20091013(火)

獣医学生が動物園獣医師になるまで

獣医×29

獣医学生が動物園獣医師になるまで

 私が学生だった20年前の授業は牛馬が中心でした。
 犬猫の解剖学はありません。
 臨床になると犬猫のことも教わるようになりましたが、鳥である鶏は他の動物に比べかじる程度です。
 牛馬犬猫鶏、これだけでもすごい分量です。
 さらにスペシャリストになるには専門的な知識・技術が必要になります。
 大学6年間(実際は3年くらいでしょうか?)で学ぶには十分すぎる量!
 そんな中に野生動物が入る余地はありません。
 (今では少し行われているようですが、どこにそんな余裕があるのでしょうか?)


画像


 では、どうやって動物園で野生動物の診療を行うのでしょうか?



 座っているだけで耳に入る学校とは違うので、自らするしかありません。
 専門書はそれなりに出ていますが、自分で理解するのはなかなか新米獣医師には難しい。



 草食動物では反芻しない動物は馬を参考に、反芻する動物は牛を参考に、肉食動物ではネコ科動物は猫を参考に、犬科動物は犬を参考に、鳥は鶏を参考に診療を行うのです。
 かなり大胆で適当?
 クマや爬虫類はどうするかって?どーしましょ?
 診療がそれなりになるまでは、前述したように動物同士似ているところを探しながら行っていきます。
 キリンやシカでは上手くいったことがカンガルーにはできない。
 エゾシカとヤクシカは微妙に違う。
 鳥や爬虫類は哺乳類と根本的に全部違う!
 何てことが実感できるようになってきます。
 そうすると種類ごとに違いが見えてきて種類ごとに適したやり方になってくるのです。



 それでもまだまだかなり手探りの診療になっています。



 動物園には獣医師が1人しかいない園や複数いても臨床経験がない獣医師もいます。
 先輩に教えてもらうことのできない獣医師がたくさんいるわけです。
 そこで、動物園間で獣医師同士の繋がりが重要になってきます。



 犬猫牛馬の獣医師と違い、動物園獣医師の臨床経験数は圧倒的に少なくなります。
 さらに飼育数の少ないおびひろ動物園では診療自体しない日も多々あります。
 初めて出会う症例だらけになり、手術に至っては一発勝負なんてこともあります。
 初めてだから、一発勝負だから検査をたくさんしたいと思うのですが、野生動物はだまって検査を受けてくれる何てことはありません。
 検査をするだけで吹き矢や麻酔銃を使って全身麻酔!



 いつまで経ってもこれで完璧!
 なんて診療を行うことができず。
 その時の自分のベストを尽くすのみです。



最終日までこども会館にて「動物園のお医者さん」開催中!


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