読む(33)
2011年8月28日(日)
『マアジナル』まるで曼荼羅アート?田口ランディ渾身の長編大作
読む×33
田口ランディの最新著書「マアジナル」を読みました。
マアジナル 公式サイト
あなたの見ている現実は、
あなたにとっての現実に
すぎないのだ。
マアジナルというのは、「境界」という意味だそうです。
UFO、コックリさん、縄文、量子論、神話、オカルト、アイヌ、シャーマン、民俗学、理性、鞍馬山、カント、スウェーデンボルグ、幽体離脱、精神病院、死後世界、天文学、占星術、タロットetc
もうランディ節、炸裂と言った感じの内容てんこもり、曼荼羅アートを覗き見るような、不思議でちょっと怖くて、でも興味深い内容が満載の、めっちゃ濃い小説になっています。
もちろんフィクションなんですが、書かれている内容はこの時代にもとってもタイムリーで、その裏づけされている取材力、勉強力はお見事。
あくまでも、ストーリーの中で、会話やエピソード、手紙などでこんな感じの内容が、ちぐはぐではなく盛り込まれていくのです。
難しい内容を、ちんぷんかんぷんではなく、わかりやすくランディさんを通して翻訳してくれている感じ。
田口ランディさんという作家、好みはわかれると思います。
いわゆる、キワモノ、危ない系、胡散臭さが漂うのは否めません。(盗作疑惑等もありましたしね)
ただ、個人的には、もう10年以上前に読んだ
「コンセント」「アンテナ」「モザイク」の三部作はとっても衝撃的でして。
なんだなんだこの作者は?
と怖いもの見たさで夢中で読んで、なんとも言えない不思議な感覚、その世界観に圧倒されました。
以来、ことあるごとに、ランディさんの本を読んでは、なるほど・・・とちょっと精神世界へトリップしています。
この本もそうですが、ランディさんの著書でたびたびでてくるのが冒頭に書いた一節
あなたの見ている現実は、
あなたにとっての現実に
すぎないのだ。
つまり、自分の見ているものは、本当に現実なのか
逆に言うと、例えば、妄想している分裂の精神患者がいたとして、その人が見ているものは、あくまでその人の現実
それは間違っていたとしても、その人にとってはゆるがない現実の世界。
そこを理解してあげる難しさというか、否定しない感覚というか・・・
元来、人間(特に日本人は、かな?)目に見えないものも否定しない、どこか懐疑的ながらも怖いもの見たさ、踏み入れてはいけない場所があることを知りながら、でも見たい、知りたい。
その反面、わからないものは怖いから否定しちゃう、認めない。
そんな部分誰しも持っていますよね。
今回の「マアジナル」はかつて一緒にUFO呼んだ6人の少年少女
その人生が再び交錯するとき、世界は揺らぎ始め、現実が静かに壊れていく・・・。
というストーリーを軸にして、様々なことを考えさせてくれます。
ランディさん渾身の1作。
長編ですが、ぐいぐい読ませます。
一読の価値はあると思いますよ。
マアジナル 公式サイト
1987年10月。江上紗子はこの路地で消えた。あの日少女に何があったのか。拉致か、神隠しか、それともアブダクションか。UFO伝説の残る北陸の小さな町を舞台に過去と未来、現実と非現実が交錯する最高傑作長編!
あなたの見ている現実は、
あなたにとっての現実に
すぎないのだ。
マアジナルというのは、「境界」という意味だそうです。
UFO、コックリさん、縄文、量子論、神話、オカルト、アイヌ、シャーマン、民俗学、理性、鞍馬山、カント、スウェーデンボルグ、幽体離脱、精神病院、死後世界、天文学、占星術、タロットetc
もうランディ節、炸裂と言った感じの内容てんこもり、曼荼羅アートを覗き見るような、不思議でちょっと怖くて、でも興味深い内容が満載の、めっちゃ濃い小説になっています。
もちろんフィクションなんですが、書かれている内容はこの時代にもとってもタイムリーで、その裏づけされている取材力、勉強力はお見事。
あくまでも、ストーリーの中で、会話やエピソード、手紙などでこんな感じの内容が、ちぐはぐではなく盛り込まれていくのです。
難しい内容を、ちんぷんかんぷんではなく、わかりやすくランディさんを通して翻訳してくれている感じ。
田口ランディさんという作家、好みはわかれると思います。
いわゆる、キワモノ、危ない系、胡散臭さが漂うのは否めません。(盗作疑惑等もありましたしね)
ただ、個人的には、もう10年以上前に読んだ
「コンセント」「アンテナ」「モザイク」の三部作はとっても衝撃的でして。
なんだなんだこの作者は?
