日本最高の山岳書と思っている大島亮吉の「山 研究と随想 」を読み返した。もちろん復刻版の古本でだが。
大正から昭和初頭にかけての内容で 大島が穂高で遭難死し その遺著として岩波書店から出版(昭和5年 1930年)された。
雪崩についての研究・調査の他に ほぼ百年前の山行(多くは日本アルプス)を扱っているが 北海道の山行も含まれているのに驚く。当時 東京から北海道までは2日掛かりの旅程だったことを考えると それだけ北海道の山々は魅力的だったのだろう。
7月の石狩岳。案内役として各地の状況を知り尽くしたアイヌの方々が活躍しているのは興味深い。
カウンナイ川を遡行してトムラウシ山に登った記録もある。
北海道の夏の山では音更川や然別湖など十勝になじみの地域が含まれる。
あとがきによると 大島が「登高行」「山とスキー」「山岳」に寄稿したものを 友人達が編集した。
この本の北海道に関する部分を読むと 現在の北海道の山旅の雰囲気とさほど変わらないことに気が付く。その意味で「北海道の山々は日本でも貴重な環境が残されている」と言えるだろう。
補足: 山行歴に「五色温泉でのスキー練習」が毎年のように出て来るので ニセコの五色温泉と思いその旨記載した。しかし 福島・磐梯山の五色温泉のようなので削除しました。