2009620(土)

視界不良


 天気が良くならず1番草収穫に取りかかれないため、大手を振って議会傍聴に出かけましたが、清水町のまちづくりは朝方の放牧地と同じように霧が立ち込めているような印象です。


 フロイデ温泉の問題は、民間に完全に売却した事業に対し、温泉を維持するために今さら町として支援策を講じるような答弁をすること自体、町長がこれまで自ら進めてきた行革を理解していないことの表れではないかと思います。

 もし、温泉に未練があるなら不採算でも直営を続けるべきだったと思います。それができなかったのは、それほどまでに町の財政が悪かったからのはずです。

 フロイデ温泉を直営でやっていた時から、温泉への観光客の入込を町内の経済活性化になかなか結びつけられなかったことが課題でした。

 そこを変えるつもりがなければ、町として温泉と連携する意味はないと思います。

 単に採算の合わない民間施設を支援することを望んでいる町民はいないと思います。


 御影診療所の整備拡充に対する支援の議論を聞いていると、まさに清水町の行革が、節約・削減とバラマキを行ったり来たりする一本道を走っていることがわかります。

 診療所の病床削減や診療縮小を目前にしてわき起こった、住民による「診療所がなくなるかもしれない」という不安を払しょくするため、町は財政難によるこれまでの消極姿勢から一転、老健施設建設費等を全額無利子融資し、さらに、診療所土地建物を無償貸し付け、老朽化部分の建て替えまで決めました。

 「御影の地域医療を荒井先生にまかっせきりにしていいのか」と町の姿勢に疑問をぶつけた私ですが、民間診療所の経営を助けるかのような上から目線で、無制限といってもいい支援を行うようなことはちょっと違うと感じます。 

 選挙の後、「どうせ町に任せておいても進まないだろうから、高齢の院長に代って融資を受けるための団体を有志で立ち上げようか」という動きも起こりました。町が支援策を打ち出したため、その動きはなくなりました。実現性も確かなものとは言い切れませんでしたが、財政が厳しい中でいかに町民福祉を実現していくかを考えた時、まだまだできることはあるのではないかと思える一例です。

 よくわからない条例を作って老健施設建設のために全額融資する一方で、土地建物無償貸し付けにして診療所を改築するなど、ちぐはぐなことにするくらいなら、いっそ、老健も町で建てて、しっかりと診療所含め家賃をもらった方がスッキリします。そして、地域医療にに対する町の責任も明確になります。 

 限られた財源でいかに低コストに町民福祉を最大にできるかが、本当の行革であるはずです。せめぎ合いの中でこそ、いい知恵が浮かぶのだと思います。

 現場を預かる担当課が診療所と交渉し進めようとするのに対し、財政を預かる総務課がチェックを入れるということが機能してこそ、町の事務を担う役場が信頼されるのだと思います。


 清水駅1番ホーム設置の要望については、架橋の階段部分にエレベーターをつけることで対応すべく、国の補助金を受けられるようJRと交渉しているとのことでした。

 補助金の対象になったとしても、JRの改修工事の優先順位からするとかなり先になりそうな気配の答弁でした。

 ここで考えなくてはならないのは、町が何とかしなくてはならないとすべきは、階段の上り下りに苦しんでいる高齢者や障害者の不便(というより苦痛か)の解消であって、エレベーターの設置は手段の一つにすぎないということです。

 エレベーターの設置を目的にすると、完成したときの喜びは大きくなりますが、設置されるまでの間の利用者の苦痛はそのまま残ります。

 コミュニティバスの運行をマニフェストに掲げた町長ならば、その早期実現でエレベーター設置まで間、近隣の駅に送迎するなどのことを考えてもよさそうですが、コミバスの実現自体、国の補助金をあてにして平成23年まで待たなければならないとかで、しかも、補助金は3年間しか出ないはずです。

 清水町の政策は、清水町の現状や条件のもとで考えることでしか生まれないと思います。


 今回の一般質問では、自分の質問について、「現実からは離れてしまっているかもしれませんが・・・」とことわり臨時交付金について訊き、また、スクール・ニューディールについて、「わが町では耐震診断も実施しているし、IT化も進んでいる。残りは校庭の芝生化ということで苦し紛れに質問しました」と発言した議員がいました。

