2017年12月30日(土)
1年を振り返って Part1
今日の動物×553
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今年も残すところあと1日となりました。
あっという間に364日たったわけですね。
そして、アフリカを訪れてから1年も経ち。月日の流れが早すぎてついていけません。
寄る年波に溺れている飼育展示係7です。
ご無沙汰でございます。
振り返ると、この1年、スタートはチンパンジーの駆虫大作戦と「ピナ」の誕生から始まりました。
駆虫大作戦は約1年をかけ、ほぼ成功…したのでは!!!と思っています。
そして、おびひろ動物園で初めて誕生したチンパンジーの子どもは間もなく1歳を迎え、日々やんちゃに健やかに成長しています。
(ヤワラと並んで同じポーズ。ヤワラ、残念ながらフレームアウト)
出産前は「育児放棄をしたらどうしようか」「群の中で子どもに危害は及ばないだろうか…特にコウタの爪…」「ヤワラはどんな反応を示すだろうか」と尽きない悩みだらけでしたが、いざ育児が始まってみると、これほど安心して見ていられるとは思ってもいなかったほど、プヨが立派に育てています。
そして、何より意外だったのが「コウタ」
チンパンジーの雄はゴリラのように子育てにはあまり参加しないと聞いていましたが、ピナが遊び始める頃になるとよくちょっかいをかけたり、一緒に遊んだりするようになってきました。
1年前にコンゴでゴリラを見たせいでしょうか。
時々ゴリラを見ているんじゃないか?と思うほどの子煩悩ぶり。
コウタが集めてきたエサをピナが横から手を出しても、怒らずそのまま食べさせてあげています。
ヤワラが横から掠め取ろうものなら大騒ぎするくせに…。
聞いてはいましたが、「子どもは最高のエンリッチメント」だそうですが、こうも変わるのかと、群飼育の中でも、いろいろな世代がいることが如何に大切かを感じた1年でした。
もちろん、今でもおびひろ動物園の4頭の群は野生のチンパンジーに比べると、構成もおかしいし、数も少ないですが。
少しずつ、本来の彼ららしい暮らしができるように環境を整えられればと思っています。
(今年は冬もよく外に出ています。雪は初めての味ですね。プヨを見て覚えたようです)
チンパンジーを1年飼育しながら、一方では何度となくチンパンジーの密猟の話も耳に入ってきました。
EAGLE Network
のサイトを見ていると、毎月のように密猟されたチンパンジーが押収されたというニュースが掲載されています。(英語とフランス語のみの表記ですので、なんとな〜くの理解ですが…)
多くが子どものチンパンジー。
(EAGLE Network のニュースレターより転載した写真です。押収された生後1ヶ月の子どもは保護施設に収容されましたが、心的ダメージが大きいとのことでした)
子どものチンパンジーが押収されるという実態の背後には、その母親や群の仲間の犠牲があります。
それはプヨとピナを見ていてもわかります。
健康に育っているチンパンジーの子どもが、1頭でウロウロしていて人に保護されるようなことはあり得ません。
特に小さい子どもは母親が片時も離しませんし、子どもが動き回るようになっても必ず母親は手の届く範囲、目の届く範囲にいて、子どもの安全に常に気を配っています。
そんな子どもが人の手にあるということは、母親から殺して引きはがしたということが考えられます。
そして、多くの場合、殺されたアダルトのチンパンジーはブッシュミートとして食べられたり、売られたりしています。
例えば、この子どものチンパンジー。
もともとブッシュミート目的で違法に捕獲したところ、子どもがいたから販売目的で連れていたのか、あるいは子どもを販売目的で密猟するためにアダルトのチンパンジーを殺し、ブッシュミートとして利用したか。あるいは、ブッシュミートにしていないかもしれません。
でも、生後1ヶ月の子どもが人間に連れられていたということは、必ず他のチンパンジーの死が背景にあります。
チンパンジーはワシントン条約で附属書Ⅰに掲載されており、商業目的とする国際取引は原則禁止されています。
しかし、こうした密猟者からの押収や、空港で発見され押収されるケースが未だにあることを考えると、少なくとも「需要」があるからなのではないかと思うわけです。
密猟する人も決して良い行いではありませんが、生活に困って手を染めている場合もアフリカの場合は多くあるそうです。
つまり、大きな根源は「チンパンジーが、チンパンジーの子どもが欲しい」という需要があるということです。
もちろん、これはチンパンジーに限った話ではありません。
需要する側は対価を払えばそれで取引が完了するかもしれません。
しかし、その需要が、需要を満たす行為が野生動物、野生環境にどのような影響を与えているのかを考えなければならなりません。
日本にも多くの野生のチンパンジーが導入されてきました。
動物園で見ているだけではわからないことが多いですが、ヤワラの母親も、コウタの母親も野生の個体です。
つまり、動物園でチンパンジーを見ることができているということは、例えば、ヤワラやコウタのおじいちゃん、おばあちゃんにあたるようなチンパンジーの犠牲があったことを知ってください。
だからこそ、動物園で「楽しかった」「可愛かった」で終わるのではなく、彼らの動物園に存在している意味・意義を来園した皆さんには考えてほしいと思っています。
この1年、ピナの誕生と成長を見ながら、野生のチンパンジーが本来の生息地で種を存続できるようにするために私には何ができるのかなと考え、行動するようにしてきました。(もちろん、完璧ではないですよ(汗)。できる限りです。)
ぜひ、1人でも多くのみなさんに、意識すること、そして、気づいたときは改善することを心がけて欲しいなと思います。
そして、私は来年もヤワラ・コウタ・プヨ・ピナと一緒に、皆さんに訴えていきますね。
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どうぞ、来年もおびひろ動物園を宜しくお願いいたします。
P.S.1月7日でピナは1歳になります!開園日ですので、大きくなったピナを見に来てくださいね。ガイドやりますよ〜!
