2008228(木)

アライグマが教えてくれたこと


アライグマが教えてくれたこと

突然ですが、

私は「 かわいい動物 」は好きですが、

「 動物を 『かわいい』 という 」 ことが嫌いです。


そんな、少し変わったことを思うようになったのは

『アライグマ』を飼育してきたからだと思います。


 
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始めて飼育係として「アライグマ」と一緒のオリの中に入ったとき、

先輩の飼育係に「アライグマ かわいいですね」と言ったのを覚えています。


でも、すぐにその言葉はいえなくなりました。


 
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『アライグマは、可愛くて、安全な動物』だと勘違いしていたからです。


私が想像していたアライグマと、現実のアライグマとでは、

性格が全く違いました。


その勘違いの原因のひとつは、私が子供の頃に見ていた

「アライグマが出てくるテレビ番組」だったと思います。


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アライグマは、そのテレビ番組が放送されていた頃に、

『ペット』として外国から輸入されてきましたが、

その後、アライグマを山などに放す飼い主があらわれてしまいました。


それも、日本各地で、、大量に・・・


その結果、アライグマは日本各地の野生下で繁殖し、

エサとして農作物なども食べて、畑を荒らすようになり、

『外来種』といわれる『害獣』になってしまいました。


アライグマはただ自然の中で暮らしていただけなのに

なぜこのようなことになったのでしょう??


それはおそらく、アライグマを山に放した飼い主の方たちは、

私と同じように、『アライグマ』を勘違いしていたのだと思います。



テレビなどの「メディア」は、見てもらうための内容を作ります。

そして、より多くの方たちに見てもらうために、

視聴者が見たいもの、好みに合うものを中心に放送します。


動物の場合は「かわいい姿」や「生まれてすぐの頃」、

または、動物を「擬人化」したり、気持ちを勝手に言葉にしてみたり・・・



そして,その偏った情報が私たちのもとに届けられ、

偏った動物のイメージを多くの人が持ってしまう結果になるのです。


事実を伝えなくてはいけないはずの「ニュース番組」なども

動物を扱うときはだいたいそんな感じです。

『野生動物』と『ペット』その違いを伝えることはほとんどありません。


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動物園に来ていただいた方たちに楽しんでもらうため、

私も、多くの方たちが望む「動物のかわいい姿」を見せたい・・

という気持ちも本当はあります。


ですが、これ以上「アライグマ」のようになってしまう動物を作らないため、


そして、私たち人間と、野生動物が共存していける未来に向かうためにも


私は、動物を 『かわいい』 ということが嫌いなんです。


 
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