『ランボルギーニ ミウラ P400』だ。
スペインの優れた闘牛調教師『ドン・フェデリコ・ミウラ』に由来するといわれているミウラは、350GT、400GTに次ぐ3番目のプロダクションモデル。トラクター製造やエアコンなどの事業で大成功を収めたイタリアの名士『フェルッチオ・ランボルギーニ』がフェラーリに対抗するために手がけたランボルギーニ初のミッドシップカーとなる。
フォーミュラの世界でおなじみの『ジャン・パオロ・ダラーラ』設計によるシャーシに、『パオロ・スタンツァーニ』設計の4リッターV型12気筒DOHCエンジンを横置きミッドに搭載、そしてマルチェロ・ガンディーニによる流麗にデザインされたボディを被せ、1966年のジュネーブショーでアンベールされた。
地を這うようなロー&ワイドなフォルム、モノコックシャーシ&ミッドシップマウントや4輪独立ダブルウィッシュボーン&ディスクブレーキ、280km/hもの最高速、そしてまつ毛のような装飾物にポップアップ式のヘッドライトなど、当時としては全てにおいて先進的な機能やデザインを有すストラダーレモデルとして、『フェラーリ275GTB』や『アルファロメオ・ジュリアTZ』などを差し置いて世界中から大注目を浴びる事となった。そして翌1967年にはP400の生産がスタート、1968年にP400Sがリリースされるまでに約474台がオーナーの元に渡ったと言われている。
雑誌やイベントなどでミウラを見かけることが時折あるように、P400をはじめ、P400S、SV、SVJ、ロードスターなどを含め、日本国内に数十台が生息していると思われるが、本当に調子の良いミウラに出会うことは滅多にない。
当時、GT40に憧れていたダラーラは、レーシングカーのようなスパルタンなスポーツカーに仕立てたかったようだが、フェルッチオはそのような仕様には全く興味がなく、高性能でかつ豪華なGTにしたかったという思惑通り、本来のミウラは見た目とは裏腹に極めて柔軟で乗りやすい仕様のはずなのである。
しかし、過去のカーメディアによるインプレッションやインターネット上の書き込みなどによると、アイドリングや吹け上がりが不安定だったり、アクセルワークやクラッチミートがシビアだったり、メカニカルノイズが耳鳴りをおこしそうな位に大きかったりと、レーシングカーならまだしも、ロードカーとしても非常に扱いにくい、快適性とは程遠い代物であることを思い知らされる。
探しているが いいものがないのが現実!