思います。

 「こんな町に住んでいるなんて、まったく清水町民がうらやましい」と思われるようなまちづくりをしっかりとすることが、遠回りでも清水町の観光振興、リピーターによる滞在型観光への第一歩だと改めて感じています。

 おわり
 



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橋本てるあき
橋本牧場(酪農)場主

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