2010322(月)

いっぽんの樹の気概でやってるものが集まって朝まで飲んだ日


いっぽんの樹の気概でやってるものが集まって朝まで飲んだ日

 3月20日、帯広畜産大学草地畜産専修(別科)の50周年記念式典があり、私も22期生として出席してきました。

 黎明寮歌演奏、式辞に続いて記念講演があり、無農薬・無肥料リンゴ栽培農家木村秋則氏が「リンゴが教えてくれたこと」、6期の大先輩、帯広市の畑作専業農家にして歌人の時田則雄氏が「樹はいっぽんでなければなければならぬ」と題してお話してくださいました。

 木村さんが日本農業の現状に警鐘を鳴らし、めざすべき農業の在り方について思いっきり熱弁をふるったため、時田さんの持ち時間がほとんどなくなってしまいましたが、15分の短い時間の中にお話の要点を凝縮されていました。さすが、短歌を詠む人は違います。

      
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 時田さんは、ご自身の短歌の中から3首紹介されました。


ぴろぴろのぴろらのぷらのぴろぷらにぴろららぷららぷらららぷらら

トレーラーに千個の南瓜と妻を積み霧に濡れつつ野をもどりきぬ

離農せしおまへの家をくべながら冬越す窓に花咲かせおり


 1首目、馬場あき子氏が評価してくれた歌だそうです。短歌は作曲でもあるとの観点からけっこう苦労して作られたそうです。

 2首目、畑作専業農家が本業の時田則雄氏の代表作でしょうか。

 3首目、教科書にも載った歌だだそうですが、農家を経験したことのない先生がこの複雑な心境をどう教えるのかと、ふと思いました。


 また、時田さんは、日本全国同じ歌を東京の季節感で教えても地方に人には伝わらないと言います。北海道が地吹雪の時、千葉県ではもう椿の花が咲いていると。

 地域に根差した文化を大事にすることを訴えられていました。

 最後に講演のタイトルでもある「樹は一本でなければならぬ」理由について話されました。

 猛烈な地吹雪を真っぷたつに切り裂くように立っている一本の樹のように強い気概を持って生きるのだ ということがその意味するところだそうです。

 最近は森もいいと思うようになったとのことですが・・。


 さて、ふだん各地でいっぽんの樹の気概で頑張っている(?)わが22期の仲間は、久しぶりの再会に時間を忘れ、朝の4時過ぎまで語ってしまいました。

 妻「修学旅行の子どもじゃあるまいし、いいかげんにしなさい」。



2010317(水)

企業誘致とまちづくり


 3月議会で議論が集中している経済活性化のための専門委員の設置ですが、はたして専門委員を置けば企業誘致が実現するかというと、そんな簡単なものでないことは誰でもがわかることです。

 経済活性化戦略会議の設置で成果が出ないから専門委員を置くというのではなく、まず、まちづくりをしっかり行うことが大事でしょう。

 ワンストップ窓口を設けたからといって移住が進むのではなく、福祉、教育、医療がしっかりしていることが大事なのと同じです。

 道の駅を作ったからといって観光客が増えるわけではなく、特産物やそこに行かなければ体感できない文化や景観を生かした町並みづくりが大事なのと同じです。

 企業誘致をするためには、核になる産業があるか、受け入れのための環境が整っているか、ビジョンを持って町民と意思が共有された行政かということが問われると思います。

 足場を固めずして、専門委員が飛びまわっても成果が出るとは思えません。

 専門委員のポストを置くことにのみ企業誘致を賭けるのではなく、町の実力・魅力をアップすることに各分野で全力を傾注するために力を合わせることが大事です。

 企業誘致をてこにしたまちづくり。移住・定住をてこにしたまちづくり。観光をてこにしたまちづくり。

 要は、誇りの持てる住みよい、わが町をつくることです。



2010317(水)

あたしも専門委員になれるかな


 「うける!」。妻がパソコンから流れる議会中継の音声を聞きながら声をあげた。

 15日の一般質問で、妻鳥議員が「専門委員」の人選基準について質問したのに町長が答弁した時のことである。

 「専門の学識経験を有するといえば、ドクターとか限られた方になるが、専門的な学識経験者となれば『的』は幅が広いですから、私(町長)が専門的だと判断すれば専門的なものとして人選できる」と。