と怖いもの見たさで夢中で読んで、なんとも言えない不思議な感覚、その世界観に圧倒されました。
以来、ことあるごとに、ランディさんの本を読んでは、なるほど・・・とちょっと精神世界へトリップしています。
この本もそうですが、ランディさんの著書でたびたびでてくるのが冒頭に書いた一節
あなたの見ている現実は、
あなたにとっての現実に
すぎないのだ。
つまり、自分の見ているものは、本当に現実なのか
逆に言うと、例えば、妄想している分裂の精神患者がいたとして、その人が見ているものは、あくまでその人の現実
それは間違っていたとしても、その人にとってはゆるがない現実の世界。
そこを理解してあげる難しさというか、否定しない感覚というか・・・
元来、人間(特に日本人は、かな?)目に見えないものも否定しない、どこか懐疑的ながらも怖いもの見たさ、踏み入れてはいけない場所があることを知りながら、でも見たい、知りたい。
その反面、わからないものは怖いから否定しちゃう、認めない。
そんな部分誰しも持っていますよね。
今回の「マアジナル」はかつて一緒にUFO呼んだ6人の少年少女
その人生が再び交錯するとき、世界は揺らぎ始め、現実が静かに壊れていく・・・。
というストーリーを軸にして、様々なことを考えさせてくれます。
ランディさん渾身の1作。
長編ですが、ぐいぐい読ませます。
一読の価値はあると思いますよ。
2010年11月24日(水)
「湊かなえ」のざらりとした読後感
読む×33
湊かなえさん
2007年にデビューした作家さん。
プロの小説家としてまだ3年ほどしかたっていないんですね。
「告白」での鮮烈デビューから
「少女」
「贖罪」
「Nのために」
「夜行観覧車」
「往復書簡」
と次々に話題作を発表しています。
その中で「告白」「贖罪」「夜行観覧車」を読みました。
彼女の作品はとにかく、一気に読ませる力が凄い。
独特の作風で、最後までページをめくる手をとめることができない、ある種、麻薬のような作品を書く人だと思います。
一人の告白、延々と喋り続ける台詞だけで構成されている文章だったり、「手紙」というカタチでの物語だったり、人物描写や状況描写があるわけではない、一般的なミステリとは一線を画した手法はオミゴトです。
人間の持っている狂気だったり、悪の部分だったり、壊れていく様だったり、見たくないようなダークサイドを、これでもか?ってくらいえぐっていくストーリーは嫌悪感を覚えながらも、でも目をそらしてはいけないような、不思議な緊張感を煽られます。
なので、決して読み終わってもスッキリするものではなく、物語としてこれを「面白い」と言ってしまっていいのかどうか・・・
でも、また読みたくなる。
なんともいえない不思議な作家さんですね。
読んであったかい気持ちには決してなれないんだけど、でもきっと誰もが持ち合わせている負の感情、一歩間違えれば、他人事には思えないストーリー、いろんな意味で警告を発してくれているのかもしれません。
人間はどこか怖い物みたさというか、人の不幸を見て安心するみたいな、邪悪な部分も持ち合わせていますよね。
それを、この作家さんはカタチにしているのかも?
