札幌の大通公園は人でにぎわう場所だが 一番奥(西の端)まで行く人は多くはない。この大通西13丁目には札幌市資料館という石造りの洋館がある。手前の西12丁目は花壇と噴水だ。
振り返ると大通公園が東に伸びている。中央はテレビ塔ではなく 11丁目にある姉妹都市ミュンヘンのツリーだ。
銅像・花壇・噴水がそろっている。ただし撮影は7月だった。ご容赦いただきたい。
近づくとこの洋館は石山軟石を使っているのがわかる。
この建物は大正15年(1926年)に札幌控訴院(裁判所)として建てられ 現在は札幌市資料館になっている。大通公園の西側付近は現在でも裁判所・弁護士事務所など司法関係が多い地域だ。
この建物はルネサンス様式らしいが 裏庭側から見ると何か中世のゴシック調のお城の面影もある。こんな雰囲気は日本では珍しい。
ここで大通公園は終わり さらに西側は円山公園や大倉山ジャンプ台の方向になる。
石川啄木は札幌の印象を「しめやかなる恋の多くありさうなる郷なり 詩人の住むべき都会なり」と書いているそうだが 1910年の「一握の砂」には以下の四首がある。
札幌に かの秋われの持てゆきし しかして今も持てるかなしみ
アカシヤのなみきにポプラに秋の風 吹くがかなしと日記に残れり
しんとして幅広き街の 秋の夜の 玉蜀黍の焼くるにほひよ(これはトウモロコシだろう)
わが宿の姉と妹のいさかひに 初夜過ぎゆきし札幌の雨
この大通公園の西端の一帯は 都会の真ん中なのに静かで「古き良き時代の札幌の雰囲気」が感じられる。 一度来訪されることをおススメする。