 そして、妻は続けた。「あたしも専門委員になれるかな? 月20万円でしょ」。

 それは無理。



2010310(水)

専門委員への質問 3議員から


 平成22年度予算などを審議する3月定例町議会が11日に開会します。

 議会瓦版によると、正副議長と山岸議員を除く全議員が一般質問に立ちます。13議員中10人が質問するというのは、かつてなかったことです。

 そして、そのうち3議員が新設の町長直轄専門委員について質問します。

 妻鳥議員「町長直属の専門委員制度設置について=①平成22年度行政執行方針で町長直属の専門委員を設置しようとしているが、その目的は何か ②町役場組織との関係はどうなるのか」

 原議員「地域活性化、町長直属専門委員の配置について=町長直属の専門委員により専門的な調査研究をするとしているが、現行職員体制ではそれらは不可能か。具体的に専門委員の人選等についてもうかがう。」

 中島議員「専門委員制度について=まちづくりを推進したいということで専門委員を設けるとのことだが、職員では対応できないのかうかがう。」

 質問内容から、3議員とも町長が専門委員を置いて何をしようとしているのか理解に苦しんでいることが感じとれます。

 職員の異動ではなく新たなポストを設置するのはなぜか。機構改革の議論になかったポストが思いつきのように出てくるのはなぜか。職員の理解が得られていないのにすすめるのはなぜか。経費に見合うだけの成果を上げられる人材のあてがあるのか。そもそも、どれだけ本気で経済活性化に取り組もうと考えているのか。

 それらの疑問は、この件について質問しない議員も感じているのではないでしょうか。

 専門委員を設置し報酬を出すことは条例改正で議案が提案されますが、その人事については町長の専権になります。

 この厳しい経済状況の下、経済活性化の具体的進展はそう簡単なものではありません。人選を白紙にしたままポストを新設し400万円(プラス旅費などの経費)を支出することに対し疑問を感じるのは自然なことでしょう。

 町長ははぐらかさずに議員の質問に答え、自らの考えを示さなければ、町民の理解は得られないでしょう。



2010225(木)

ニュージーランド輸入精液は使えるか


 今日、帯広でニュージーランド輸入精液説明会(ファームエイジ(株)主催)があり、CRVアンブリード社のマイケル・バリー氏のお話を聞きました。

 ニュージーランドの酪農は、昼夜放牧、季節繁殖が一般的で濃厚飼料もほとんど与えません。

 そういう条件下で選抜・育種されたニュージーランドのホルスタイン・フリージャンは、改良の方向性が、濃厚飼料多給で高泌乳の北米型のホルスタインとはまったく違います。

 放牧地の草を最大限生かして飼料自給型酪農を実現するためには、濃厚飼料をしっかり与えないと骨身を削って乳を出し、げっそりしていく今のホルスタインは使いにくいというのが、多くの放牧主体酪農家の感想です。

 そこで、ニュージーランドのフリージャンの精液輸入を求める声が高まっていたのですが、実際に使う段になると、いろいろと課題もあります。

 まずは体格がひと回り以上小さいこと。北米型のホルスタインへの交配では、娘の体重が100~150kg小さくなったとの話もありました。

 放牧適性では優れているのかもしれませんが、個体販売を考えると決定的に不利になるのは間違いありません。

 市場では、発育不良と判断されて叩かれてしまう恐れがあります。放牧酪農家同士での売買で真の価値を評価し合うなどしなければ、せっかくの能力が生かされなくなってしまいます。

 次に、濃厚飼料を与えた飼養管理下で乳房がパンクする心配はないか、ルーメンアシドーシスになりやすいという心配はないかという問題があります。

 このあたりは、実際に飼ってみないとわからない部分でもあります。

 いずれにしても、草だけで乳を搾るスタイルの中で作られてきた牛ですから、草を良くすることで乳生産も上がるという、農家本来の喜びを実感できる牛であるともいえます。

 実際に使えるようになれば、試されるのは私たちの方でしょう。



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橋本てるあき
橋本牧場(酪農)場主

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