2012612(火)

靴下猫の思い出

靴下猫の思い出

夜10時過ぎ…
どこからかカリカリと音がする

一人暮らしのアパートでビビる私…

ちょっと前に空き巣に入られ、警戒というより怖かった

カリカリ…
カリカリ…

ドアの覗き穴から見ても人影は無い

はじめてチェーンを掛け、恐る恐るドアを開ける…

足元に黒い塊…

大人にはなりきってない大きさの黒猫だった

学生で動物禁止のアパートでは飼う事はできない

その猫は赤い首輪をしていた
飼い猫が間違えて私の家に来ただけ?

ドアを開けてるのに出て行こうとはしなかった

むりやり出す気にならなかったので
「ちょっと休んでいくかい?」
部屋のドアを開けた
黒猫は動かない…
小さな声で何かを伝えようとしているようだった

タオルを濡らして黒猫の足を拭いた
後ろ足は真っ白な靴下を履いていた

黒猫は一枚しかない座布団に丸まって一時間ほど眠った

私用の食器に水を入れて黒猫が起きるのを待った

目を開けた黒猫はプルプルと伸びて、水を飲むと部屋のドアをカリカリした

開けると玄関のドアをカリカリして外の闇に走って行った

私が勝手に「くつした」と名付けた黒猫は何度もやって来た
必ず手足を拭いてあげなければ家に入らない習慣だった

長くても2時間
膝の上で眠ったり、とっても甘えん坊でした
ちょっとした寄り道だったのか?
特に何をするわけでもないのに「くつした」が遊びに来るのがとても楽しみだった


そんな「くつした」もある日を境に来なくなってしまった

ある日、ドアの外に何故か赤い首輪だけが落ちていた

「くつした」が来た時に付けてあげようと拾っておいた首輪だけが残された

不動産屋に就職が決まった私は急遽引越すことになった…
荷物を積み終えて、最後に外階段の手すりに赤い首輪を巻いて…


「くつした」






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