読む(33)


2009512(火)

おばさん未満

読む×33

老化という波にラクーに流されてしまいたい気持ちもあるけれど、潮目に逆らって必死に手足を動かしている自分もいる・・・。
自らも40代でもある著者が「老い」への心構えを明るく提案するエッセイ
おばさん未満

「おばさん未満」酒井順子著

を読みました。

酒井順子さんのエッセイ、好きなんですよ。

名前を聞いてピンと来ない方でも「負け犬の遠吠え」という言葉を生んだのがこの方だといえば解って貰えるのでは?

同世代のコラムニストとして大活躍されていますよねー。
彼女の歯に衣せぬ文章が大好き。

まずこの表紙を見て、「お、懐かしい!」「水森亜土ちゃんじゃない?」と思った時点で、はい、おばさん合格ですww

今は老いてはならない時代です。どんな年齢でも、若く美しく保つ努力をしない人は怠け者扱いされてしまう。
それは外見だけの問題ではなく、「心はいつも青春」みたいな感覚を持っていない人も人生の落伍者と見なされてしまう。

そうなんですよねー。
決して「若作り」をしたいわけではない。
年相応に見られたらそれでいいんです。

若者のまねをして「痛い」と思われるのは嫌なんです。
かといって全てを捨てました・・・的な女全般を卒業するにはまだ早い・・・
どっかに若く見られると喜んでる自分もいるわけで。

このエッセイでは、「髪」「腹」「たるみ」といった外見的な部分や「声」「言葉」「親」など環境や心理的な部分を、項目ごとにわかれて体験談を踏まえながら笑えるエッセイになっています。

例えば「言葉」
「・・・だよね」「・・・だよ」「・・・だね」
がいつのまにか
「・・・わね」「・・・・よね」「・・・なのよ」

に変化するとか。(うんうん確かにそうかも?)

この年になると劇的に美しくなることはありえないわけで
久しぶりに逢った友人に逢ったときに言う褒め言葉は

「あらー○○ちゃん、全然変わってないわね~」
これは大人になったときの挨拶のマナーである。
(激しく同意ww)

韓流やジャニースにのめり込む心理とか「懐かしむ」という行為は小さな旅であるとかね。

話し方、服装、メイク、髪型etcあらゆる部分で人生の過渡期にきてるのねーというのを再認識させられました。

でもそれを決してネガティブにとらえるのではなく、「なーんだ私だけじゃないんだ!」「みんな大変なのね」、ということがわかると泳ぎ続ける力になるんじゃないかな?っていう作者の思いが詰まっています。

ある意味アラフォー女性のバイブルとも言える本、まさにアラフォー世代の女性にはもちろん、これからアラフォーに突入していく皆様、アラフォー女性の扱い方に苦労している?男性陣wwにもオススメの1冊になっていますよー。

面白かったです。



200923(火)

アヒルと鴨のコインロッカー

読む×33

アヒルと鴨のコインロッカー

伊坂幸太郎著
「アヒルと鴨のコインロッカー」

最初に原作を読んでとっても面白かったので、まだ見ていなかったDVDも借りてきて、作品を2度、楽しんでみましたよ。

原作の方は、「現在」と「2年前」のストーリーが交互に紡がれていきます。
きっとどこかで繋がるんだろうな?とは思いつつ、いろんな疑問をかかえながら、先に進んでいきました。

動物虐待、外国人への差別、HIV、様々な問題を織り交ぜながら、とっても考えさせられる、切ないストーリーになっています。


そして「映画」
これがまた素晴らしい!

ちょっとしたトリック?のようなものも含まれているので、正直映像化は難しいのでは?と言われていたそうです。
私もこのお話をどうやって映像化するのか、それが見たくて借りてきました。

でも、原作者が絶賛したという評判通り、単純に映画作品としても素晴らしい仕上がりになっていました。

アヒルと鴨のコインロッカー公式サイト外部リンク

予告編

瑛太君、いいですねー。
以前から彼の中性的な爽やかさが大好きだったんですが、今回の役はちょっとワイルド、でもそこには隠された切なさが・・・。これもはまり役だったと思います。

カギを握る松田龍平、大塚寧々も要所を締めてキラリと光ってます。

最初のコミカルなテンポとは裏腹に、物語はどんどん、息が詰まるような切ない展開になっていきます。途中まで真相がわからないまま、でも見終わったときにはすべての伏線に気付き納得できてしまう。
そして、悔しくて悲しくて泣けちゃいましたね。
でも、悲しいだけでは終わらない、どこか爽やかな風に吹かれたような力強さも感じる映画です。

最近、この手の手法のお話、本当に増えていますよね。
いっけん、何の脈絡もない登場人物が、最後には実は繋がっているという・・・

「キサラギ」「アフタースクール」「陰日向に咲く」
「容疑者Xの献身」
etc
この辺りの作品が「面白い」と思えた方にはオススメです。

こちらも騙されてなんぼのところがありますからね。
こういう展開の作品はしばらく続くのかもしれません。

作品を通して流れるボブ・デイランの「風に吹かれて」
この音楽がまた作品を凄く盛り上げてくれています。
まさに「神の声」
ディランFANも必見(必読)の作品になっていますよ。



2008911(木)

こうふくあかの/こうふくみどりの

読む×33

読書の秋ですねー。
みなさん最近はどんな「本」読んでいますか?

