ここ2年ほどおつきあいいただいているお客様の話です

T君　18歳　訳あって養護学校に通っています。
あまりうまく話すこともできません。
今小学生の勉強をしています。
でもパソコンが大好き
彼のブラウザのお気に入りには好きな鉄道関係のURLがびっちり。

メンテナンスや修理で彼の家に行ってPCにさわっていると
僕の横にきてじっと操作を見つめているんです。
ですからできる限りわかりやすい言葉で今何をしているのか
彼に説明してあげていました。

先日彼のお母さんから
「インターネットつながらなくなっちゃいました～」
「Tがあれこれやっちゃったみたいです　Help！」
と、お呼びがかかりました。
うかがってみると確かに接続できません。
コントロールパネルからネットワーク接続を開くと・・・
真っ白け！
なんにもありません
あれれと思いながらデバイスマネージャー・・・開きません
Windowsフォルダからcplファイルを直接ダブルクリック・・・開きません
目が点になり始めました。
Windowsは立ち上がっているのです
Officeなどのソフトも立ち上がります
でもコントロールパネルが全滅です。
sfcも効きません。復元もポイントがありません。
「リカバリしてくれていいですよ」とお母さん
それやれば解決ですけど、原因は不明のまま
修理のプロを自負しているのだからそれじゃ面白くない。
PCお預かりして帰宅して考えました。
T君は何をやったんだろうと

症状としてはバックグランドで動いているサービス関係のようだが
まさかT君がそれを触るとは思えない。
（皆さんの中でXPのサービス一覧が出ている画面を出してください。
　と問われて出せる方が何人いますか？出せる方上級レベルでしょう）
糸口をつかみたくて一覧出してみました。

うわっ！
びっくりしたんです。
50ほど有るサービスのほとんどが「無効」になっていました。
まさかと思っていたことが現実にあったんです。
このサービスというのは各々「自動」「手動」「無効」（*注）の中から
そのサービスに見合った動作がXP自身もしくはユーザーによって選ばれる
ものなのです。
自然に「自動」「手動」の状態から「無効」が選択されることはありません。
「無効」になっているサービスの中で必要なものを一つずつ「自動「手動」
に切り替えながら「どうして彼が？」「どうやって彼が？」と自問して
はたと気がつきました。
彼の家でメンテしていて、ClipBookとかRemoteRegistryとかの不要なサービス
を無効にしているときに彼に
「こうやって悪いものを動かないようにしているんだよ」
と説明したことがあったのです。
T君はしっかり覚えていたのでしょう。
インターネットをつながらなくした悪いやつを止めればいいんだと
自動、手動、無効の字は読めなくとも「絵」として覚えていたのでしょう。

修理しながらとっても嬉しくなりました。
T君すごいぞっ！って
サービスを復旧させて無事修理完了です。

PCを彼の家に持って行ってこの話をしてお母さんに言いました。
「T君をこのPCの管理者としているので、今回のようにいろいろなシステム関　係まで変更することができるようになっています」
「ユーザーとして登録すればシステム関係の変更はできないようになりますが
　どうしますか？」
お母さんの言葉が嬉しかった
「Tが好きで自分で考えてできることをしているのでこのままにして下さい」
「二進も三進もいかなくなったらアトリエさん、またよろしくお願いします」
もちろん喜んで、お任せ下さいと返事しましたよ。

＊注
自動　Windowsが立ち上がるときに自動的に開始されているサービス
手動　関連したプログラムやサービスが起動したときに開始されるサービス
無効　開始しないようにしてあるサービス