あっという間に364日たったわけですね。
そして、アフリカを訪れてから1年も経ち。月日の流れが早すぎてついていけません。
寄る年波に溺れている飼育展示係7です。
ご無沙汰でございます。
振り返ると、この1年、スタートはチンパンジーの駆虫大作戦と「ピナ」の誕生から始まりました。
駆虫大作戦は約1年をかけ、ほぼ成功…したのでは!!!と思っています。
そして、おびひろ動物園で初めて誕生したチンパンジーの子どもは間もなく1歳を迎え、日々やんちゃに健やかに成長しています。
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出産前は「育児放棄をしたらどうしようか」「群の中で子どもに危害は及ばないだろうか…特にコウタの爪…」「ヤワラはどんな反応を示すだろうか」と尽きない悩みだらけでしたが、いざ育児が始まってみると、これほど安心して見ていられるとは思ってもいなかったほど、プヨが立派に育てています。
そして、何より意外だったのが「コウタ」
チンパンジーの雄はゴリラのように子育てにはあまり参加しないと聞いていましたが、ピナが遊び始める頃になるとよくちょっかいをかけたり、一緒に遊んだりするようになってきました。
1年前にコンゴでゴリラを見たせいでしょうか。
時々ゴリラを見ているんじゃないか?と思うほどの子煩悩ぶり。
コウタが集めてきたエサをピナが横から手を出しても、怒らずそのまま食べさせてあげています。
ヤワラが横から掠め取ろうものなら大騒ぎするくせに…。
聞いてはいましたが、「子どもは最高のエンリッチメント」だそうですが、こうも変わるのかと、群飼育の中でも、いろいろな世代がいることが如何に大切かを感じた1年でした。
もちろん、今でもおびひろ動物園の4頭の群は野生のチンパンジーに比べると、構成もおかしいし、数も少ないですが。
少しずつ、本来の彼ららしい暮らしができるように環境を整えられればと思っています。
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チンパンジーを1年飼育しながら、一方では何度となくチンパンジーの密猟の話も耳に入ってきました。
EAGLE Network
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多くが子どものチンパンジー。
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子どものチンパンジーが押収されるという実態の背後には、その母親や群の仲間の犠牲があります。
それはプヨとピナを見ていてもわかります。
健康に育っているチンパンジーの子どもが、1頭でウロウロしていて人に保護されるようなことはあり得ません。
特に小さい子どもは母親が片時も離しませんし、子どもが動き回るようになっても必ず母親は手の届く範囲、目の届く範囲にいて、子どもの安全に常に気を配っています。
そんな子どもが人の手にあるということは、母親から殺して引きはがしたということが考えられます。
そして、多くの場合、殺されたアダルトのチンパンジーはブッシュミートとして食べられたり、売られたりしています。
例えば、この子どものチンパンジー。
もともとブッシュミート目的で違法に捕獲したところ、子どもがいたから販売目的で連れていたのか、あるいは子どもを販売目的で密猟するためにアダルトのチンパンジーを殺し、ブッシュミートとして利用したか。あるいは、ブッシュミートにしていないかもしれません。
でも、生後1ヶ月の子どもが人間に連れられていたということは、必ず他のチンパンジーの死が背景にあります。
チンパンジーはワシントン条約で附属書Ⅰに掲載されており、商業目的とする国際取引は原則禁止されています。
しかし、こうした密猟者からの押収や、空港で発見され押収されるケースが未だにあることを考えると、少なくとも「需要」があるからなのではないかと思うわけです。
密猟する人も決して良い行いではありませんが、生活に困って手を染めている場合もアフリカの場合は多くあるそうです。
つまり、大きな根源は「チンパンジーが、チンパンジーの子どもが欲しい」という需要があるということです。
もちろん、これはチンパンジーに限った話ではありません。
需要する側は対価を払えばそれで取引が完了するかもしれません。
しかし、その需要が、需要を満たす行為が野生動物、野生環境にどのような影響を与えているのかを考えなければならなりません。
日本にも多くの野生のチンパンジーが導入されてきました。
動物園で見ているだけではわからないことが多いですが、ヤワラの母親も、コウタの母親も野生の個体です。
つまり、動物園でチンパンジーを見ることができているということは、例えば、ヤワラやコウタのおじいちゃん、おばあちゃんにあたるようなチンパンジーの犠牲があったことを知ってください。
だからこそ、動物園で「楽しかった」「可愛かった」で終わるのではなく、彼らの動物園に存在している意味・意義を来園した皆さんには考えてほしいと思っています。
この1年、ピナの誕生と成長を見ながら、野生のチンパンジーが本来の生息地で種を存続できるようにするために私には何ができるのかなと考え、行動するようにしてきました。(もちろん、完璧ではないですよ(汗)。できる限りです。)
ぜひ、1人でも多くのみなさんに、意識すること、そして、気づいたときは改善することを心がけて欲しいなと思います。
そして、私は来年もヤワラ・コウタ・プヨ・ピナと一緒に、皆さんに訴えていきますね。
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どうぞ、来年もおびひろ動物園を宜しくお願いいたします。
P.S.1月7日でピナは1歳になります!開園日ですので、大きくなったピナを見に来てくださいね。ガイドやりますよ〜!
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