放牧・酪農・農業(84)


2011516(月)

放牧してこそのブラウンスイス


放牧してこそのブラウンスイス

 先月、新得町において開催された北海道ブラウンスイス協議会の研修会では、農業試験場の試験結果としてブラウンスイスの乾物摂取量がホルスタインより下回っているとの報告がされました。

 これは、粗飼料中心での乳生産により循環型農業を担う品種としての期待を裏切る結果と言えなくもありません。

 まぁ、ブラウンスイスを実際に飼っているものからすると、それほど驚くべきことでもありません。以前にも書いたと思いますが、粗飼料だけでより多くの乳を出すような能力があるのではなく、身を削らない程度の乳を出すので、粗飼料だけでも飼いやすいというのが実感です。

 ただ、試験場では、TMRを与えての試験しか行っておらず、ブラウンスイスの本領を発揮させているとは言えないと思います。

 ブラウンスイスは放牧期間中のMUNがホルスタインより高い傾向があり、同時に乳タンパクも高いことから、放牧草をたくさん食べているのではないかと推測されます。

 この2、3日、草がぐぐっと伸びてきたと思ったら、わが家のブラウンスイスたちも「らしからぬ」乳量の伸びを見せています。

 やはり、ブラウンスイスは放牧してこそ生きる牛なのではないかと感じます。



2011422(金)

今までで最も早い放牧初日


今までで最も早い放牧初日

 4月17日、今年初めて牛たちを放牧地に出しました。今までで最も早い放牧初日です。これまでは、2008年の4月19日が一番でしたが、それを抜きました。

 そういえば、7年前、牛舎が火事になった時も早くから放牧できた年だったなと思い出します。5月3日には夜も放牧に出していて、ほとんどの牛たちは6日未明の火災を免れたのでした。

 あの時は、本当に多くの方々に助けられて再建を果たすことができましたが、私の牧場が災難に遭ってみなさんに助けられたのは、その時が初めてではありません。

 40年以上前ですが、雷が牧場に落ちて、当時8頭飼っていた牛のうち4頭が死んでしまいました。この時、町の酪農振興会の方々がカンパして下さり、牛1頭を買うことができました。

 助けてくださった方々へのご恩返しは全くといっていいほどできていませんが、せめて、そのご恩にそむかない酪農経営を営んでいきたいと思います。



201138(火)

搾った乳を捨てないで済むのが一番


搾った乳を捨てないで済むのが一番

 政府の規制仕訳で、酪農の競争力強化のため、指定団体への全量委託販売を見直すことが議論されたようです。

 がんばって質のいい生乳を生産しても集められて一緒になり、飲用や加工用など価格の違う用途に向けられても受け取る乳価はプールされて皆いっしょでは、酪農家はやる気もでない。もっと自由に取引できるようにすべきだという考え方には、うちのCEO(妻のことです)が理解を示しました。

 私のような酪農家3代目と違い、妻は本州の農家でない家庭の出身である上、日々の努力がお金で報われないと納得しない人です。女性はその点はっきりしているような気がします。

 それでも、全量委託販売が基本であるべきだという考え方では一致しています。

 それは、搾った乳を捨てないで済むのが、酪農家にとって何より重要だからです。

 新しく分娩して生産を開始する牛や逆に乾乳になる牛がいたり、エサや天候の影響を受けるなどして、毎日の生乳生産量は一定ではありません。それでも全量、ローリー車が来て持っていってくれる。これは生産枠と価格補償があってのことです。

 酪農家が自家プラントを持って乳製品の製造販売を行う場合に、買い戻さないで直接原料にできる生乳枠を一日1トンから拡大すべきという点も、インサイダーであることが前提の議論です。



2011226(土)

草づくりコンクール出ちゃいました


草づくりコンクール出ちゃいました

 2月23日、北海道草地協会主催の草づくりコンクール表彰式で恥ずかしながら最優秀賞・知事賞を受賞しました。

 「今さら賞なんてもらってどうするの」と冷やかされたりもしましたが、政府の事業仕訳の対象となり、このコンクールも今年が最後と聞き、つい研修会での発表では力が入ってしまいました。

 土づくり、草づくりは酪農の基本中の基本であり、コンクールはもとより北海道草地協会があってもなくてもしっかり取り組まなければならないはずのものですが、今の政権の下では予算がなくなることがイコール土づくり草づくり軽視につながってしまうのではないかとヒヤヒヤしてしまいます。



2011226(土)

神門先生は過激な常識派


神門先生は過激な常識派

 2月20日、「『農』の周辺講座」なる講演会に参加しました。講師は「さよならニッポン農業」など批判的な論調の著書で知られる神門善久氏です。

 かなり身構えて参加したのですが、お話は前半に限っていえば非常に常識的で共感できるものでした。

・土づくりを基本とした耕作技術向上が大事で、良い農産物とは健康に育った農作物である。

・学者やマスコミは技術を語らずに農業を論ずる傾向がありレベルが低い。

 もっともなことだと思います。

 ただ、農産物の関税が撤廃された時にどんな展開をすれば生き残れるのか、ヒントを求めて参加した人たちには全くの期待外れだったようです。

 耳を疑うような本州農業における無秩序な農地利用の実態(?)や農業委員会が機能していないとの決めつけは、北海道には当てはまる話ではなく、「平成検地」で農業再生を図るんだといわれても、ピンとくる人はほとんどいなかったのではないでしょうか。

 しかし、農業専業地帯である十勝が、今後とも技術と担い手に恵まれて発展していくためにはどうしなければならないか考える機会にはなったと思います。



<<
>>




 ABOUT
橋本てるあき
橋本牧場(酪農)場主

性別
年齢50代
エリア清水町
属性個人
 カウンター
2005-11-29から
261,448hit
今日:36
昨日:17


戻る