2011929(木)

チュウのこと(最終回)


チュウのこと(最終回)

2002年(平成14年)、今の家に引っ越した。

ついに持ち家、ということで今までで一番長くワイヤーを張って、チュウの可動範囲を広く取った。

散歩は「森の交流館」や帯広の森、自衛隊の西側に沿った土地など、舗装されていない所を多く利用できるようになったので、チュウにとっては改善の方向になったのかな、と思う。

散歩の時は極力他の犬との接触を避け、相手がどれだけ吠えようが好意を示そうが「知りませんよ」と知らん振りをして、散歩を楽しんでいたチュウではあったが、家の近くの白い犬とはなぜか気が合うらしく、親しくしていた。 とはいえ、ちょっと挨拶を交わすくらいだったが・・・

すでに8歳になったチュウは「おっさん」の域に達して少し角が取れてきたような感じがした。

犬の年齢早見表外部リンク

角が取れたはずなのにある日突然逃走して、自分がこのマイとかちに参加するきっかけを作ってくれたりした。

もう小学生だし、そろそろチュウの散歩も大丈夫だよね~なんて言ってやる気になったボンズがリードを持ったとたんダッシュして、カミさんが振り向いた瞬間ボンズの両足が中に浮いていた、とか、面白エピソードを作ることも忘れなかった。

自分もカミさんも仕事が忙しくなり、ヒメもボンズも学校やクラブ活動が忙しく、毎日は散歩に連れて行けなくなってしまった。 自分が休みの日はできるだけ行くようにしていたが、年々リードを引っ張る力が弱くなっていった。

2年ほど前からは散歩の後で後ろ足が痙攣することもあった。 それでも病気などは一切せず、狂犬病の予防注射以外は動物病院にはお世話にならなかった。

冬は寒さが身にしみるだろうとのカミさんの強い意向で、夜は家の中で寝るようになったり

寝顔

夏は泳ぎに行く池が遠くなってしまったので洗ったり

びしょぬれ

チュウは楽しんでいたかな?

てんてんやちゃぺともそこそこ仲良くやっていたし、優しくてお間抜けな性格はずっと変わらなかった。

1年ほど前から耳が遠くなったようで、ここ半年ほどは多分聞こえなくなってしまっていたと思う。 音に合わせて耳を動かすことがなくなってしまったから。

ここ何年かは夏が暑く、しんどそうだった。
16歳になった今年の夏は特にこたえたらしく、昼間は日陰になる木の下に繋いでいても息が荒いままで、熱中症にならないように水をかけてやったりもした。

様子がおかしくなったのは8月2日。立てなくなり、横になったまま荒い息をしていた。 夜、口を水で濡らしてやったり、カミさんが缶詰のドッグフードを口に入れてやったり看病をしていたが・・・翌日3日午後8時過ぎ。 カミさんがちょっと目を離した隙に一人で最後の時を迎えてしまったらしい。

悲しい、それしかなかった。

家族みんなで泣いた。

4人が4人それぞれのチュウとの時があったんだと思う。
それを口には出さずに胸の中でかみしめて泣いた。

チュウとすごした16年半という年月はウチの家族が形作られた年月そのものだ。 カミさんと結婚して、2人で家族になって、そしてそこへ来たのがチュウだった。 士幌から帯広へ、ずっとそばにいてくれた。

チュウがいなくなった庭はし~んとしている。
今は虫の声しかしない。
そんな庭を見るととてつもなく寂しくなる。
今でも涙が出る。

いつかこの気持ちを乗り越えることは出来ると思う。
時間が経てば。

それまでは今の気持ちをもチュウの思い出としておきたいと思う。

長く書いてきましたが、「チュウのこと」は今回でおしまいにします。






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