201157(土)

円高に対する正直すぎる政府高官の発言


5月5日、ゴールデンウィーク中に円高が進行し、ドル円相場が一時80円を割り込みました。

震災後の3月18日以来のことです。この日に財務省は各国連銀と円売りの協調介入を行ったことは記憶に新しいです。

今回も、80円が介入実施水準のバロメータと見られていたため、要人の発言がありました。

●野田佳彦財務相(5月5日、6日)
・(外国為替市場での円の上昇について)G7が円売りの協調介入を実施するに至った3月18日の上昇とは異なるものだ。
・為替市場と金融商品市場の動きを注意深く見守っていきたい。現時点では(為替市場を)注意深く見守る。

●与謝野経済財政相(5月6日)
・為替相場の水準は市場で決まるが、あまり乱高下しては困る。
・円独歩高というよりはドルが安くなっているとみられる。

●篠原尚之国際通貨基金(IMF)副専務理事・元財務官(5月6日)
・最近の円高は、予想よりも弱い米国の経済指標を受けたドル安を反映した動きのようだ。円高というよりも、ドル安と理解した方がいい。大震災直後の(3月の)円高とは状況が異なる。

総じて、今回の円高はドル安の結果であり、介入の対象ではないと聞こえます。

ちょっと待ってください。正直すぎませんか? 円高を容認するということなのですか?

もちろん、連休中は国内実需の取引が休みなので円高に振れやすいことはわかっています。しかし、相手にしているのは、海外投機筋です。

介入しないとわかれば、安心して円買いに走るでしょう。

ここで考えたいのは、日本人が考える「言葉」や「会話」の意味と、西洋人が持つそれらの意味合いの違いです。

日本人は、言葉を「人とつながる友好の手段」として用います。

しかし、彼らにとって言葉とは、時には「相手を納得させるための戦闘手段」なのです。ですから、彼らは議論を重んじ、相手をいかに納得(convince)させるか、いかに言葉が納得できる(persuasive)なものかが重要なのです。

これを考えると、野田大臣以下の発言はあまりに無防備すぎると思います。

米国の財務長官やFRB議長はドル安についてどのような発言をしているでしょうか?

かれらは、何も言及しません。

忘れたころに、「強いドルが米国経済のけん引力となる」などといいます。

ドル安は米国経済に良薬以外の何物でもありません。しかし、ドル安誘導となると各国の非難を浴びるために、なんの発言もしないのです。

さらに、思い出すのは3月18日の為替協調介入時の野田大臣の発言です。大臣は、介入を9時に行ったことに加え、各国中央銀行が市場オープンのときに介入するとペロリと発言しました。

市場参加者にとって、こんな親切な介入の示唆はありません。

もちろん彼らは、野田大臣の発言を信じ、その時を待って、介入が起こると同時に円を買い利益を得ました。(海外中央銀行の介入額が少額であったためでもあります。)

協調介入自体はとても効果的であったと思います。しかし、大臣の発言は正直(英語でいうナイーブ)すぎたと思います。






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