放牧・酪農・農業(84)


201054(火)

やることがいっぱいの5月


やることがいっぱいの5月

 昨年より10日以上遅れましたが、放牧初日を迎えました。

 やっぱり牛は草の上にいるべき存在ですね。来るべき季節が来たという感じがします。

 季節といえば、5月になって、WWOOFerの受け入れを再開しました。

 WWOOFのホストとして農村生活の楽しみを伝えていきたいと思います。

 ホストといえば、今年から旅館業法の許可を取って簡易宿所(農家民宿)を始めます。

      
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 酪農体験したいという方、牧場を五感で感じたいという方、調査研究で牧場に来てビールを飲んでしまったという方などに利用していただきたいと思います。

 また、草地協会の放牧実践牧場の認証を受ける予定です。

 放牧している牧場としていない牧場を線引きすることの是非については賛否あるところですが、反芻動物である牛の生理にかなった飼養管理の方法として放牧を生かしていきたいという考え方を発信していきたいと思っています。

 なんだかやることがいっぱいです。



2010225(木)

ニュージーランド輸入精液は使えるか


 今日、帯広でニュージーランド輸入精液説明会(ファームエイジ(株)主催)があり、CRVアンブリード社のマイケル・バリー氏のお話を聞きました。

 ニュージーランドの酪農は、昼夜放牧、季節繁殖が一般的で濃厚飼料もほとんど与えません。

 そういう条件下で選抜・育種されたニュージーランドのホルスタイン・フリージャンは、改良の方向性が、濃厚飼料多給で高泌乳の北米型のホルスタインとはまったく違います。

 放牧地の草を最大限生かして飼料自給型酪農を実現するためには、濃厚飼料をしっかり与えないと骨身を削って乳を出し、げっそりしていく今のホルスタインは使いにくいというのが、多くの放牧主体酪農家の感想です。

 そこで、ニュージーランドのフリージャンの精液輸入を求める声が高まっていたのですが、実際に使う段になると、いろいろと課題もあります。

 まずは体格がひと回り以上小さいこと。北米型のホルスタインへの交配では、娘の体重が100~150kg小さくなったとの話もありました。

 放牧適性では優れているのかもしれませんが、個体販売を考えると決定的に不利になるのは間違いありません。

 市場では、発育不良と判断されて叩かれてしまう恐れがあります。放牧酪農家同士での売買で真の価値を評価し合うなどしなければ、せっかくの能力が生かされなくなってしまいます。

 次に、濃厚飼料を与えた飼養管理下で乳房がパンクする心配はないか、ルーメンアシドーシスになりやすいという心配はないかという問題があります。

 このあたりは、実際に飼ってみないとわからない部分でもあります。

 いずれにしても、草だけで乳を搾るスタイルの中で作られてきた牛ですから、草を良くすることで乳生産も上がるという、農家本来の喜びを実感できる牛であるともいえます。

 実際に使えるようになれば、試されるのは私たちの方でしょう。



2010129(金)

ブラウンスイスはお産が遅れる? んじゃなくて妊娠期間が長い


ブラウンスイスはお産が遅れる? んじゃなくて妊娠期間が長い

 ブラウンスイスの子牛が産まれました。予定よりも3日ほど遅れて。

 ブラウンスイスの場合、もともとの妊娠期間が、ホルスタインよりも10日ほど長いので、ホルスタインの予定日よりも2週間も遅れたことになります。

 知らないでホルスタインの予定日で待っていると、えらい遅れて不安が日々増大することになります。

 ブラウンスイスを初めて産ませる人には知っておいてほしいことの一つです。

 また、関係機関にも理解と周知をお願いしたいと思います。

 乳牛市場の出場牛名簿には、分娩予定日が掲載されているのですが、最終授精月日から自動的に計算されるようで、品種による妊娠期間の違いは考慮されていません。したがって、ブラウンスイスの場合は、記載されている日に、さらに自分で10日足さなければなりません。

 家畜共済の子牛共済に加入していると、分娩予定日が過ぎても出生報告がない場合、事務所から確認の電話があります。ブラウンスイスはいつも電話の対象です。

 古い資料で申し訳ありませんが、私が授精師免許をとった時の教本に家畜の妊娠期間についての表があります。

 それによると、

ホルスタイン 279日
ジャージー 279日
エアシャー 278日
ガンジー 284日
ブラウンスイス 290日
黒毛和種 285日

サラブレッド 338日

ザーネン 154日

メリノー 150日

ランドレース 114日

となっています。



2010128(木)

ブラウンスイス改良の方向性、ブラウンスイスに何を期待すべきか


 先のブラウンスイス協議会で話題になった、ブラウンスイスの改良の方向性については、会員の中でも様々な考え方があるように思います。何を目的にしてブラウンスイスを飼っているかにもよると思います。

 (1)ブラウンスイスの乳でチーズやヨーグルト、アイスクリームなどを作り、付加価値を増す。

 (2)放牧主体の飼養に適した牛としてブラウンスイスを飼養し、土地利用型酪農経営を色濃くする。

 (3)かわいらしく、めずらしい牛を飼うことで、牛舎に行く楽しみが増える。観光資源にもなる。

 (4)その他(ブラウンスイスの丈夫さを生かして、施設型酪農でも長命な牛づくりを図る。など)


 改良目標をどう設定するかについては、産乳量を追求したのではホルスタインと同じ方向性になってしまい、ブラウンスイスらしさが失われてしまうのではないかという意見がある一方で、ある程度の乳量水準でなければ経済的にペイしないというのも事実です。

 ヨーロッパでもスイスブラウンの改良をめぐって、「らしさ」を残す派と、北米のブラウンスイスの血を入れて乳量を増やす派とがあり、揺れ動いているようです。


      
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2010127(水)

ブラウンスイス種を「その他」から独立させよう


 1月25日(月)、北海道ホルスタイン農協(札幌市)で、北海道ブラウンスイス協議会(宮島望会長)の平成22年度通常総会が開催されました。約30名の出席があり、私もブラウンスイス飼養酪農家の一人として出席させていただきました。

 その中で平成22年度は、(1)4月に新得町において研修会を実施し、(2)10月には安平町で開催される全日本ホルスタイン共進会の「北の食パビリオン」に出展することなどが決まりました。

 また、①ブラウンスイス種の北海道における改良の方向性、②雄子牛の活用法、③会員のネットワークの強化、④乳検における品種コード独立の働きかけ などについて意見交換しました。

 特に④については、現在ホルスタイン種以外の品種について「その他乳用種」とひとまとめにされていることから、ブラウンスイス種として品種コードを立てるように、協議会としてはもちろん、現場の飼養酪農家一人ひとりからも働きかけを行っていこうということになりました。

 道や国がブラウンスイスをターゲットにした新規事業をぶち上げて、自然循環型酪農推進の足がかりにしようとし、また、チーズ作りなど農村の6次産業化を推進しようとしている中で、「その他」はないんじゃないのということです。

      
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橋本てるあき
橋本牧場(酪農)場主

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