2011115(土)

だいきちからの手紙

猫話×153

だいきちからの手紙

こんばんわ。

オレ だいきちです。

だいきちって名前も

世話してくれてるおばちゃんが
テキトーにつけたって言ってた。





オレたちが生まれたのは6月の末だった。

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まだ爪もロクにしまえないチビだったよ。



そしてコレがオレ。

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生まれてまだ3日目だ。





おばちゃんとかーちゃんは
それなりの関係だったみたいで

オレたちが写真を撮られても
かーちゃんは黙って見ていたよ。



そしてこれがオレのかーちゃん

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おばちゃん曰く

ブスだけど子育て上手な
いいお母さん猫だったんだって。


オレは三毛の兄弟の中で
一匹だけの赤トラの♂で生まれた。


この赤トラっての
オレたちのひぃひぃひーじーさんの
大ボスから流れる由緒正しい猫の遺伝らしい。

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この写真はオレのかあちゃんが
まだ若い時の写真。


左から、かあちゃんのとーちゃん

かーちゃんのばあちゃん

かーちゃん

かーちゃんの妹


オレにそっくりなのは
オレにはひいばーちゃん。

大ボスだったおおじいちゃんの
一番最後の子供。


おおじいちゃんは物凄い強いボスで
5年くらいずっとそこの縄張りを守っていたらしい。

ぼけーっとしてるオレが
そんな血を引いてるなんて嘘みたいな話だ。

でもオレはそんな偉大なボスそっくりに生まれた。


オレ達はさいしょ

本当の野良猫で生まれて
野良猫で育った。

おおじいちゃんや、かあちゃんがそうだったみたいに。



日差しの暑いときや
雨が降ると

オレたちはいつもかーちゃんと
フキの下に入って

明日は美味しいものが食えるかな。
あさってはどうかなって考えていた。

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毎日はそればかりだった。






オレたちが3ヶ月になった頃の秋の日に


かーちゃんはどこかにいって

そのまま帰ってこなかった。



オレたちは寒いのとひもじいので
どんどん痩せていった。



でも人間は恐かった。


すずがカラスを捕まえたり
はながネズミを捕まえたりしていたけど

身体が大きくなってきたオレは
そんな器用なことはできなかった。

お腹はいつもペコペコだった。




このままオレ、死んじゃうのかな。



そう思っていたときに
おばちゃんがカンヅメをくれた。

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人なんか信用するもんか!

