チュウの事(16)


2011929(木)

チュウのこと(最終回)


チュウのこと(最終回)

2002年(平成14年)、今の家に引っ越した。

ついに持ち家、ということで今までで一番長くワイヤーを張って、チュウの可動範囲を広く取った。

散歩は「森の交流館」や帯広の森、自衛隊の西側に沿った土地など、舗装されていない所を多く利用できるようになったので、チュウにとっては改善の方向になったのかな、と思う。

散歩の時は極力他の犬との接触を避け、相手がどれだけ吠えようが好意を示そうが「知りませんよ」と知らん振りをして、散歩を楽しんでいたチュウではあったが、家の近くの白い犬とはなぜか気が合うらしく、親しくしていた。 とはいえ、ちょっと挨拶を交わすくらいだったが・・・

すでに8歳になったチュウは「おっさん」の域に達して少し角が取れてきたような感じがした。

犬の年齢早見表外部リンク

角が取れたはずなのにある日突然逃走して、自分がこのマイとかちに参加するきっかけを作ってくれたりした。

もう小学生だし、そろそろチュウの散歩も大丈夫だよね~なんて言ってやる気になったボンズがリードを持ったとたんダッシュして、カミさんが振り向いた瞬間ボンズの両足が中に浮いていた、とか、面白エピソードを作ることも忘れなかった。

自分もカミさんも仕事が忙しくなり、ヒメもボンズも学校やクラブ活動が忙しく、毎日は散歩に連れて行けなくなってしまった。 自分が休みの日はできるだけ行くようにしていたが、年々リードを引っ張る力が弱くなっていった。

2年ほど前からは散歩の後で後ろ足が痙攣することもあった。 それでも病気などは一切せず、狂犬病の予防注射以外は動物病院にはお世話にならなかった。

冬は寒さが身にしみるだろうとのカミさんの強い意向で、夜は家の中で寝るようになったり

寝顔

夏は泳ぎに行く池が遠くなってしまったので洗ったり

びしょぬれ

チュウは楽しんでいたかな?

てんてんやちゃぺともそこそこ仲良くやっていたし、優しくてお間抜けな性格はずっと変わらなかった。

1年ほど前から耳が遠くなったようで、ここ半年ほどは多分聞こえなくなってしまっていたと思う。 音に合わせて耳を動かすことがなくなってしまったから。

ここ何年かは夏が暑く、しんどそうだった。
16歳になった今年の夏は特にこたえたらしく、昼間は日陰になる木の下に繋いでいても息が荒いままで、熱中症にならないように水をかけてやったりもした。

様子がおかしくなったのは8月2日。立てなくなり、横になったまま荒い息をしていた。 夜、口を水で濡らしてやったり、カミさんが缶詰のドッグフードを口に入れてやったり看病をしていたが・・・翌日3日午後8時過ぎ。 カミさんがちょっと目を離した隙に一人で最後の時を迎えてしまったらしい。

悲しい、それしかなかった。

家族みんなで泣いた。

4人が4人それぞれのチュウとの時があったんだと思う。
それを口には出さずに胸の中でかみしめて泣いた。

チュウとすごした16年半という年月はウチの家族が形作られた年月そのものだ。 カミさんと結婚して、2人で家族になって、そしてそこへ来たのがチュウだった。 士幌から帯広へ、ずっとそばにいてくれた。

チュウがいなくなった庭はし~んとしている。
今は虫の声しかしない。
そんな庭を見るととてつもなく寂しくなる。
今でも涙が出る。

いつかこの気持ちを乗り越えることは出来ると思う。
時間が経てば。

それまでは今の気持ちをもチュウの思い出としておきたいと思う。

長く書いてきましたが、「チュウのこと」は今回でおしまいにします。



2011925(日)

チュウのこと(7) ・・・今日はモンジの話


チュウのこと(7) ・・・今日はモンジの話

手狭な緑ヶ丘の家からは1年で脱出。
車で3分ほど西の一軒家を借りた。

ここは日当たりはまずまず。 庭もあったのでワイヤーを張って鎖をつなぎ、士幌の時のようにある程度は動き回れるようになった。

散歩は近くの南商跡地からスタートして、住宅地の中をうろうろ歩き回るようになったが、暑い夏には車でグリーンパークまで行って、池で泳がせた。 楽しそうに泳いでるチュウを見たかったから。

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ボンズも一人で立てるようになり、自分だけで出来ることが一気に増えたので、さらに手が掛かるようになった。


新しい家に越して1年ちょっと。その日は突然訪れた。

自分が休み、カミさんは仕事、ヒメは幼稚園。 あまり天気の良くないもうすぐお昼ごはん、の時間だった。
庭でボンズと遊んでいた時、開いていた窓からモンジが庭に下りた。 チュウにちょっかいを出して、庭を一回り。 いつもはそのまま家に戻るのだったが、あの日はそのまま家の前の道を横切り、向こう側へ歩いていった。

「モンジ、危ないよ」と声をかけたらこちらへ戻ってきた。

そこへ車が・・・

目の前で車に轢かれて死んでしまった。


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家族みんなの悲しみの涙の中でモンジのお葬式をした。
心底、辛かった。

小さくなってしまったモンジはその家ではどうしても埋葬できなかった。

チュウは「どうしたのかな?」と時折、家の中を覗き込むような仕草をしていた。

小さい頃からビシビシしごかれたモンジの姿を見ることがなくなって、チュウも心なしか寂しげな様子だった。


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今もタンスの上に飾ってあるモンジの写真。 右の絵はヒメが、あの日描いてくれたモンジの笑っている絵。



2011923(金)

チュウのこと(6)


チュウのこと(6)