 自ら質問の真剣さを欠いていることを告白し、わが町の問題点がなんであるかを考えない質問を行ったことについて、私たちはちゃんとイエローカードを出すべきです。 


 こんなことでは財政は破たんの方向に逆戻りです。
 
 今、役場は機能しているのだろうか。 それを正す役割を議会は果たしているだろうか・・・。そんなことを感じた2日間でした。

 

 
 



2009619(金)

傍聴日和


傍聴日和

 天気が良くならず、いつまでたっても牧草収穫に入れません。

 議会を傍聴してきました。実は議会を傍聴するのは初めてです。

 傍聴席は2階席のような高い場所にあり、最後列の議員は完全に死角に入ってしまいます。




2009613(土)

6月定例会


 町議会の定例会が6月15日に開会します。「清水町議会瓦版」というお知らせが新聞に折り込まれていましたのでご覧になった方も多いと思います。

 御影診療所の整備拡充に要する資金貸付条例は、初日(15日)に提案があり、24日に本会議審査とのことですから、会期中に産業厚生常任委員会に付託され、審査されるものと思います。

 一般質問は18、19日の両日、5人の議員が行います。

18日(木)

原 紀夫 議員
・介護老人福祉施設等の入所待機者解消策
・フロイデ温泉売り払い後の現状と今後の対策
・清水公園(ぺケレの森を含む)の再整備

森田 真治 議員
・堆肥の有効活用で町おこしを
・防風林のもつ価値観を再認識しては

安田 薫 議員
・地域活性化・経済危機対策臨時交付金の使い方
・「スクール・ニューディール」に対する施策について

19日(金)

中島 里司 議員
・御影診療所の拡充整備について
・役場内の機構改革について

妻鳥 公一 議員
・介護保険の認定について
・JR十勝清水駅の1番ホーム設置について
・町長選挙のマニフェストと6月定例会

 原議員が質問する温泉の問題は、いったいどうなっているのかと疑問に思っている町民も多いと思います。

 不採算部門切り捨ての発想で民間に売却し、町全体の産業・観光を一体的に構想しなかったことのつけが回ってきたともいえますが、今後の対応についての考え方をしっかり訊くことが大事です。

 民営化したのだから口出ししないというのも、それはそれで立派な考え方だと思います。町としては共に観光面も含めて連携していきたいと言いながら、実は何もしないというような態度が一番悪いと思います。

 森田議員の質問は2題とも、個々の経営に任せていたのでは全体の利益に結びつかない問題を、町としてリーダーシップを発揮するつもりはあるのかないのかと訊いているのだと思います。

 安田議員の質問は、ただ聞くだけではなくて、こんなことに使うべきだという提案をバチッとして行わなければ意味がありません。

 20年度の補正予算の時もそうでしたが、町は議会ではなく国との話で、臨時交付金の使途を決めました。

 前回を上回る額の交付金があるにもかかわらず、今回も町民に諮ることもなく、事後報告的に議会で承認を得るような審議で終わらせるなら、町に政治があるとはいえません。

 財政難から政策的に使えるお金がきわめて少ない中で、純粋に政策的に使えるお金ができた時、その使い道をどのように決めるかは、何に使うかを決めるのと同じくらい重要です。

 麻生内閣のバラマキは尋常ではありません。国からのボーナスだとはしゃいで有力者を喜ばすために使ったのでは、将来、消費税上げで負担の増す次世代の人たちに申し訳ないです。

 中島議員は御影診療所への支援について質問します。

 ことの本質は御影にしっかりとした医療機関を維持してほしいという住民の声にどう応えるかであって、支援策は手段にすぎないという点をはっきりさせることが重要です。

そうしなければ、「町としてはできることはした」で終わってしまいます。

 妻鳥議員は介護保険の認定方式の変更について取り上げていますが、「国はけしからんと思いませんか」と訊かれた町長が「私もけしからんと思います」と答えて終わりになってしまいそうな気がします。

 6月は酪農家にとっては最も忙しい季節ですから、必ず傍聴に行くと約束もできませんが、やはり、多くの町民が傍聴すると、議員が同じ質問をしても町長の答弁の真剣さが変わるのは事実ですから、できるだけ議場に足を運びたいと思っています。また、多くの町民の傍聴を期待しています。




2009613(土)

