2019年11月14日(木)
2018年インド旅行記・3
旅行記×41
2月1日
コーチン滞在の3日目、散歩途中に旧友と偶然の再会があった。
2013年、2015年、2018年、と彼に会うのはこれで3回目である。
「マルコス!職場が変わったんだね」
私はホテルの玄関前で掃き掃除をする男に声をかけた。
笑顔のマルコス。
「おーーーっ、君も元気そうだね。中に入らないか?話をしよう」
「ちょっと待って。君にお土産があるんだ。一回宿に戻るから、ちょっと待ってて」
宿に戻って、もう一度マルコスのいるホテルへ。
「こっち、こっち」
彼は私を厨房に招き入れ、カレーやチャトニ(つけだれ)の味見をさせてくれた。
厨房には料理人がいなくて、雑用の女性スタッフが数人いた。
「これ使ってよ、マルコス」
お土産として日本製のボールペンを渡した。
「おおーーーありがとう」
彼はいきなり包装箱を無造作に破り、ボールペンを胸ポケットに刺した。
ポケットから出した後、右に回すとシャープペン、左に回すとボールペン、カチカチ切り替えて、周囲のスタッフに見せびらかしていた。
もう一つの土産は、キットカット抹茶味のファミリーパック。
キットカットはインドでもよく知られているお菓子だ。
「これは日本オリジナルの味だよ」と言って渡した。
「へーそうなのか、どれどれ」
マルコスは他のスタッフたちとチョコを食べ始めた。
「・・・」「・・・」「・・・」
みなリアクションが薄く、微妙な顔つきをしている。
どうやらチョコの甘みが足りないのが不満のようだ。
3年という月日は、物事を大きく変えてしまう。
痩身だったマルコスも、ぽっこりお腹がふくらんでいた。
「しばらく会わないうちに、随分と腹が出てきたんじゃないの?」
私が軽口を叩く。
「君も同じだろう」と言って、彼は私の腹を触りだした。
「あはは、そうだね」
二人で大笑い。
夕方、仕事を終えたマルコスが、私の宿に遊びにやってきた。
宿のロビーでお互いの近況報告をした。
私はスニの働いていたブティックが閉店していたことを話題にした。
「スニやシャンに会いたいよね?連絡をとってあげよう」
マルコスはスマホを取り出し、誰かと話し始めた。
いつも、そうだ。
この男がいると、事態が急速に動き始めるのだ。
電話の向こうで「ウオーーー」と男が叫んでいる。
私はマルコスのスマホを受け取った。
「日本人の俺のこと、覚えている?」
とシャンに聞く。
「もちろん。君のことは覚えているさ!今からそっちに行くから」
マルコスはスニにも電話してくれた。
「ゴメンね、どうしても仕事で都合がつかないの」
南インドを廻って3週間後、フライトの関係上またコーチンに戻って来るので、メールのやり取りをしながら日程を詰めよう、と彼女と再開を約束した。
「ハ~イ」
電話から1時間後、宿のロビーにシャンが現れた。
つづく
コーチン滞在の3日目、散歩途中に旧友と偶然の再会があった。
2013年、2015年、2018年、と彼に会うのはこれで3回目である。
「マルコス!職場が変わったんだね」
私はホテルの玄関前で掃き掃除をする男に声をかけた。
笑顔のマルコス。
「おーーーっ、君も元気そうだね。中に入らないか?話をしよう」
「ちょっと待って。君にお土産があるんだ。一回宿に戻るから、ちょっと待ってて」
宿に戻って、もう一度マルコスのいるホテルへ。
「こっち、こっち」
彼は私を厨房に招き入れ、カレーやチャトニ(つけだれ)の味見をさせてくれた。
厨房には料理人がいなくて、雑用の女性スタッフが数人いた。
「これ使ってよ、マルコス」
お土産として日本製のボールペンを渡した。
「おおーーーありがとう」
彼はいきなり包装箱を無造作に破り、ボールペンを胸ポケットに刺した。
ポケットから出した後、右に回すとシャープペン、左に回すとボールペン、カチカチ切り替えて、周囲のスタッフに見せびらかしていた。
もう一つの土産は、キットカット抹茶味のファミリーパック。
キットカットはインドでもよく知られているお菓子だ。
「これは日本オリジナルの味だよ」と言って渡した。
「へーそうなのか、どれどれ」
マルコスは他のスタッフたちとチョコを食べ始めた。
「・・・」「・・・」「・・・」
みなリアクションが薄く、微妙な顔つきをしている。
どうやらチョコの甘みが足りないのが不満のようだ。
3年という月日は、物事を大きく変えてしまう。
痩身だったマルコスも、ぽっこりお腹がふくらんでいた。
「しばらく会わないうちに、随分と腹が出てきたんじゃないの?」
私が軽口を叩く。
「君も同じだろう」と言って、彼は私の腹を触りだした。
「あはは、そうだね」
二人で大笑い。
夕方、仕事を終えたマルコスが、私の宿に遊びにやってきた。
宿のロビーでお互いの近況報告をした。
私はスニの働いていたブティックが閉店していたことを話題にした。
「スニやシャンに会いたいよね?連絡をとってあげよう」
マルコスはスマホを取り出し、誰かと話し始めた。
いつも、そうだ。
この男がいると、事態が急速に動き始めるのだ。
電話の向こうで「ウオーーー」と男が叫んでいる。
私はマルコスのスマホを受け取った。
「日本人の俺のこと、覚えている?」
とシャンに聞く。
「もちろん。君のことは覚えているさ!今からそっちに行くから」
マルコスはスニにも電話してくれた。
「ゴメンね、どうしても仕事で都合がつかないの」
南インドを廻って3週間後、フライトの関係上またコーチンに戻って来るので、メールのやり取りをしながら日程を詰めよう、と彼女と再開を約束した。
「ハ~イ」
電話から1時間後、宿のロビーにシャンが現れた。
つづく
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