2008328(金)

〈ちょびひげ〉

〈ちょびひげ〉



…週刊マンボ…



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ベイエリアの 向こう側には いつもより 濃いブルーの 波間が 微かに光っていた。

(時間より 少し遅れてしまったな…)


時計をみるが 雨の雫が 掛かって見えない…


「ほらほら 待ってたよ~ アンジの 早く 企画が 聞きたいよ~!」と 私の手を サッと包み込んだのは 美和ちゃん だった…。

(いつも 手を引くのは 私が断然多かったから…先に手を繋がれると、温かい気持ちになった…)


ドアを 開けた向こうに 大勢の スタッフと キャストが 動いている。

らせん階段から 降りてきた 中村さんに  「今日はね、 全て自由な 発想で やってね!アンジの 感性が ピッタリだから それと 同時進行で 録っていくよ!」と笑顔で 優しく肩を 叩かれた…。
(あっ、私が 脚色の PVなんだね…自由か~ …窓に 当たる雨の雫が 気になった。)

もう直ぐ、雨は 止むだろう…雲の向こうに太陽の光が微かに 透けている。

「1時間 休憩入れまーす!」

〈インカムADが 叫んでる!!〉

(あ~良かった。いつも ギリな私は 直前に成らないと 頭が働かないのだ…)

白いテーブルと 白い椅子……(セットは 白基調か…)

椅子を 引いて 座る。

すると、向いの席に いきなり 今日の主役 浅野さんが 笑顔で 腰を掛けた。
(生成のスーツ…衣装かな…似合ってる)


堅い表情の私を 笑わせるのに 色んな話をしている。

でも 耳に 入らない。
(浅野さん 実物、細いんだね …ホントに 優しい顔して笑ってる…) そう思った。

小道具の 七色の ペンキの缶が 隣りに並べてある。
(無臭…水性か…こんな時も こんな事を 考えてる…)


 急に 彼は 白い缶の中に 指を入れた。


そして 自分の 耳の下から 逆の 耳まで 髭を 作り始めた…

(何っ?)
(何やってんだ、この人は…)

「ねーねーっ? 始まっちゃうよ! それまでにさ、落とせるの?水性ペンキ?…ハハハおかしい~。笑える~」

(ちょびひげ 付けろ!…)

「やっと、笑ったね…」

隣りに 奥さん役の 玲央名さんが 「なにやってんの~?」と 覗き込んだ。

(ちょびひげ 付けなよ…)心で 呟いた…

彼は ペンキが 無くなった 人差し指で 鼻の下を こすった…。

「付いた?」

「うんん…粉っぽい…」

もっと 強く 押し当てた。

5秒の間が 空く…

私は 椅子から 立ち上がると 白いペンキを 親指に付けて ゆっくり 彼の 唇の上に 左から右に ラインを 引いた。

何か 弾けた 音がした。



ーーーENDーーーーー






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