20101124(水)

「湊かなえ」のざらりとした読後感

読む×33

湊かなえさん外部リンク

2007年にデビューした作家さん。
プロの小説家としてまだ3年ほどしかたっていないんですね。

「告白」での鮮烈デビューから
「少女」
「贖罪」
「Nのために」
「夜行観覧車」
「往復書簡」


と次々に話題作を発表しています。

その中で「告白」「贖罪」「夜行観覧車」を読みました。

彼女の作品はとにかく、一気に読ませる力が凄い。

独特の作風で、最後までページをめくる手をとめることができない、ある種、麻薬のような作品を書く人だと思います。

一人の告白、延々と喋り続ける台詞だけで構成されている文章だったり、「手紙」というカタチでの物語だったり、人物描写や状況描写があるわけではない、一般的なミステリとは一線を画した手法はオミゴトです。

人間の持っている狂気だったり、悪の部分だったり、壊れていく様だったり、見たくないようなダークサイドを、これでもか?ってくらいえぐっていくストーリーは嫌悪感を覚えながらも、でも目をそらしてはいけないような、不思議な緊張感を煽られます。

なので、決して読み終わってもスッキリするものではなく、物語としてこれを「面白い」と言ってしまっていいのかどうか・・・

でも、また読みたくなる。

なんともいえない不思議な作家さんですね。

読んであったかい気持ちには決してなれないんだけど、でもきっと誰もが持ち合わせている負の感情、一歩間違えれば、他人事には思えないストーリー、いろんな意味で警告を発してくれているのかもしれません。

人間はどこか怖い物みたさというか、人の不幸を見て安心するみたいな、邪悪な部分も持ち合わせていますよね。
それを、この作家さんはカタチにしているのかも?

もちろん、その中で救いになっている部分や人物もいるのですが、悪の部分のイメージの方が強く残ってしまう・・・。


音楽も食も映画も小説も、本当に好みは人それぞれ。
なかなか人にすすめられても、それをすんなりいいと思えたり思えなかったりはあって当然ですよね。

湊かなえさんの小説も人にすすめていいのかどうかは迷います。あくまでも自己責任で。
でも、一度読み始めると、最後が気になって気になって仕方なくなる・・・それだけは間違いなく言えそうです。






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