もちろん、その中で救いになっている部分や人物もいるのですが、悪の部分のイメージの方が強く残ってしまう・・・。
音楽も食も映画も小説も、本当に好みは人それぞれ。
なかなか人にすすめられても、それをすんなりいいと思えたり思えなかったりはあって当然ですよね。
湊かなえさんの小説も人にすすめていいのかどうかは迷います。あくまでも自己責任で。
でも、一度読み始めると、最後が気になって気になって仕方なくなる・・・それだけは間違いなく言えそうです。
2007年にデビューした作家さん。
プロの小説家としてまだ3年ほどしかたっていないんですね。
「告白」での鮮烈デビューから
「少女」
「贖罪」
「Nのために」
「夜行観覧車」
「往復書簡」
と次々に話題作を発表しています。
その中で「告白」「贖罪」「夜行観覧車」を読みました。
彼女の作品はとにかく、一気に読ませる力が凄い。
独特の作風で、最後までページをめくる手をとめることができない、ある種、麻薬のような作品を書く人だと思います。
一人の告白、延々と喋り続ける台詞だけで構成されている文章だったり、「手紙」というカタチでの物語だったり、人物描写や状況描写があるわけではない、一般的なミステリとは一線を画した手法はオミゴトです。
人間の持っている狂気だったり、悪の部分だったり、壊れていく様だったり、見たくないようなダークサイドを、これでもか?ってくらいえぐっていくストーリーは嫌悪感を覚えながらも、でも目をそらしてはいけないような、不思議な緊張感を煽られます。
なので、決して読み終わってもスッキリするものではなく、物語としてこれを「面白い」と言ってしまっていいのかどうか・・・
でも、また読みたくなる。
なんともいえない不思議な作家さんですね。
読んであったかい気持ちには決してなれないんだけど、でもきっと誰もが持ち合わせている負の感情、一歩間違えれば、他人事には思えないストーリー、いろんな意味で警告を発してくれているのかもしれません。
人間はどこか怖い物みたさというか、人の不幸を見て安心するみたいな、邪悪な部分も持ち合わせていますよね。
それを、この作家さんはカタチにしているのかも?
もちろん、その中で救いになっている部分や人物もいるのですが、悪の部分のイメージの方が強く残ってしまう・・・。
音楽も食も映画も小説も、本当に好みは人それぞれ。
なかなか人にすすめられても、それをすんなりいいと思えたり思えなかったりはあって当然ですよね。
湊かなえさんの小説も人にすすめていいのかどうかは迷います。あくまでも自己責任で。
でも、一度読み始めると、最後が気になって気になって仕方なくなる・・・それだけは間違いなく言えそうです。
2010年10月10日(日)
「マリアビートル」~途中下車不可のノンストップエンタメ小説
読む×33
大好きな伊坂幸太郎さんの最新作
マリアビートル
読み終わりました。
「グラスホッパー」の続編の位置づけの作品です。
実は私が最初に伊坂作品にはまったきっかけがこの「グラスホッパー」でして。
この作品を読んだとき、なんて新しい、面白い作品を書く作家さんなんだ・・・と感激して、そこから溯って、とりあえず伊坂作品は全作品読破してます。
最近の「あるキング」「SOSの猿」「オー!ファーザー」「バイバイブラックバード」ももちろん読んでます。
いつも面白いとは思ってます。でもなんかちょっと違うんだよなぁ・・・って感覚もあったりして。
で、今回の作品、待ってました!
というか伊坂ワールド炸裂、王道のエンタメ小説にもう大感激、大満足でした。
私が思う伊坂作品の魅力。
最初に伏線を撒き餌のようにばらまいておいて、いろんなエピソードが次々釣られていく。最後にはしっかりはまっていく爽快感はこの作品でも充分楽しめます。
とにかく一人ひとりのキャラが個性的ですごく面白いんです。今回は非の打ち所だらけ、「悪」の根源のような中学生の「王子」のキャラはインパクトありましたね。
それぞれ個性的で多分イケメン?な殺し屋、殺し屋なのに王子の前では人間的ないいやつにさえ見えてくる、その対比が見事でした。
今回は「機関車トーマス」
この話を知ってる人も知らない人でも、トーマスって深いのね?って読み直したくなるはずです。
今回は最初から「グラスホッパー」の続編なので、当たり前といえばそうなのですが、グラスホッパーで出てきた魅力的なキャラが意外な場面でおいしいところを持っていく・・・その登場の仕方にやられました。
作品中何度も出てくる中学生の王子が大人に尋ねる質問
「どうして人を殺しちゃいけないの?」
とっても抽象的で、当たり前の質問かもしれませんが、心の底から納得できる答えをしっかり応えられる大人っていったいどれくらいいるんでしょうね?
