2011813(土)

忙しすぎ


忙しすぎ

(写真)ジークフリート・ワーグナー通りからバイロイト祝祭劇場を望む 2011.8.12

昨晩(ニュルンベルクのマイスタージンガー)でバイロイトの予定を終えました。いつもは一週間以上は滞在し、夜半まで非日常的な日々をすごすのですが、今回は忙しすぎました。

それでも、一日約7時間を劇場で過ごし、一日の大半を音楽に当てられたのは幸福でした。

今までしなかったブログをアップすることで一日を振り返ることができましたし。

オフの日に動物園に通ったのが、エクストラで忙しい要因でした。でも、動物かわいかった。

そういえば、以前はイタリアのアドリア海の海岸で日中過ごし、夕方からオペラに向かう休暇もありました。

チヴィタベッキア沖でボートを停泊させて一晩過ごすことも。

年々意欲が薄れるのと、日常から離れることができないので、忙しさから抜けられないのでしょうね。

後1時間半ほどで中央駅から電車に乗り、スイスへ向かいます。9時間弱の長旅です。電車が遅れたら、予定が完全に狂います。遅れませんように。

食に関するレポートはしませんでしたね。昨日は4種のチーズが入ったニョッキを食べ、劇場ではシュヴァルツベルダー・トルテを食べました。

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抜群においしいソーセージは食べていませんが、南ドイツ特産のレバーケースは食べましたよ。いつもながら、こんな軽いスナックは期待を裏切りません。この国は。



2011812(金)

広い放飼場でゆったりと育つ ニュルンベルク動物公園 8月11日

動物×67

広い放飼場でゆったりと育つ ニュルンベルク動物公園 8月11日

(写真)授乳後まったりとするヴェラ親子 

この日の双子のホッキョクグマは時々一緒になって遊んだり、それぞれに遊んだりして、それぞれの時間をゆったりとすごしていました。

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ここの子はえさをもらっても、大急ぎで先を争って食べることもなく、もらったときに食べ、後からまた気が向いたら食べるということをするのですね。

もっとも、カラスもいませんし、気温も生肉を放置していても悪くなるような高温でもないわけです。

今日は鶏一羽があたりました。羽もくちばしもそのままの豪快な与え方です。

ヴェラはすぐに食べ始めましたが、子供は咥えて走り回り、いいおもちゃです。このときはおなかがあまりすいていなかったのかな?一時間ほどしてから、3頭で鳥のところに戻ってきて食べました。

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放飼場は広いので、十分に生活空間として遊ぶことができます。色も背景に同化したりして。

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そして、父のフェリックスも広い放飼場でゆったりとすごしています。円山のデナリももう少し環境がよければ、と思います。

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そして、両者は数ヶ月ごとに獣舎を交代するので、飽きることもあまりないのでしょうね。

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冬にはたっぷりと雪が降りますし。

午後6時ごろからおねむになりました。
父も。

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ゆったりと育ち、ますます魅力的な熊になってくださいね。



2011812(金)

性懲りもなく…


性懲りもなく…

(写真)バイロイト中央駅からバイロイト祝祭劇場を望む 2011.8.11

…再度いきました。ニュルンベルクへ。

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(ニュルンベルク動物公園正門)

もともと、オフの日はニュルンベルクに行くかバンベルクへいくかどちらかにしようと思っていたんです。バンベルクは確か世界遺産に指定されていますし、前に訪れたときは大雨であまり回れなかったんですね。そして、バイロイトについてからは、今年がフランツ・リストの200年祭であることを知って、リスト関連の演奏会があればそれに行こうと。しかし、演奏会はなかったのです。(そういえば、バイロイト年鑑に、リストの曾曾孫でワーグナーの曾孫に当たるニーナ・ワーグナーさんのリストとワーグナー家に関する面白い投稿がありました)

しかし、ニュルンベルクの魅力に勝てず。

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ただ、午前中は野暮用でバイロイトを出発したのはもうお昼になっていました。でも、1時間ほどでつくのは本当に楽ですね。

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Deutsche Bahnの1日券で往復15ユーロあまりでした。そういえば、このドイツ鉄道は、3ヶ月前からネットで特別料金券を売っていて、予定がきっちり決まっている長距離列車の券はネットで買うと、本当に安く購入することができます。

この間の、フランクフルト-ニュルンベルク間は24ユーロでした。正規料金の1/3以下の価格だと思います

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ところで、私は一般に動物は好きなのですが、好き嫌いも多いのです。好みということでお許しください。

好みではない動物は、

サル類(頭はいいが、かわいくない)
鹿、カンガルー(繁殖力が強すぎる)
ライオン(外見と違ってオスがふがいない)

動物園の動物に限ると、こんなところでしょうか?