私は週に2,3冊ペースでコンスタントにいろいろ読んでます。その中でなかなか面白かった2冊を紹介しますね。
こうふくあかの/こうふくみどりの

西加奈子 著

「こうふくあかの」「こうふくみどりの」外部リンク

この表紙、インパクトありますよねー。
シンプルだけど力強い、手にとってみたくなった2冊

表紙だけみると村上春樹著「ノルウェイの森」想い出しませんか?夢中になって読んだのは何年前?ww

「こうふく あかの」
女は穴である。笑いながら、泣きながら、求めながら、受入ながら、あきらめながら、焦がれながら、生きているー。
39歳、男は妻から妊娠を告げられた。それがすべての始まりだった・・・。

「こうふくの みどりの」
おばあちゃん、夫(おじいちゃん)失踪中。お母さん、妻子ある男性を愛し、緑を出産。辰巳緑、14歳、女未満。初恋まであともう少し・・・。
緑が語る物語と、棟田さんという謎の中年女性が語る物語。


それぞれ、まったく別のお話として完結していますが、どこかで繋がっている2冊です。

それぞれの物語に、2人の語り手が登場して、それぞれ二つのお話が同時に進行していきます。
最初は、なんの繋がりもないようなお話しが全部読み終わるとどこかここかで繋がっていて・・・

最近、この手法の小説、増えてきているかもしれませんね。
ちょっと前だと劇団ひとり著「陰日向に咲く」
先日読んだ「JOY」というロックスターを取り巻く女性の話もそうでした。

「こうふくあかの」
貞淑だと思っていた妻がある日突然、自分の子ではない子供を妊娠するお話。男性が読んだらちょっと怖いお話しかもしれませんね。

それと30年後のプロレスラーの話しが同時進行していきます。

作者は「赤」に産道、花道、血塗られた道etc、いろんな「道」のイメージを象徴させています。

不思議な浮世離れしているような感覚と実に現実的なリアルな描写が交錯してどんどんひきこまれて読めました。

「こうふくみどりの」
こちらは14歳の「緑」ちゃんを主人公にしたお話。
全編大阪弁で書かれた文章は、とってもテンポがあって、ユーモアに溢れていて、違和感なくさくさく読めました。

途中に何気なく入ってくる主人公が目にする言葉
例えばATMの「そのまま前にお進みください」
学校に貼られた「始まりはいつもあいさつから」
なんて言葉達が実に効果的に使われています。

「緑」ちゃんの家は、だらしなくぬるい家だけど、どこか温かくてみんなに愛されていて・・・
もうひとつの「棟田」さんが語るお話はとっても切ないんですが、最後には心が温かくなるような。

生まれた場所も時代もばらばらだけど、人間はたとえば見慣れた場所だったり、たとえば夢中になって見ていたTVだったり、何かを通して繋がっている。

この「本」も、そんな無数の繋がりの中で、泣いたり笑ったりして生きている・・・そんなあらゆる「繋がり」がそれぞれの「こうふく」な日常だったらいいなぁ・・・という願いがこめられた作品だと思います。


どちらもとっても斬新で、一気に読めました。
何か不思議な余韻が残る、面白い小説。

西加奈子さんという作家の非凡な才能に感動。
彼女の書いた他の小説ももっと読んでみたいと思いました。

みなさんもおすすめの1冊(1冊じゃなくても)がありましたら、ぜひ教えてくださいね。









2008729(火)

ハリー・ポッターと死の秘宝

読む×33

ハリー・ポッターと死の秘宝

遂にハリー・ポッターシリーズの最終巻
ハリー・ポッターと死の秘宝、出てしまいましたね。

先ほど、読み終わりました。

前作が出てから2年ほど待たされたので、正直内容忘れていたところもあったので、今回は第6巻「謎のプリンス」から一気に最終巻までを通して読みました。

いつもそうなんですが、ハリポタ読み始めちゃうと他の事が手に付かなくなっちゃうんですよね。
(ハリポタに限らず面白い本は全部そうなんですが)