2000年5月、ボンズ誕生。21世紀だ。

画像

被写体が2倍になると写真の中にチュウの登場回数はさらに減り、かろうじてビデオの中を横切ったりするくらいになってしまった・・・(汗)

ボンズが生まれた直後、新規就農の夢が破れ、牧場を後にする。

某電器屋さんに就職が無事決まり、帯広へ一家で引越し。

4人で住む事になった緑ヶ丘の借家はくしくも自分が学生時代に、カミさんが社会人になった時に住んでいた小さな家だった。 4人で住むにはあまりに手狭だったが、帯広への「縁」を感じずにはいられなかった。

チュウは庭で動ける範囲が狭くなってしまったので、ストレス感じてるかなあ、とちょっと心配ではあった。

グリーンパークに程近かったので、散歩はグリーンパークがメインになった。

士幌の時と違って帯広ではリードなしの散歩はよろしくないので、チュウにとっては窮屈な散歩になってしまったかもしれない。

夏は散歩の途中で必ず池に飛び込んで泳ぐのがお気に入りだった。 「ワンワン、泳いでる~!」と、その姿は小さい子に大人気だった。

冬にはヒメを乗せたそりを引っ張って「犬ぞり」状態で散歩をした。 散歩の初めの方はチュウも力があるのでヒメはあっという間に振り落とされ、軽くなった無人のそりと一緒にすっ飛んで行ってしまった。「チュウ~!!戻ってこ~い!!」と叫ぶと回れ右して戻ってくる。 またヒメが乗って振り落とされてすっ飛んで・・・を何度か繰り返すと引っ張り方を覚えたのか、そりをひっくり返すことなく走れるようになった。 人の少ない昼間を狙って久々にリードなしで走らせたが、呼べばすぐ戻ってくるので「ちょっとだから許して~」という気分だった。 ビデオで映像も残っているが、自分もヒメも笑い声でいっぱいだった。



2011922(木)

チュウのこと(5)


チュウのこと(5)

ヒメ2歳。補助輪つきで自転車の練習を始めた。

この頃になるとホントにチュウの写真がなく、
写っていてもこんなにちっこい後姿だったりする(涙)

この頃は「打倒キツネ」を目指してバイクで散歩に
行くようになった。
40キロくらいまでは楽勝で走っていたが、50キロだと
「早いっす・・!!」と情けない顔をしていた。

隣の牧場の裏側に小さい川が流れていて、そこを折り返し地点としていた。 川に入って水を飲んで少し遊ぶのがチュウは好きだった。

夜に大雨が降った次の日は良く晴れていた。 その日もいつもと同じように川に飛び込んだチュウは、あっという間に流された。 「?????????????」という顔をしたチュウがさ~~~~~~~~~っと流されていく。 「チュウ!!早く泳げ!!!」 あわてて全力で犬かきをするチュウ。 「急げ~~~~~~~~~~!!」と叫ぶ自分。 なぜなら少し下流に3メートルほどの落ち込みがあって、そこへ落ちたらただでは済まないからだ。 斜めに流されながらもようやくの思いで岸にたどり着いたチュウ。
「やばかったっす・・・!」とさすがに緊迫した顔をしていた。

これに懲りて水嫌いになるかなあ~と思いながら次の日も散歩に来たが、いつも通り川に飛び込んだのを見て、「大物なのか、おバカさんなのか??」とちょっと考え込んでしまった・・・

牧場時代の最大のピンチのお話でした。



2011920(火)

チュウのこと(4)


チュウのこと(4)

ヒメ9ヶ月。 すっかり窓際がお気に入りで、モンジと並んでチュウを見ている時間が多くなった。
冬の士幌は風が強く、あまり窓を開けることはできなかった。
・・・窓を開けると転落の危険もあったからだが・・・

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雪が解け、春になって窓を開けてもそれほど寒くなくなった頃にはヒメとチュウはすっかり仲良くなっていた。

自分より小さい人間を見て、少し成長したチュウ。
ガキっぽさ全開だった半年前とはだいぶ雰囲気が変わってきた。

最初はチュウが近づくのさえおっかなびっくりだったヒメもチュウは絶対にかじったりしない事を理解すると、口の中に手を突っ込む遊びを始めた。
あまり気分は良くなさそうだったが、口の中に突っ込まれるいろんな味のする小さい手をぺろぺろとなめてやっていた。

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モンジはチュウが窓から首を出すのが気に入らなかったらしく、「か~~~~~~~~~~~~~!!」と威嚇していた。
調子に乗ったチュウがさらに中を覗こうとした時、「びしっ!」とモンジの左フックがチュウの鼻をヒット!
「ギャン!!」と泣いて小屋へ引っ込んだチュウの鼻の頭からは血がたら~りと・・・

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一人で歩けるようになったヒメを外で遊ばせると、心配そうにじっと見ていた。 後ろ足で立ってさらにジャンプしてじゃれ付くのが好きだったのに、ヒメには絶対にしなかった。

春になってまた自転車で散歩開始。
春の農繁期になるとダンプが頻繁に行き交う散歩の帰り道。
いつもよりも左右にふらふら走っているなあ、と思っていたら車道にふらっと飛び出した。 そこへダンプが・・・!!

ダンプの運転手もふらふら走っているチュウを見ていたらしく、直前で停止!!と思ったらシッポを少しだけ轢いてしまったらしい。 「ギャッ!!!!!!!!」と悲鳴を上げてキツネを追うスピード以上で家にすっ飛んで帰った。

シッポの根元を傷めたらしく、1週間ほどはシッポを下げたまんま、背中を丸めて痛々しい姿となってしまった。
この頃の姿は「ぼろチュウ」とか「凹みチュウ」とか言われていた。
その後は回復して、散歩も通常通り開始したが、車道に飛び出すようなことはなくなった。



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