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3日前にきたときはやはり疲れていたので、今日は余裕を持ってみることができました。その上、気温も少し上がって夏姿で過ごすことができたのも幸いでした。

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ただ、こんな日ですから来訪者も多かったです。子供が行儀の悪い子が多くて、これには閉口しました。こんな始末に負えない子よりホッキョクグマの生後8ヶ月の子供のほうがずっと上等です。

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そして、ホッキョクグマの双子の兄弟は今日は先日とは違う魅力を見せてくれました。

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(続く)



2011811(木)

舞台とは一線を画す音楽作りのトリスタン バイロイト音楽祭 8月10日


舞台とは一線を画す音楽作りのトリスタン バイロイト音楽祭 8月10日

(写真)バイロイト祝祭劇場ミッテルロージェからみた町並み 午後5時半ごろ

本日は、気温は低かったですが雨は降らなかったです。

今日はトリスタンとイゾルデでした。このプロダクションを見るのは3度目です。そういえば初年度には日本人の指揮者が颯爽と出てきて、この一年で降りることになったいわくつきのプロダクションです。

私も初年度に観ています。

その後は、ピンチヒッターとして定評のあるウィーン出身のペーター・シュナイダーが振っています。

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はじめに音楽の話をしましょう。シュナイダーは以前はあまり特徴のない指揮振りだったのですが、この数年変わってきているように思います。

今日は、第2幕の2重唱に全体のピークを持ってきていたように思います。

しかし、いつもこのオペラはすごいと思います。4時間あまりの演奏時間で主役の二人のどちらかは常に舞台上にいて、場を引っ張っています。主役のどちらも実力とともに超人的なスタミナが求められます。

そして、このピークが第1幕の終わりで2人が愛の媚薬を飲むところから、第2幕の延々40分続く2重唱なのです。

私は個人的には、この2重唱はヴァルキューレの第1幕と同様「ああまたやってる」程度にしか思わず、むしろ第1幕のイゾルデの怒りの場面、第3幕のトリスタンの自らの生い立ちを語る場面に魅力を感じていたのでした。

しかし、今日はそれらの場面よりも、2重唱で二人が二人を別れ別れにする光と昼をのろい、自分たちの愛の名前こそがトリスタンとイゾルデというのだと語り、結論として永遠に一緒にいるために死んで生きましょう、という言葉の盛り上がりがよくわかり、この場面に最も感銘を受けたのでした。

歌手では、包み込むような美声がすばらしい、イゾルデ役のイオーナ・テオリンがぴか一で、トリスタン役の米国人ロバート・ディーン・スミスもやわらかい美声で魅了しました。このディーン・スミスはバイロイトで育ったようなテナーで、このプロダクションでは唯一初年度から歌っています。(端役はわかりませんが)

ロバート・ホルのマルケ王もさすがリート歌手らしい正確な歌唱でした。

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そして、舞台の話ですが、このトリスタンという作品はその性格上、ローエングリンと並んでみる側が舞台の美しさを期待する作品だと思います。

この前のプロダクションのハイナー・ミュラーの演出では第1幕の光の使い方に感銘を受けました。反対に第2・3幕はいただけなかったですが。

このプロダクションでは、光を丸型の蛍光灯で代用し、これらを揺らしたり点滅させたりしていました。それから、第2幕でイゾルデに趣味の悪い黄色のスーツを着せて、古ぼけたスタイルの鬘をかぶせたりしています。

そして、登場人物の奇妙な動作が目立ちます。たとえば、第1幕で散乱したいすをイゾルデが倒す。第1幕の終わりで、イゾルデの侍女ブランゲーネが、愛の媚薬を飲んだ二人をはじめはにこやかに見ているのに、急に真剣な顔になって「どうしよう」と叫ぶ。第2幕で、トリスタンの従者クルベナールが意味もなく卒倒する。同じく第2幕でのイゾルデの正気ではない動作。第3幕でイゾルデが「トリスタンはどこ?」といいながら、まったく探すふりをしないことなど。

これらは、初年度観たときよりもかなり減ってはいました。(たとえば以前は、イゾルデは大きな音を立てていすを投げつけていましたが、今回は音が出ないようにそっといすを倒していました)そして、第2幕の2重唱は2人はほぼ棒立ちで、確かにそのほうが歌いやすいのでしょうけれども、ほとんど振り付けはないような感じでした。

うがった言い方ですが、出演者のほうも意味のない動作を控えたのかもしれません。

ですから、結論としては「目を瞑って」観るべきトリスタンということでしょうか? 私は、3度目でしたので舞台はあまり気にしないようにしていました。それで正解でしたし、音楽のできは相当高いレベルにあったので全体として大変満足しています。



2011810(水)

晴れ 時々どしゃ降り


晴れ 時々どしゃ降り

(写真)バイロイト音楽祭のチケット 2011.8.9

カメラを持参して外出したにもかかわらず、SDカードはパソコンに差したままでした。

今日は、写真は部屋で撮ったものでお茶を濁します。

相変わらず、気温は低いです。最高気温16度、最低気温8度。晴れ間と太陽が出ていると思えば、急に曇ってどしゃ降り。こんな天気です。

実は、昨日のホッキョクグマのブログの最後の動画の後、突然どしゃ降りが来ました。みな近くの売店の日よけ傘に避難。

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今朝も時差の関係で早朝からブログを書いていたのですが、雨音が激しかったですね。