今回もどっぷりその世界に浸って、読後もしばしボーッとしてました。

もちろん、これから読まれる方、映画化されたときに見ようと思ってる方、たくさんいらっしゃると思うので内容は話しません。

でも最終的にはおおかたの方にとって、とても満足のいくカタチで終わったのではないかと思っています。

最終巻を読み終えると、疑問だったいくもの謎がしっかり解き明かされていることに感動しました。
作者はいろいろな伏線やヒントを随所に散りばめながら、まるでパズルのピースをひとつづつ埋めていくように、読者に答えを与えていきます。
それは最初から予想できる範囲のものから、どんでん返しも含めて。

全7巻という壮大なストーリー、老若男女の読者をいつのまにか虜にしてしまうその圧倒的な筆力は本当にお見事ですね。

全巻通して伝わってくるのは、一言で言ってしまえば「愛」の尊さ。
「友情」「勇気」「英知」「奢りのない無垢な心」
そういったものが唯一どんな邪悪な力にも打ち勝つことができるのだ・・・
という真理を繰り返し伝えてくれていると思います。

どんなに悲惨な状況、憎悪しかできない相手にでさえ、一筋の光を見いだしてあげることによって何かが変わるかも・・・

ダンブルドアは偉大な魔法使いであることに間違いはないのですが、そのダンブルドアでさえ人間的(魔法使い的になるのかな?ww)な部分を持ち合わせていることに焦点をあてた部分は、この物語に凄く深みを与えていると思います。
そして影の主役?であるスネイプの物語も!


もちろん、物語だとはわかっていても「ハリー」がもの凄く魅力的で素晴らしいヒーローであると改めて称賛したくなりました。

ハリー・ポッター全7巻、毎回泣いたり笑ったり、本当に感情移入できて楽しかったです。
終わってしまったのはなんとも寂しい・・・。
でもきっと映画化もされるでしょうし、また機会があれば何度でも読み返したくなる作品です。
児童書の枠を超えた、素晴らしい作品、きっとこの先ずっと読み継がれていく傑作ですよね。
この時代に物語を新刊としてリアルに体感できたこと、改めて感謝したいです。



2008617(火)

マー君、神の子、不思議な子

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2006年、早稲田実業と駒大苫小牧、甲子園決勝戦での死闘の名勝負
あれからもう2年が経とうとしているんですね。

当時からもちろん北海道民ってことはありますが、それだけではなく
ハンカチ王子祐ちゃんより、マー君田中投手の方が好きでした。

再試合で最後のバッター、思い切りのいいスイングで三振、ゲームセット
でも投げ抜いた満足感、達成感のあの笑顔は本当に素敵でしたよね。

彼の夢はプロ野球選手
そして、今、その夢を手にして、楽天の若きエースとして2年目の今季も活躍しています。
マー君、神の子、不思議な子

田中将大 ヒーローのすべて外部リンク 黒田伸 著

を読みました。
話題の本なので、読んだ方も多いかもしれませんが。

この本には、案外知られていない?彼の素顔が垣間見られます。
本は昨年のシーズンオフにご両親を温泉に連れて行ってあげたという、プロローグから始まります。(この部分だけでもなぜかぐっときてしまいます)

幼少時代からのその非凡な才能から、中学、宝塚ボーイス時代のエピソード、なぜ北海道の高校にやってきたのか、順を追って少しづつ、膨大な取材を等して丁寧に明かされていきます。

もちろん、多分多くの人の記憶に残っている、あの甲子園での舞台裏、プロ野球へ入団するまで、そして入団してからの活躍・・・

本の帯にあるように、本当に「読み出したらとまらない!」
結構分厚い本なのですが、一気に読ませてしまう、(読みたくなる)力のある本でしたね。

なぜ、兵庫県の選手がわざわざ北海道に、当時はまだ甲子園で無名だった駒大苫小牧を選んだのか?不思議だと思いませんでしたか?
この本を読むとなるほど、と納得しました。

いろんな場面で、彼には不思議と、いろんな因縁だったり、数字の不思議だったり、まさに神懸かり的な要素がつきまとうんですね。

野村監督が「マー君、神の子、不思議な子」という名言を吐いたとおり、本当に「野球の神様」が気に入った子なのかもしれません。

もちろん、それは運だけではなく、彼の実力や影の努力、負けず嫌いな性格があってのことなのでしょうが。

でも、素顔はいたって普通の19歳、とっても素直で好感の持てる青年のようですね。
あの屈託のない笑顔は、私も大好き!
自分の息子と重ねるのか、マー君FANには「オバチャン」が多いというのもおおいに納得ですww

昨年、念願の新人賞をとって、ますます期待も高まる中、今季も厳しい戦いが続いているようですが、ぜひぜひプレッシャーをはねのけて、このままがんがん頑張って欲しいなぁ!といちFANとして応援してます。

ゆくゆくは日本のプロ野球界をしょって立つ選手ですよね。
これからの活躍を心から期待しています!


野球FAN、マー君FANならずとも、一読の価値のある本になっていますよ。おすすめです。



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