2015112(月)

シンポジウム「北と南の先住民の自然観」終わりました


シンポジウム「北と南の先住民の自然観」終わりました

今日は晴れると聞いたのに・・・
気温も上がると聞いたのに・・・

思いのほか寒くてがっかりしている飼育展示係7です。

お昼のチンパンジーのガイドを外で実施しようかと思いましたが、彼らもすっかり冷え切っているようなので、早々に屋内展示室に収容し、室内でガイドしました。

不意をつかれて、お部屋に戻るルートを間違え、いつまでも開かない扉の前で待つプヨたまw

珍しく出遅れました。





そんな寒い帯広から、先日開催したシンポジウムの様子をお伝えします。




今回のシンポジウム、開催のきっかけは今年のチンパンジー舎での写真展にご協力いただいたWCSコンゴ共和国の西原さんとの出会いでした。

アフリカ熱帯林で暮らす森の先住民のお話を聞きながら、北海道の先住民アイヌ民族との相違点などが気になりだしたんです。
西原さん自身も、北海道に来られた際に白老町にあるアイヌ民族博物館に行かれたとのこと。
いろいろとお話をさせていただくうちに、これは何か共通の話題があるのでは?!と開催を企画したのでありました。

幸い?以前勤務していた帯広百年記念館にはアイヌ文化の学芸員がいた(過去形?! 現在は文化庁に移られました・・・)ので、その方にもお願いして、シンポジウムを開催したい!と

かなりGoing My Wayで突っ走りましたが、


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左奥からアイヌ文化の自然観を紹介していただいた文化庁の内田先生。
右にアフリカ熱帯林の先住民について紹介していただいたWCSコンゴ共和国の西原先生。
そして、左手前にはコーディネーターを無茶振りした帯広大谷短期大学の岡庭先生。(岡庭先生はアラスカの先住民について研究されている文化人類学者です)


当日までメールで打合せを行いながら、初めての試みのため、準備が後手後手になる中、ついに講師の先生方の顔合わせ!

実は、この時点で満足している私・・・


それではだめなんですけどね。
それくらい当日を迎えられたのがうれしかったんです。


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3人の先生たちは、シンポジウム開始直前まで会場前で念入りに打合せ。
パネルディスカッションでどのような方向に話をしていくか、検討していたようです。


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そして、帯広百年記念館館長の挨拶からついにシンポジウムスタート!
(今回は動物園×百年記念館×図書館による主催事業です)


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まずは、西原さんからのアフリカ熱帯林の先住民について紹介してただきました。
アフリカ熱帯林とはどのような環境かを動画を通じて見せていただき、動物とのかかわり、植物とのかかわりなどを教えていただきました。
そして、彼らの伝統文化の継承が困難な事態に陥っていることも・・・
文化が無くなっていくという、現在進行形の問題をどうして行くのか。

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内田さんからは2020年に開館予定の国立のアイヌ文化博物館(仮称)の紹介とアイヌ文化にける自然観についてお話を頂きました。
私としては、新しい国立博物館の展示という部分で、学芸員としても勉強勉強。

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最後には、短い時間ではありましたが、岡庭先生コーディネートによるパネルディスカッションを行いました。

2つの先住民、地理的にはとても離れてはいますが、自然とともに暮らしていることは共通であり、そして、彼らのたどっている道が、時をずらして同じ行程を歩んでいるように見えてならない。そんな思いでした。
一方では、まったく違う面もあり、とても興味深く聞き入ってしまいました。

アフリカ熱帯林の先住民は平等主義ゆえに、現在失われつつある伝統文化を残していこう!という声を上げにくい現状。しかし、個々人では今の失われつつある現状には満足していないとのこと。
そして、アイヌの人びとは、次第に自分たちの伝統文化に誇りを持つようになったという経緯。とはいえ、地域によってはそれを継承していくのが難しいところもあるそうです。
さぁ、この貴重な文化をどうやって残していくことが出来るのか。
そして、わたしたちに出来ることは何があるのか。
どちらも、持続可能な社会の実現には欠かすことの出来ない伝統的文化があります。
今、まだ可能性があるときに継続していくことの大切さ。

一度無くなってしまったものは簡単には戻りません。
しかも、無くなる前とまったく同じものにはなりません。
それは、文化も動物も同じ。
私はそう思います。
絶滅した動物は戻らない。
失われた文化を取り戻すのは難しい。
だからこそ、どちらも今こそ、手を打つ時なんだろう。

このシンポジウムを開催しながら、地球規模での危機感を改めて感じたのでした。

興味のある方は、お声かけ下さい。
後日報告書をまとめてみようか・・・勝手に考えているところですw


最後にこのシンポジウムにご協力いただいた3名の先生に心よりお礼申し上げます。
私の強引なお願いを引き受けていただき、本当に感謝の思いでいっぱいです。
そして、可能であれば次回に繋げていきたいな・・・。
それまでに私も勉強することが盛りだくさんです!


・・・がんばろ・・・


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