街づくり(6)


200734(日)

住宅の価値とは


 私は不動産の扱いを本業とする者なので、あくまで資産価値としての住宅について論じたい。

 帯広市とその近郊では次々と公共による土地区画整理事業や民間の開発行為が実施され、続々と新興住宅地が生まれている。かつて自分もこの事業に関わっていたのでよくわかるのだが、表面上は豊かな街並み形成をはかる目的で国の認可をもらうことになっているはずなのに、地権者各々の利益と資産形成のお手伝いと揶揄される場面がある。
 そのため、いつの間にか一戸建て専用の住宅地のはずが、マンションアパートが所々に建ち並び、日常の生活に必要な店屋もなく、調和のとれた街並みになっていない。平日は会社勤め、休みの日は行楽地やデパートに出掛け、夜だけ皆家に引きこもり、街はゴーストタウン化しているのが現実だ。

 資産価値のある住宅は、利便性が高く優れたデザインの住宅地になければ、人々はその地を捨て、また新しい造成地に引越して行ってしまうのではないか。
 たとえハウスメーカーが百年住宅を謳おうが、住宅地としてのデザイン形成と維持管理がなされないのであれば、個々のレベルではもちろん行政にとっても、資産形成は住宅によって実現されることは永遠にないだろう。

 米国では、住宅開発を行うデベロッパーとは別に、その維持管理を目的にHOA(持家主協会)という法人が住宅地の維持保全管理を行っている。日本ではその役割を当たり前のように行政に移管して管理しているが、もうそろそろ民間に任せて不動産鑑定評価の手法も取り入れて、採算性も考慮した土地の維持管理とデザインを考える時代にきたのではないでしょうか。
 場合によっては、移管した民間会社に定期借地という手法で買い上げてもらうという手もあるかも知れない。そうしたらもっと素敵な街並みに、十勝の住宅地も生まれ変わっていくかも。



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 ABOUT
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代表:帯広畜産大学卒、十勝の農協へ就職。その後新聞社に転職、2006年独立起業。デベロッパーも手がけ、産直の立ち上げにも関わる。今は無農薬での農園経営に魅了される。




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