大国アメリカの向上心と責任感に触れて距離感を感じた日


 6月4日、北海道ホテルで開催された、在日米国大使館の農務担当公使ジェフリー・ウィギン氏との意見交換会に顔を出してきました。

 明るく、親しみやすく、自信に満ちているという印象のウィギン氏の講演は主張が明確で、立場や賛否は別として、非常にわかりやいものでした。

(以下、ウィギン氏講演の要旨をメモしたものです)

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 日米関係は、政治、経済、軍事など多くの分野で強い結びつきがあるが、農業に関しては、ネガティブなイメージをもって報道されている。

 2008年、米国は、日本のトウモロコシの98%、小麦の63%を供給している。日本の面積よりも広い畑から収穫された生産物が日本に輸出されているのが現実だ。

 日本の食料自給率は、1984年の50%から現在の40%まで低下しているが、それは生活の質の向上によって多彩な食糧が求められた結果だ。

 食糧安全保障は自給率とイコールではなく、国産農産物と輸入農産物という2つのものから成り立っている。

 米国も食糧輸入国であり、輸出だけでなく、輸入でも世界第1位である。

 自給率と「食料が手に入る」ということは同じではない。いかに安定的にそれができるかが問題で信頼が重要だ。

 輸出国の政治状況による輸出規制は信頼を損ねる行為だ。過去の大豆の輸出規制は大きな誤りだと認識している。

 輸入国の消費者も国内の消費者と同様に重要だ。

 今、発展途上国における中流階級の増加が著しく、食糧の需要の高まりに対応するため供給を高めていくことが必要だ。

 主要な穀物生産国の反収を見ると、中国、ブラジルなどは米国などに比べ、まだ生産性向上の余地があるといえる。

(ここから農務スペシャリスト佐藤卓氏の補足)

 米国の有機食品産業は300億ドルの一大産業であるが、農業者の高齢化は進行し(平均54.3歳)、農作業の効率化、省力化が求められており、科学技術に期待されている。

 遺伝子組み換え作物によって、作業が減り、化石燃料の消費も抑えられる。

 グリホサート耐性ビートによる省力化や、豪国での乾燥耐性小麦、日本での花粉症抑制米など、遺伝子組み換え作物の可能性は幅広い。

 中国においても、食糧問題を解決するには遺伝子組み換え作物に頼るしかないとされている。

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 あまり時間がありませんでしたが、参加者との質疑応答もありました。

(質問1) バイオエタノール生産は今後、減らしていくのか。

(答) 穀物から作る現在の形は過渡期のもので、今後はセルロースからの生産になっていくだろう。

(質問2) 燃料や穀物の高騰を防ぐため、投機の規制が必要ではないか。

(答) 投機と投資の区別はむずかしい。

(質問3) 肥料高騰への対策。

(答) 窒素の利用効率の高い作物を開発中である。

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 輸入穀類への依存を減らすということも、私が放牧酪農に転換した理由の一つでしたので、会場で講演を聴いていて何となく場違いな感じもありました。

 が、参加してみて、世界の農業をリードする米国の目指す方向をはっきりと感じ取れたことは、大きな意味がありました。

 農業をする意味がお金もうけのためだったり、家が農家だったのでなんとなく継いだというのでは、米国のリードする農業の渦の中にどっぷりと浸かって流されてしまうことは間違いありません。

 豊かさや便利さを求めて、積み重ねてきた科学技術は、しかし、新たな問題も生みだしてきました。

 そして、それを解決するために、また新たな技術が求められます。

 農業も経営ですから、食っていけなければ終わりですが、時々、自分のしていることを立ち止まって考えてみるのも必要なことではないかと、ふと思いました。




200964(木)

7年間ありがとうございました


 平成14年に全国山羊サミットが清水町で開催された際にセリで2頭の山羊を買って以来、彼女らは春から秋までの期間は道端の草を主食にし、通りがかりの皆さんにずいぶんと可愛がっていただきましたが、先日、なにものか(キツネ?野犬?)に襲われ、手の施しようのない大けがをし、最期となりました。

 表につないでおけば、こういうことも十分にありうるとは思ってはいましたが、実際に尻やふとももにかみ傷を受けて血を流し、痛がる山羊を目の前にしたショックは小さなものではありませんでした。

 また山羊を飼って道端に出すということは、たぶん、もうないと思います。

 車を止めて、声をかけ、写真を撮り、時々紙を与えてくださった(食べずにゴミになりますが)みなさん、長い間ありがとうございました。




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 ABOUT
橋本てるあき
橋本牧場(酪農)場主

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