（毎日新聞　5月20日掲載の記事より）

　福岡市早良区の建材メーカー「カイケンコーポレーション」（福岡市早良区、浦上直社長）は、自社が開発した壁用建材「幻の漆喰」に鳥インフルエンザウイルスをほぼ死滅させる効果があることが確認されたと明らかにした。
　これまで漆喰を応用した塗料などで同様の効果が確認されたケースはあるが、「漆喰そのものに殺ウイルス能力があると分かったのは画期的」としている。
　効果を確認したのは鳥取大鳥由来人獣共通感染症疫学研修センター。弱毒性の鳥インフルエンザウイルス（H5N3型）の培養実験の結果、幻の漆喰に塗ったウイルスの感染価（感染性ウイルスの数）は30分後に少なくとも99.9998％低下した。センターの伊藤啓史准教授は「漆喰の主成分の水酸化カルシウムが水分を含んで強アルカリ性になり、ウイルスを死滅させた」と分析。鳥インフルエンザウイルスと人間に感染するウイルスは遺伝子の型が違うだけで構造が同じため、伊藤准教授は「どのウイルスでも効果は同じ」としている。
　浦上社長は「幻の漆喰には光と熱の触媒が加えられ、通常の漆喰よりも有害化学物質の吸着分解性能が優れている。シックハウス症候群対策とともにインフルエンザ予防の効果も期待できる」と話している。