2011年11月23日(水)
「鴨川」の最高の豚丼とおじさん
グルメ、食べ歩き×551
↑山になっている盛りのよい豚丼
前情報では「子供さんお断り 」「かつ丼ありません」などの張り紙があると聞いていたので、正直どんなに頑固で偏屈なじいさんがいるのかと思っていました。
帯広市西1条南4丁目19にある豚丼の老舗「鴨川」さん。
営業は「午前11時30分から午後2時15分まで」(平成23年11月23日現在)の昼間だけのため、行こうと思いながらも時間が合わなかったり、行っても臨時で休んでいたりと入店は叶わずにいました。
そうしているうちに、私の頭の中には、謎の怪獣のイメージがどんどん膨らんで、どんな人だろうと想像ではち切れんばかりになっていたのです。
しかしそれは全くの思い違いで、豚丼はものすごく美味しく、それ以上におじさんはものすごくいい人でした。
にこやかで話好き、こんなにも楽しく居心地良く豚丼を食べたのは初めてでした。
あっ、開いててよかったぁ~
正午少し前に店に入ったときには、既に2テーブルの小上がりが満席。カウンターに座っていると程なく2人の常連らしき方も入店されました。
その常連さんは、2人とも「ご飯と肉少なめね」 と豚丼を注文。
ご飯は分かるけど肉まで少なくするの… もったいないなぁと思っていましたが、そうです、あとで分かりましたが、ここの豚丼は他店よりも盛りが多めなのです。
このお店は、味噌豚丼も有名なのですが、私は初入店ということもありスタンダードなしょうゆだれをいただきました。
少し山になるぐらいのご飯にタップリの肉。
それが合わさって、豚丼の外観は山盛りになっています。
私は、いつものように肉を脇に寄せて、まずはご飯を。
うまい!
この時点でうまい。
秘伝のタレとご飯が見事にベストマッチ。
肉に食らいつくと、これまた美味しい。
このお店は、フライパンで肉を焼きタレを絡ませるタイプの豚丼で、口にしやすい大きさながらも厚みがある食べ応えのあるもの。
豚丼の基本を捉えた、直球ストライクの最上級の美味しさです。
フライパンで調理するというのも、実はおじさんのこだわりがあるのでした。
味噌豚丼を食べていたお客さんが、食べきれなかったものを持ち帰りたいとの申し出に、調理も一段落したおじさんが折を持ってにこやかに客席に出てきました。
「すみません。車の中で食べさせていただきます」とお客さん。
「うちはご飯も肉も多いんだよ」とおじさんが話し出すと、話は創業年から豚丼へのこだわりまで話は弾み、聞いていて楽しいものでした。
「味噌豚丼を始めたのはうちが最初なんですよ」とも。
そのお客さんが帰られ、
もう1グループの小上がりの若い4人のお客さんが「美味しかったです」と一言。
その言葉に、おじさんはまたにこやかに応じる。
またまた、話は弾むのでした…
正式に豚丼という料理ができたのが昭和21年。それが鴨川の創業年だそうです。
当時、帯広の7件の食堂が話し合い、豚丼というメニューを統一し、そして調理はフライパンでするということに決められたそうです。
だから、鴨川さんは肉は炭で焼かず、フライパン調理にこだわっているのです。
創業 昭和21年
炭で焼くほうが、多くのお客さんが来たときに、多くの豚丼を作りやすいという利点もあって、炭焼きのお店が増えてきたようです。
おじさんは
「実はフライパンのほうが手間は掛かるんだけどね。うちの豚丼が本当なんだよ」
「うちのは“豚丼”、炭で焼くのは“焼肉丼”(笑)」
と教えてくれました。
以前は全ての取材を受け入れていたそうです。
しかしその結果、店の前には100人を超す行列ができたこともあり、注文をさばくのが大変で一人一人に心を込めたおもてなしが難しくなったのでした。
また、マナーを守られないお客さんも増え、子どもさんが泣き叫んでもほったらかしのご家族も当たり前に。
中には、了解していないのに、勝手にクーポン券を作られて、それを利用しようとお客が来たこともあったそうです。
そのときは仕方なく、クーポンどおりに割引してあげたそうです。
それから、一切の取材はお断りして、お客は増えなくても、一人一人のお客を大切にしようと決めたのでした。
ただし、例外があるのです。
あるツーリング旅行者向けのガイドブックには、唯一お店の掲載を許可しているそうです。
唯一掲載を許可しているガイドブック
その訳は、あるとき1人の男性が来店されて、この美味しい豚丼を本で紹介させてほしいと申し出があったのですが、もちろんお断り。
しかし、よく話を聞いてみると、ほかの店に行ったところ、豚丼を食べたあとに水を頼んだら「こんなに列をつくっているのが見えないのですか」と水を断られ、早く店を出るように促されたというのです。
おじさんは、遠くから来ていただいてそれは申し訳ないことをしたと、その本への掲載を許可したのでした。
正式に許可しているのは、その一つだけだそうです。
若い4人組の方は、ガイドブックを見て来たということで、おじさんが「勝手に載せられることもあるんですよ」といいながら、そのガイドブックを見てみると、正式に許可をしたガイドブックでした。
「うちの豚丼はガイドブックに載っている写真と変わらないからね。山盛りだよ」
誇らしげに語る、おじさんでした。
店内の不思議…。
壁に掛けてあるメニューには「かつ丼」と大きな木の板があるのに、その下には「かつ丼はありません」の掛札が。
不思議な光景
その訳を聞いてみたところ、忙しいときにはとても「かつ丼」に手が回らないからだそうです。
では、なぜメニュー札は残してあるのか?
