2017113(金)

吉報


吉報

鏡開きのお餅でお汁粉を作り、今日のお昼ご飯に持っていったところ、胸焼けをした飼育展示係7です。
こんばんわ。
お口直しに塩昆布もあったのに…
どうしたことでしょう。

7日は七草がゆを作ろうと思ったのに作れませんでした。

その理由や如何に?!





ということで、ここから本題です。
既にご存知の方も多いと思われますが、1月7日14:12にチンパンジーのプヨさんがメスのチンパンジーを出産しました。

ここで、その時の様子を振返ってみましょう。

とまぁ、その前に。

実は4月の末の生理を確認後、プヨの生理が確認できずにいました。
でも、性皮は腫脹するし、ただの見逃しかしら…と思っていました。

しかし、3ヶ月を経過した頃に、これは何やらおかしいよな…と思い、検査薬でお試し。
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ここで、妊娠が判明しました。

それから、出産予定日を計算。
が、人間のようにシャキン!と出てくるわけではなく、これまた予定日の算出が難しい。
頭の悪い私は、何度も計算し直しました。
出てくるたびに日付が変わり、もうどれが正しいのやら…。

それでもようやらやっと算出した予定日ではだいたい12月23日から1月3日あたりかと…

でも、生理の1回見逃しただけで、1月はずれ込むよな…とか。

何しろ、プヨは初産。私は初めての繁殖(決して私の繁殖ではないですよ)。しかも、おびひろ動物園としても初めての繁殖。

妊娠中の経過がどうなのかもわからず、今か今か?まだか?の連続でした。



しかし、フタを空けてみれば…

7日は朝一番に様子をみた時点で?????
プヨがあんな風に足を投げ出して座っている姿は見たことがないぞ。
ちょうどとなりにいたマンドリル担当者にも、「あんな座り方するプヨ見たことないよねぇ」と同意を求めてしまいました。

そして、掃除を終え、餌を与えると…

あれれ?食べない。

違う餌を与えても…食べない。

しかも、定位置には行くんだけども、いつもと姿勢が違う。

う〜ん?これは兆候?
どう見てもいつもとは違う…
お昼休みにまたベテランさんに聞いてみようか…

そんなことを考えながら、まもなくスポットガイドと、観覧通路で観察しながら時間を待っていると…






あれ〜????




もしかして「おしるし」?????



陰部から出血し始めたんですね。



もう、心はドキドキです。

ガイドしてる場合じゃないんじゃ???
と思いながらも、10分くらいなら!!!!と

お客さまには大変申し訳ないのですが、ちょっと早めにガイドを切り上げさせていただきました。



さて、じゃぁどうしようか…と。

何しろ私の頭の中には
「初産は高いところから産み落とす場合がある」と聞いていたことで頭がいっぱい。
それに、出産に集中したい時に、他の個体がいると落ち着いて出産できないだろうから…と。

まずはプヨを隔離!!!!

ここはヤワラとコウタが小さい方の展示場に移動してくれ、すぐに完了。

しかし、大きい方の室内展示場では、産み落とす危険のある場所多数。

これは困った〜。でも陣痛が始まっているのか、プヨは動かない〜。

そこで、まずは動いてくれたらラッキーくらいで、室内展示場から屋外展示場への通路を開放し、しばらく放置することにしました。

といっても、不安でしょうがない私。
放置を決意し、チンパンジー舎を後にしながら、そのまま観覧通路にまわり込み。





すると!!!
展示場にいないではありませんか。


そう、通路に移動したんですね。

通路は当然ながら段差はありませんので、産み落としてしまうことはないだろう!と、
早速動物舎内に戻り、通路にプヨさんを隔離することに成功!

これで、観覧通路を封鎖せずに、ヤワラとコウタを展示することもできます。


問題は…
この場所にいつまでもいたら、餌と水をどう与えようか。
何しろ朝から飲まず食わず。
一体、チンパンジーが出産にどのくらいの時間がかかるのか想像もつかず…。
難産だったらどうしましょう。と悶々。

さらに、食べないのはまだ半日だしと思いつつも、きっと水分は欲しいはず。
テレビで見る出産シーンでは立ち会ってるお父さんとかが飲み物片手にいるイメージだし…
(何しろ、未経験なもので…)

とまぁ、私の頭も混乱状態です。

でも、実際に産むのはプヨさん。
私ではありません。

私は密かに?いえ、堂々と記録をとることに勤しみ、かつ、時々ジュースを差し出すことにしました。
あ、それと、ベッド材となる麻袋を通路の隙間から差し出し…。
プヨさんは受け取り。
初めての共同作業かも。





痛みに絶えること約2時間。
あまりの痛みに、麻袋を頭からすっぽりかぶる様子を見ていると、コチラが息んでしまいます。

陣痛の間隔が1,2分間隔になり、辛そうな声が漏れる中、おや、破水かな?

すると、プヨさんがしきりに陰部から何かを引っ張ろうとしています。
よくよく見ると、
ア…黒い毛が見える!!!!


と思ったら、あれよあれよと。産まれました。



引っ張り出し、頭を抱え、全身が出ると同時に胸に抱える。

なんて素晴らしい!!!!

とても初産とは思えない(いえ、他の経験がありませんが)
出産。

ちょっと前まで、ちょっと小憎たらしいところすらあったプヨさん。9歳だもの。人間で言ったら思春期よね〜と思っていたプヨさん。

この瞬間からお母さんの顔です。

常に子どもを愛おしそうに抱きながら、姿勢を替えたり…。

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産後、1時間ほどして、落ち着いたかしら?と、おもむろにジュースを差し出すとゴクゴクと飲み干しました。
その量600mlほど。

さらに、朝からのまず食わずだからと、バナナを1本差し出すと、ばくばくっと食べ、続いて差し出すキウイもまだくれと言わんばかり。

落ち着いてきたところを見計らって、ちゃんと餌と水が飲めるように室内展示室への扉を開けました。

しばらくすると、どれどれと子どもと胎盤、そしてベッド材を抱えて移動してきました。

母は大変ね。
あれもこれも持たなきゃいけないんだもの。

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胸に子どもを抱え、餌を食べるプヨの後方から、背後の麻袋に伸びているのはまさに「へその緒」
麻袋のほうには胎盤が…。

そして、その頃には外はもう真っ暗…。

出産という大仕事を終えたのだから、きっと早く休みたいはず。

餌も食べ始め、水も飲んでいる姿を確認できたので、いつまでも観察せずに、電気を消して休ませました。


という1月7日。
その後も事務所にもどって、あれこれしていたら、もう七草がゆのことなんて忘れていたわけであります。

七草がゆはまた来年ですね。

何より、無事に産まれてきてくれたことが1番です。

そして、この子が動物園に産まれてきた意義を果たせるように、私に何ができるのかということを自問自答する1日でした。

誰にとってもかわいいあかちゃん。

ですが、ただ「かわいいね」で終わるのではなく、かわいいの先に、動物園動物の先に、野生の生きものがどのように暮らし、何が起きているのかを知り、彼らのために、ひいては私たちのためにもこれからどうしていくべきなのかを来園者のみなさまにも考えていただけるように、小さないのちと一緒に頑張っていきます。

私は育てられないから、プヨお母さん、頑張ってね。
私はお客さまに伝えるお仕事頑張るから。


2日目以降の様子はまた改めて…

写真の少ない1日目。
文字ばかりのブログであいすみませぬ。


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