3時ごろ劇場へ向かうのに歩いていたところ、地元の親切なご夫婦が車に乗らないか、といってくれました。雲行きが怪しいから、劇場まで送るというのです。このご夫婦、昨日のローエングリンを観たときもひどい雨が降ったといっていました。私が熊を見ていたころの時間ではないかと思います。

バイロイトでは、世界中からの訪問者のほかに地元の愛好家に大体1演目の切符を提供するのです。ですから地元の人はなかなか鋭い評論家でもあります。

今日は、バイロイト詣で(pilgern)の初日です。演目はパルジファル。作曲家ワーグナーの最後の作品であり、音楽的に言えばもっとも完成度の高い作品です。

今日は、10:30から毎年バイロイトで期間中当日の演目の解説をしてくれるピアニストの公演を聴きに行きました。

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シュテファン・ミキッシュさん。部分部分の階調がどのようなことを表現しているかを解説しながら、それをいろいろな作曲家の作品をつなげて見事に演奏していきます。

その作曲家は、

バッハ、モーツアルト、ベートーベン、ブラームス、ヨハン・シュトラウス、リヒャルト・シュトラウス、ラベル

と多種多彩です。オーケストラ作品も自由自在にピアノで演奏するので音楽だけでも楽しめます。

そして、パルジファルの音楽は人を幸福にしてくれるのだと久しぶりに思いました。

Erloesung dem Erloeser (救えるものを救う)がテーマですから。

そして、4時からは本番の丘の上にある祝祭劇場でのオペラ。

思えば、私がこの地を始めて訪問したときの初めての演目もパルジファルでした。

バイロイトでは毎年5-7演目の中から1つ抜きに出てすばらしいできばえのものがあります。この年はパルジファルだったのです。そして文字通り打ちのめされました。(特に音楽面のすばらしさに)

今日のパルジファルは、普通の出来かな? 私がこのプロダクションを見るのは2年前に続き、2回目です。私は評論家でも専門家でもないので、自己中心的なあいまいな表現しかできないので、お許しください。

舞台のつくりはその前のプロダクションで、有名な舞台演出家のシュレンゲンジーフのものの対局だと思います。前のプロダクションが不評で(舞台上がごみだらけで、不快な映像(たとえば最後の救いの音楽がなっている最中に、ウサギの死体を蛆虫が這っていく)が多かった)数年で終わってしまったため、まず視覚上の美しさを追求したのだと思いました。これは、2年前の印象と同じです。

ただ、観ていくうちに細部で??でしたね。1幕で聖杯の騎士などに白鳥の羽が生えているのは、正直言って不快でしたし、ところどころでパルジファルの母ヘルツェライデ、クンドリー、そしてアンフォルタスが妙に絡むのもよくわからなかったです。話の内容よりずっと以前のパルジファルの誕生の場面やヘルツェライデの死の場面が舞台で繰り広げられること、クンドリーとアンフォルタスの間の子がパルジファルであるように見える場面など、支離滅裂なこともありました。

これらの疑問は、私の中で後から解決するのですが。

2幕で、クリングゾルの城がハーケンクロイツの旗で彩られ、ドイツ兵とともに破壊される場面を見ると、ああ、またかと思いました。

とにかく、ドイツ人は戦争の負の思い出を決して忘れることはできないのです。

そして、3幕を観たときに、やっとこの舞台のテーマが、パルジファルのせりふである

Ich hatte viele,
doch weiss ich ihrer keinen mehr.
Ich hab' eine Mutter, Herzeleide sie heisst!

(私には名前がたくさんあったが、どれも覚えていない。私は母がいたことだけを覚えていて、ヘルツェライデという名だ。)

ということと、

Erloesung, dem Erloeser (救えるものを救う)

ということで、細部は重要ではないと思えたのです。

つまり、全体のつくりは空間的にも時間的にも無次元で1幕はどこかのUralt(原始時代)、2幕はナチズムの崩壊、3幕は現代もしくは未来の地球全体を表現しています。3幕では、劇場にいる私たちの姿も鏡で映し出されますし、最後の場面では地球らしき球形の物体も現れます。聖杯騎士の並び方は、まるでドイツの国会議事堂のようです。

確かに、パルジファルは時間的にはいつの時代をも反映しうる作品だと思うので、こんなつくりも可能なのです。

後は、好き嫌いの問題ですが4時間半の作品をこれだけの簡単なテーマであらわすということは無理があるのか、ちょっと懲りすぎた嫌いもありました。

音楽的には、作品がいいので普通に演奏すれば拍手をもらえるわけで、ちゃんと喝采を得ていました。タイトルロールは、ニュージーランド出身のテナーで、本ではニュージーランドでワーグナーは珍しいのでは?と質問されて、そんなことはない、ニュージーランドのワーグナー愛好家は多いですよ、と反論していました。

もう遅いので、このくらいにします。また明日。



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