この作品は、ひとつの回答として参考になるかもしれません。
といって決して難しい話ではなく、深い哲学的な内容も入りながら、あくまで「娯楽小説」になってます。
小説なんですが、映像が目に浮かんでくる2時間半の新幹線の旅。
きっと近いうちに映画化になるんじゃないかなー?と思わせる作品です。
伊坂先生、本当にいつも面白い作品を感謝です。
これから読んでみようかな?と思う方、できればグラスホッパーもあわせて読むと二倍楽しめると思います。もちろん、アリアビートルだけでも充分楽しめますけどね。
この秋、イチオシのおすすめ小説です。
マリアビートル
読み終わりました。
「グラスホッパー」の続編の位置づけの作品です。
実は私が最初に伊坂作品にはまったきっかけがこの「グラスホッパー」でして。
この作品を読んだとき、なんて新しい、面白い作品を書く作家さんなんだ・・・と感激して、そこから溯って、とりあえず伊坂作品は全作品読破してます。
最近の「あるキング」「SOSの猿」「オー!ファーザー」「バイバイブラックバード」ももちろん読んでます。
いつも面白いとは思ってます。でもなんかちょっと違うんだよなぁ・・・って感覚もあったりして。
で、今回の作品、待ってました!
というか伊坂ワールド炸裂、王道のエンタメ小説にもう大感激、大満足でした。
STORY
酒浸りの元殺し屋「木村」は、幼い息子に重傷を負わせた悪魔のような中学生「王子」に復讐するため、東京発盛岡行きの東北新幹線〈はやて〉に乗り込む。取り返した人質と身代金を盛岡まで護送する二人組の殺し屋「蜜柑」と「檸檬」は、車中で人質を何者かに殺され、また身代金の入ったトランクも紛失してしまう。そして、その身代金強奪を指示された、ことごとくツキのない殺し屋「七尾」は、奪った身代金を手に上野駅で新幹線を降りるはずだったのだが……。
私が思う伊坂作品の魅力。
数々の伏線
最初に伏線を撒き餌のようにばらまいておいて、いろんなエピソードが次々釣られていく。最後にはしっかりはまっていく爽快感はこの作品でも充分楽しめます。
キャラクターの魅力
とにかく一人ひとりのキャラが個性的ですごく面白いんです。今回は非の打ち所だらけ、「悪」の根源のような中学生の「王子」のキャラはインパクトありましたね。
それぞれ個性的で多分イケメン?な殺し屋、殺し屋なのに王子の前では人間的ないいやつにさえ見えてくる、その対比が見事でした。
絶妙な引用
今回は「機関車トーマス」
この話を知ってる人も知らない人でも、トーマスって深いのね?って読み直したくなるはずです。
作品間リンク
今回は最初から「グラスホッパー」の続編なので、当たり前といえばそうなのですが、グラスホッパーで出てきた魅力的なキャラが意外な場面でおいしいところを持っていく・・・その登場の仕方にやられました。
作品中何度も出てくる中学生の王子が大人に尋ねる質問
「どうして人を殺しちゃいけないの?」
とっても抽象的で、当たり前の質問かもしれませんが、心の底から納得できる答えをしっかり応えられる大人っていったいどれくらいいるんでしょうね?
この作品は、ひとつの回答として参考になるかもしれません。
といって決して難しい話ではなく、深い哲学的な内容も入りながら、あくまで「娯楽小説」になってます。
小説なんですが、映像が目に浮かんでくる2時間半の新幹線の旅。
きっと近いうちに映画化になるんじゃないかなー?と思わせる作品です。
伊坂先生、本当にいつも面白い作品を感謝です。
これから読んでみようかな?と思う方、できればグラスホッパーもあわせて読むと二倍楽しめると思います。もちろん、アリアビートルだけでも充分楽しめますけどね。
この秋、イチオシのおすすめ小説です。
2010年9月13日(月)
「砂漠」~西嶋語録
読む×33
伊坂幸太郎さんの本が大好きなのは、ブログでも散々書いているのですが、最近一度単行本で読んだ本を、文庫本で読み直しています。
その中でも特に好きな作品のひとつ
「砂漠」
大学で知り合った5人の男女(麻雀がキーワードになっていて、東西南北それぞれの方位が入った名前の学生プラス一名)のお話です。
卒業するときの学長のことば
「学生時代を思い出して、懐かしがるのは構わないが、あの時は良かったな、オアシスだったな、と逃げるようなことは絶対考えるな。そういう人生を送るなよ。
人間にとって最大の贅沢とは、人間関係における贅沢のことである。」
これ、かっこいいですよね。
その5人の中でもひときわ個性的で愛すべきキャラが
西嶋君
どんなキャラかというと
いわゆる、今で言うキモヲタの風貌ですよ。
でも、この西嶋がなまらカッコイイ。
ちょっとその西嶋語録を抜粋してみますね。
どうですか?思わず、うんうん、うなずいちゃう言葉がありませんでしたか?