それは、暇なときには作る、一種の裏メニューのようなものとのことです。
裏も何も、堂々とメニューとして出しているのですがね。
若い4人組の中の女性が、
「私以前かつ丼いただきました。美味しかったのですが」と話され、
すると、おじさんが
「北大の方かい?」
「そうです!」
その女性は、北大の学生の時にこの店でかつ丼をいただいていたのです。
そして、それを覚えているおじさんもおじさんです。
そのくらい、かつ丼をいただけるのは、あまりないことなのでしょう。
若い4人組は、北大OBの方で大学時代の仲間と共に、休みに帯広に遊びに来られていたのでした。
こんな感じで、初の「鴨川」さん訪問は意外な出会いがあり、私にとって非常に思い出深く楽しいものとなりました。
おじさんは、先代との約束かのように、帯広豚丼の伝統をかたくなに守っている方だったのです。
また、会いに行くのが楽しみです。
気を引き締めて「鴨川」さんへ
前情報では「子供さんお断り 」「かつ丼ありません」などの張り紙があると聞いていたので、正直どんなに頑固で偏屈なじいさんがいるのかと思っていました。
帯広市西1条南4丁目19にある豚丼の老舗「鴨川」さん。
営業は「午前11時30分から午後2時15分まで」(平成23年11月23日現在)の昼間だけのため、行こうと思いながらも時間が合わなかったり、行っても臨時で休んでいたりと入店は叶わずにいました。
そうしているうちに、私の頭の中には、謎の怪獣のイメージがどんどん膨らんで、どんな人だろうと想像ではち切れんばかりになっていたのです。
しかしそれは全くの思い違いで、豚丼はものすごく美味しく、それ以上におじさんはものすごくいい人でした。
にこやかで話好き、こんなにも楽しく居心地良く豚丼を食べたのは初めてでした。
あっ、開いててよかったぁ~
正午少し前に店に入ったときには、既に2テーブルの小上がりが満席。カウンターに座っていると程なく2人の常連らしき方も入店されました。
その常連さんは、2人とも「ご飯と肉少なめね」 と豚丼を注文。
ご飯は分かるけど肉まで少なくするの… もったいないなぁと思っていましたが、そうです、あとで分かりましたが、ここの豚丼は他店よりも盛りが多めなのです。
このお店は、味噌豚丼も有名なのですが、私は初入店ということもありスタンダードなしょうゆだれをいただきました。
少し山になるぐらいのご飯にタップリの肉。
それが合わさって、豚丼の外観は山盛りになっています。
私は、いつものように肉を脇に寄せて、まずはご飯を。
うまい!