でも、カンヅメはいいニオイがした。

はなやすずがカンヅメを食っても
オレだけは我慢した。

でも、おばちゃんはオレに言った。


生きてさえいれば
いつか かーちゃんにあえるよ。

お前は生きてかーちゃんを待とうよ。



何度かそういわれてオレはカンヅメを食った。
とっても美味かった。

何度もおかわりをして俺は
腹がぽんぽこになった。



それからオレ達は
おばちゃんの家の玄関の
ダンボールにオレたちは寝泊りして
かーちゃんを待つことにした。



何日寝ても

かーちゃんは帰ってこなかった。




オレと妹たちはだんだん
おばちゃんになじんでいった。


オレは人間っていうのも悪くないなって
おもいだしていた。

でもほかの人間は
オレたちを見ると石をなげたり
しかめっつらで棒をふったりした。




色々難しいことがあるから
家から離れた場所に行ったら駄目だよ。

おばちゃんに言われて
オレたちはそのままそこで大きくなった。



ある雪の日

オレと兄弟が遊んでいたら
知らない人間が

オレとりんを袋にいれて
どこかにつれていった。


素早いはなとすずは逃げて無事だった。



オレはもう
あそこらへんに帰って来ないようにと
後ろ足をゴムでぐるぐるにくくられて




雪の野原のど真ん中に捨てられた。


りんの声も聞こえなくなった。




オレはどうしていいのかわからずに
ただ鳴いた。


誰もオレを探してくれなかった。





・・・・・2つの朝が来て


もう身体が冷たくて
オレ、死ぬのかなぁって

おもっていたら


そこにおばちゃんの顔があった。




ずっとずっと探してたんだよって
おばちゃんが言ってた。




人間にされた痛いことより

おばちゃんに会えたことのほうが嬉しくて
オレはただグルグルと喉を鳴らした。

おばちゃんの懐に入れられて
オレはすずとはなのいる場所に帰れた。


ゴムで縛られた足は
むくんで、赤く腫れていたけど
毛もむしれてハゲになっていたけど
それでもオレはどんどん食って
どんどん元気になった。


・・・・・・りんはどこにいったのかわからなかった。


りんはきっとおまえのおかあちゃんと
一緒にいるよ。

おばちゃんが言った。

オレはそう思うことにした。



なにより猫箱はあたたかいし
ご飯は美味しいで日々が過ぎていった。


おばちゃんが引っ越すというときも

オレ達はあたりまえのように
荷物の中に混じって

おばちゃんと一緒に引っ越した。



でも、おばちゃんの家の中には
ハンニャのような怖い顔をした
ばあさんの猫がいて

オレたちをみつけると鬼のようにいじめるんだ。


オレ達は風呂場に作った
猫箱で暮らした。



たまにおばちゃんに甘えたくても
外からばあさん猫の声がすると

おばちゃんは出て行ってしまう。



抱っこもまんまもそいつの次じゃないとしてもらえなくて
オレ達はいつも寂しかった。


もっと抱っこもなでなでもして欲しいのに。






ある日、

おばちゃんの家に


知らない親子がやってきた。



そいつらは
オレをだいきちくんと呼んで

やたらにベタベタ触った。



いままでたまにやってきて触ってきた奴らはいたけど、


そいつらは妹らばかり可愛がって

オレにはあまり見向きもしなかった。



大きすぎるとか言われて
ちょっと心が傷ついてたりもした。




なのに



そいつらはオレのことばっか
笑顔で触るんだ。




変なやつら!変な奴らだ!


オレは緊張して笑顔固まってたよ。



だけど抱っこしてくれた腕は
あったかくてなんとなく嬉しかった。


そいつらが帰って

少ししてからおばちゃんが興奮ぎみに
オレに言ったよ。





オレに「家族」ができるんだって。





さっきの気の良さそうなおじさんと

目のキラキラした女の子と

抱っこしてくれたおばさんと




あの3人がオレの家族になるんだって。



もう、オレのためのものも
みんなで選んで用意してくれたんだって。






・・・ほんとに?






だってオレ。代々野良猫だぜ?






オレのかーちゃんもばーちゃんも

そのまたじいさんも

ずっと人間なんか敵だったんだぜ?






オレだってなんのとりえもないような
ただのモフモフなでっかい猫だぜ?





まだ生後半年でこんなにでっかいから
子猫っていうのが詐欺だって言われたこともあるんだぜ?




だけど、あいつら手は優しかったし
すっごくいい笑顔でオレのこと見てくれるんだ。






おばちゃんがオレに言った。




飼い主さんは猫を飼うのは初めてなんだってさ。


でもね、


お前も、おまえの一族の中で
はじめての飼い猫かもしれないよ。





もしかしたら

猫ってこんなんなの?って困らせてしまうかもしれない。
お前も、こんな奴ら!!って反発するかもしれない。




でもどっちも1年生の

「はじめまして」から始まる仲になるんだよ



飼い猫1年生と、飼い主1年生



どっちも頑張れば
きっときっと巧くいくさ。


だいきちは頑張ってみないかい?








・・・・・・オレには良くわからないけど



あのチビっ子も

あのおじさんもおばさんも


オレをみてたくさん笑ってくれた。






オレ。飼い猫できるかな・・・?








もしかしたら


こんな猫!!って怒らせちゃうかもしれない。
えーってがっかりさせちゃうかもしれない。





でも、オレも頑張るから 飼い猫するから


だから 


どうか長い目で見て欲しいんだ。










オレ、明日、野良猫だいきちじゃなくて


あの親子の家族になります。



新しいお父さん、お母さん、お姉ちゃん、


オレ、頑張るから!!


どうか末永くよろしく!!





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オレ、飼い猫になります!!







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