きっとね、まともにこんなとこと言われ続けたら、暑苦しくてウザイかもしれません。
でもね、西嶋ってヤツは「涯(は)てがなくって」「恰好悪いけど、堂々としていて」「見苦しいけど見苦しくない」
「西嶋を見てると何でもできるような気がするんだよなー」
ってやつなんです。
かくいう私も西嶋君の大ファンでして。こんなやつが友達にいたら楽しいだろうなぁ・・・と思ってしまうわけですよ。
もちろん、西嶋君の言葉以外にも、ストーリーとして、単純に楽しめて、本当に面白くって深い小説になってます。
できれば、ぜひ若い方にこそ読んで欲しい作品。
伊坂作品の中でもおすすめの一冊です。
このブログを書くことで、世界をちょっとだけ変えられるかもしれない・・・
なんてことは、まるでない。
その中でも特に好きな作品のひとつ
「砂漠」
大学で知り合った5人の男女(麻雀がキーワードになっていて、東西南北それぞれの方位が入った名前の学生プラス一名)のお話です。
卒業するときの学長のことば
「学生時代を思い出して、懐かしがるのは構わないが、あの時は良かったな、オアシスだったな、と逃げるようなことは絶対考えるな。そういう人生を送るなよ。
人間にとって最大の贅沢とは、人間関係における贅沢のことである。」
これ、かっこいいですよね。
その5人の中でもひときわ個性的で愛すべきキャラが
西嶋君
どんなキャラかというと
顔の輪郭は丸々とし、腹の辺りに少し贅肉をたたえている。黒い眼鏡をかけ、髪は短い。
眉は力強いものの、たとえば漫画に出てくる熊であるとか、豚であるとか、そういう趣がある。
漫画に出てくる動物と違う点と言えば、彼が人間であるとかそういう細かい差異ではなくて、実に簡単で大きな点だ。
彼は、可愛らしくない。
いわゆる、今で言うキモヲタの風貌ですよ。
でも、この西嶋がなまらカッコイイ。
ちょっとその西嶋語録を抜粋してみますね。
西嶋語録 抜粋
あのね、俺たちがその気になればね、砂漠に雪を降らせることだって余裕でできるんですよ。
人間とは、自分と関係ない不幸な出来事にくよくよすることだ。
自分の肌で触れた部分が、世界なんですよ。
今、目の前で泣いてる人を救えない人間がね、明日、世界を救えるわけがないんですよ。
偽善は嫌だ、とか言ったところでね、そいう奴に限って、自分のためには平気で嘘をつくんですよ。
でもね、もっと驚かないといけないのはね、一人の人間が、本気で伝えたいことも伝わらない、っていうこの事実ですよ。
とにかくね、この国には、訳知り顔の賢者が増えちゃってね、それが馬鹿な正直者を苦しめてるわけですよ。
この国の大半の人間達はね、馬鹿をみることを恐れて何もしないじゃないですか。馬鹿を見る事を死ぬほど恐れてる、馬鹿ばっかりですよ。
ピンチは救うためにあるんでしょうに。
過去のこととか先のことはどうでもよくてね、今できることをやるんですよ。
俺はね、準備してるんですよ。いざという時に周章狼狽しないために、すでに怒っておくんですよ。憤っておくんですよ。あとで文句を言っても意味がないですからね。
笑ってる東堂の隣にいるのは、俺じゃないと嫌だって思ったんですよ。
どうですか?思わず、うんうん、うなずいちゃう言葉がありませんでしたか?
