放牧・酪農・農業(84)


2010928(火)

牛はやっぱり食って寝てなんぼ


牛はやっぱり食って寝てなんぼ

 無心に草をむしり食べて歩き回り、腹がいっぱいになったところで寝て噛み返しをする。これが反芻動物である牛の健康的な生活の基本です。

 「食って寝たら牛になるよ」と、ぐうたらを戒めるのは、あくまで人間向けです。

 今年の夏は異常に暑くて、日中、日向で好きに食べたり寝たりできませんでした。秋になって、やっと牛たちの季節になったような感じです。



201092(木)

今年は斉藤牧場も草余り


今年は斉藤牧場も草余り

 8月27日、北海道草地協会の「放牧経営技術指導のための指導者会議」で、旭山の斉藤牧場を訪れました。

 公園のような短い草に覆われた、山あり谷ありのながめの良い草地が特徴の斉藤牧場ですが、私たちが訪問して目にしたのは、豊富な草量のケンタッキーブルーグラスとそのためにクローバーが減少した草地でした。

 今年は全道どこでも、雪解けの遅れから放牧初めが遅くなった反動でその後爆発的に草が伸び、高温多雨で高生長が持続しています。誰に聞いても、「放牧地の草を余らせてしまった」というのは共通しています。

 よく、年中短い草を維持している斉藤牧場を見学した人々から「あそこは特別だ」という感想を聞きますが、草の生理生態に変わりがあるはずはなく、適正なストッキングレートに配慮した草地管理ができているかどうかに尽きると思います。



2010828(土)

水と日陰と群行動


水と日陰と群行動

 今年の夏は暑かった。というか、まだ朝晩を除けば、暑さは続いています。

 放牧は、場合によっては炎天下に牛たちをさらすことになります。

 放牧の牛たちに必要なものは、清潔な水、木陰、そして、それらが牛群にとって十分な容量があることです。彼女たちは群れで行動するので。

 私の牧場には、水槽と日陰林があるので、それほどのダメージはありませんでしたが、日陰で休んでいる時間が長くなって採食量が低下したので、乳量は落ちてしまいました。

 涼しくなれば回復するでしょう。



201068(火)

目に青葉 未熟ウグイス 初チーズ


目に青葉 未熟ウグイス 初チーズ

 緑がきれいな季節を迎えました。草は一年で最も伸びが大きく、栄養価の高い時期です。



      
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 「ホ~、ケキョッ」何か足りない未熟なウグイスの鳴き声に、思わず立ち止まる牛。



     
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 放牧に牛たちを出し始めてから作ったチーズ。歩留まりが良かったせいか、いつもより分厚い出来です。そして黄色い。



2010523(日)

見えない敵との戦いは科学的・合理的に、冷たいと言われても


見えない敵との戦いは科学的・合理的に、冷たいと言われても

 久しぶりの更新になります。春作業で忙しかったこともありますが、それ以上に、宮崎の口蹄疫問題に対する複雑な気持ちがあります。

 飼っている家畜がいつ感染するかという恐怖。飼っている家畜を殺処分しなければならない事に対するやりきれなさ。

 想像するだけでは命の重さは理解できないかもしれません。失わなければ。私は、かつての牛舎火災で助けられなかった5頭の牛たちが、炎に包まれた牛舎の中で吠えていた声を今でも忘れることができません。

 今、宮崎の畜産家の目の前は真っ暗だろうと思います。そして、真っ暗な中でいつ来るかわからない夜明けに向かって戦い続けていることと思います。

 それは私たちにとっても他人ごとではありません。同じ家畜を飼うものとしてその心情は痛いほどわかります。そして、目に見えないウイルスという敵と戦う不安を共有するものとしても。すでにウイルスは全国に拡散しているかもしれません。

 治療法のない口蹄疫を終結させるには、ウイルスの封じ込めしかなく、火事でいえば、延焼を防ぐためにまわりの家を壊すような手段しかありません。感染した地域は一時的に「捨てられた」状態になってしまいます。

 ひどい方法ですが、感情で判断を誤らせることなく、科学的かつ合理的な方法を迅速に実行するしかないと思います。ウイルスを相手にしては。

 「牛がかわいそう」、「種牛は宝」。どれもよくわかりますが、ウイルスにとっては何の価値もないことです。

 政府はワクチン投与・殺処分と経営再建補償をリンクさせてはいけないと思います。対応の遅れは命取りです。

 まず、口蹄疫を終結させる。あとのことは全部そのあとでいいではないですか。



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橋本てるあき
橋本牧場(酪農)場主

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