この時点でうまい。
秘伝のタレとご飯が見事にベストマッチ。
肉に食らいつくと、これまた美味しい。
このお店は、フライパンで肉を焼きタレを絡ませるタイプの豚丼で、口にしやすい大きさながらも厚みがある食べ応えのあるもの。
豚丼の基本を捉えた、直球ストライクの最上級の美味しさです。
フライパンで調理するというのも、実はおじさんのこだわりがあるのでした。
にこやかで優しいおじさん
味噌豚丼を食べていたお客さんが、食べきれなかったものを持ち帰りたいとの申し出に、調理も一段落したおじさんが折を持ってにこやかに客席に出てきました。
「すみません。車の中で食べさせていただきます」とお客さん。
「うちはご飯も肉も多いんだよ」とおじさんが話し出すと、話は創業年から豚丼へのこだわりまで話は弾み、聞いていて楽しいものでした。
「味噌豚丼を始めたのはうちが最初なんですよ」とも。
そのお客さんが帰られ、
もう1グループの小上がりの若い4人のお客さんが「美味しかったです」と一言。
その言葉に、おじさんはまたにこやかに応じる。
またまた、話は弾むのでした…
豚丼はフライパン調理にこだわる
正式に豚丼という料理ができたのが昭和21年。それが鴨川の創業年だそうです。
当時、帯広の7件の食堂が話し合い、豚丼というメニューを統一し、そして調理はフライパンでするということに決められたそうです。
だから、鴨川さんは肉は炭で焼かず、フライパン調理にこだわっているのです。
創業 昭和21年
炭で焼くほうが、多くのお客さんが来たときに、多くの豚丼を作りやすいという利点もあって、炭焼きのお店が増えてきたようです。
おじさんは
「実はフライパンのほうが手間は掛かるんだけどね。うちの豚丼が本当なんだよ」
「うちのは“豚丼”、炭で焼くのは“焼肉丼”(笑)」
と教えてくれました。
ガイドブックを断る理由
以前は全ての取材を受け入れていたそうです。
しかしその結果、店の前には100人を超す行列ができたこともあり、注文をさばくのが大変で一人一人に心を込めたおもてなしが難しくなったのでした。
また、マナーを守られないお客さんも増え、子どもさんが泣き叫んでもほったらかしのご家族も当たり前に。
中には、了解していないのに、勝手にクーポン券を作られて、それを利用しようとお客が来たこともあったそうです。
そのときは仕方なく、クーポンどおりに割引してあげたそうです。
それから、一切の取材はお断りして、お客は増えなくても、一人一人のお客を大切にしようと決めたのでした。
ただし、例外があるのです。
あるツーリング旅行者向けのガイドブックには、唯一お店の掲載を許可しているそうです。
唯一掲載を許可しているガイドブック
その訳は、あるとき1人の男性が来店されて、この美味しい豚丼を本で紹介させてほしいと申し出があったのですが、もちろんお断り。
しかし、よく話を聞いてみると、ほかの店に行ったところ、豚丼を食べたあとに水を頼んだら「こんなに列をつくっているのが見えないのですか」と水を断られ、早く店を出るように促されたというのです。
おじさんは、遠くから来ていただいてそれは申し訳ないことをしたと、その本への掲載を許可したのでした。
正式に許可しているのは、その一つだけだそうです。
若い4人組の方は、ガイドブックを見て来たということで、おじさんが「勝手に載せられることもあるんですよ」といいながら、そのガイドブックを見てみると、正式に許可をしたガイドブックでした。
「うちの豚丼はガイドブックに載っている写真と変わらないからね。山盛りだよ」
誇らしげに語る、おじさんでした。
「かつ丼はありません」?
店内の不思議…。
壁に掛けてあるメニューには「かつ丼」と大きな木の板があるのに、その下には「かつ丼はありません」の掛札が。
不思議な光景
その訳を聞いてみたところ、忙しいときにはとても「かつ丼」に手が回らないからだそうです。
では、なぜメニュー札は残してあるのか?
それは、暇なときには作る、一種の裏メニューのようなものとのことです。
裏も何も、堂々とメニューとして出しているのですがね。
若い4人組の中の女性が、
「私以前かつ丼いただきました。美味しかったのですが」と話され、
すると、おじさんが
「北大の方かい?」
「そうです!」
その女性は、北大の学生の時にこの店でかつ丼をいただいていたのです。
そして、それを覚えているおじさんもおじさんです。
そのくらい、かつ丼をいただけるのは、あまりないことなのでしょう。
若い4人組は、北大OBの方で大学時代の仲間と共に、休みに帯広に遊びに来られていたのでした。
こんな感じで、初の「鴨川」さん訪問は意外な出会いがあり、私にとって非常に思い出深く楽しいものとなりました。
おじさんは、先代との約束かのように、帯広豚丼の伝統をかたくなに守っている方だったのです。
また、会いに行くのが楽しみです。
概観 | |
---|---|
分類タグ | 食事処 |
住所 | 帯広市西1条南4丁目 |
TEL | 0155-23-9023 |
営業時間 | 11:30 - 14:00 |
17:30 - 19:30 無くなり次第終了 | |
定休日 | 不定休 |
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