きっとね、まともにこんなとこと言われ続けたら、暑苦しくてウザイかもしれません。
でもね、西嶋ってヤツは「涯(は)てがなくって」「恰好悪いけど、堂々としていて」「見苦しいけど見苦しくない」
「西嶋を見てると何でもできるような気がするんだよなー」
ってやつなんです。
かくいう私も西嶋君の大ファンでして。こんなやつが友達にいたら楽しいだろうなぁ・・・と思ってしまうわけですよ。
もちろん、西嶋君の言葉以外にも、ストーリーとして、単純に楽しめて、本当に面白くって深い小説になってます。
できれば、ぜひ若い方にこそ読んで欲しい作品。
伊坂作品の中でもおすすめの一冊です。
生きていくのは、計算やチェックポイントの確認じゃなくて、悶えて「わかんねぇよ、どうなってんだよ」と髪の毛をくしゃくしゃやりながら、進んでいくことなのかもしれない。
このブログを書くことで、世界をちょっとだけ変えられるかもしれない・・・
なんてことは、まるでない。
The Ramones - "Blitzkrieg Bop" (Live) Studio Hamburg
2010年7月26日(月)
真夏の夜の「道尾秀介」
読む×33
夏の夜、ちょっぴり怖い小説を読んでみたくなりませんか?
最近ちょっと気になる作家さん
道尾秀介 著の「シャドウ」読んでみました。
ミステリー好きな方ならもうご存知の作家さんだと思いますが、先日まで放送されていた木村君のドラマ
「月の恋人」の作者さんといえばわかる方も多いかも?
関係ありませんがビジュアルも結構好みでして・・・(笑)
ここだけのあとがき「シャドウ」
若手生粋のストーリーテーラーといっても過言ではないでしょうね。
張り巡らせれた伏線、罠、巧緻な作風を持つ彼の作品はぐいぐい読ませる力があります。
決してハッピーエンドではない悲しい出来事も起きたりするんですが、その中で自分の感情とどう折り合いをつけ、「赦し」や「救い」を求めていくか。
不完全な人間ではないからこそ、愛おしい存在である、そんなことを感じさせる作品です。
道尾さんを読もうと思ったのは
コラボ企画の単行本「Story Seller」に入っていた「光の箱」を読んでから。
これがとっても面白くって。
そのあと「花と流れ星」という短編集も読んでみました。
こちらもさくさく読めちゃうちょっぴり怖くて不思議な物語。
お話をつむぐのがとっても上手な作家さんだなぁと思ってます。
「向日葵の咲かない夏」「光媒の花」いわゆる「十二支シリーズ」
などなど、まだ彼の代表作は未読なので、この夏は少しずつ読んでいこうかな?と思ってます。
夏の夜のミステリーをお探しの本好きの方には、オススメの作家さんだと思いますよ。
道尾FANの皆様、この小説はぜひ読んでみて!というおすすめがあればぜひ教えてくださいね。
最近ちょっと気になる作家さん
道尾秀介 著の「シャドウ」読んでみました。
ミステリー好きな方ならもうご存知の作家さんだと思いますが、先日まで放送されていた木村君のドラマ
「月の恋人」の作者さんといえばわかる方も多いかも?
関係ありませんがビジュアルも結構好みでして・・・(笑)
「シャドウ」母が亡くなり、父の洋一郎と2人だけの暮らしが始まった数日後、幼馴染の亜紀の母親が自殺した。
そして亜紀が交通事故に遭い、洋一郎までもが・・・。
父とのささやかな幸せを願う少年が、苦悩の果てに辿り着いた驚愕の事実とは・・・?
ここだけのあとがき「シャドウ」
若手生粋のストーリーテーラーといっても過言ではないでしょうね。
張り巡らせれた伏線、罠、巧緻な作風を持つ彼の作品はぐいぐい読ませる力があります。
決してハッピーエンドではない悲しい出来事も起きたりするんですが、その中で自分の感情とどう折り合いをつけ、「赦し」や「救い」を求めていくか。
不完全な人間ではないからこそ、愛おしい存在である、そんなことを感じさせる作品です。
道尾さんを読もうと思ったのは
コラボ企画の単行本「Story Seller」に入っていた「光の箱」を読んでから。
これがとっても面白くって。
そのあと「花と流れ星」という短編集も読んでみました。
こちらもさくさく読めちゃうちょっぴり怖くて不思議な物語。
お話をつむぐのがとっても上手な作家さんだなぁと思ってます。
「向日葵の咲かない夏」「光媒の花」いわゆる「十二支シリーズ」
などなど、まだ彼の代表作は未読なので、この夏は少しずつ読んでいこうかな?と思ってます。
夏の夜のミステリーをお探しの本好きの方には、オススメの作家さんだと思いますよ。
道尾FANの皆様、この小説はぜひ読んでみて!というおすすめがあればぜひ教えてくださいね。
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