20191123(土)

2018年インド旅行記・12


2018年インド旅行記・12

2月22日

コーチンに戻って最初に行ったのは問屋街。
食器とスパイスの買い付けが目的である。
問屋街は初めてではないので、すぐに金物屋は見つかり食器のオーダーを行う。
その場で梱包してもらい、エルナクラム中央郵便局で発送の手配を行った。
チェンナイでたらい回しにされたのがウソのように、実にスムーズに手配が進行し、あっという間に発送業務が終了した。



翌日、約束通りスニと再会した。
彼女は私の安宿のロビーまで、わざわざ出向いてくれた。

「君が言っていた通り、お土産を直接あなたに渡します」
チョコレートがたくさん入ったビニール袋を彼女に手渡した。
「そうそう、直接ね」と言って彼女は笑う。
「日本人は約束を守るでしょう?」
ドヤ顔の私。
「日本人じゃなくて、あなたが、よ」
スニは我慢ができず、袋の中身を外に出して確認を始めた。

キットカット2種詰め合わせ ファミリーパック
明治チョコ3種詰め合わせ ファミリーパック
きのこの山&たけのこの里 ファミリーパック
コアラのマーチ ファミリーパック
ブルボン アルフォート(ホワイトチョコクッキー)
グリコ ポッキー

スニが希望していた通り、山盛りのチョコレートである。
そしてピンク色のボールペンをプレゼントした。
サイズは小さいが、シャープペンとボールペンが切り替わるペンだ。

「やった!やった!」
スニは大喜び。
その場でチョコの封を切り、食べ始めた。
マルコスやシャンも同じようなリアクションだったけれど、インド人は本当にせっかちだ。
スニは満面の笑みで「美味しいー」を連発。
今回は無事お土産を渡せてよかった、よかった。

「これからどうする?」と聞く私に、「海を見にいきましょう」と答えるスニ。
「海?」

宿から10分ほど歩き、海岸へ。
海岸沿いの遊歩道を二人で歩いていく。
「♪~」
チョコを食べながら、上機嫌で歩くスニ。
インド人女性と一緒に並んで歩いている私。
まるでデートをしているような不思議な気分になってくる。

海が正面に見えるベンチに座って世間話をする。
「君の勤めていたブティックがなくなっていたよ」
と私が言った。
「そうね、あの店は値段が高かったから・・・コーチンとゴアの支店が閉鎖されたわ」
「そうなんだ。で、君は今働いているの?」
「ええ、今は医療事務の仕事をしているのよ」
「そうか、それはよかった」

私は空腹を感じていた。
「スニ。お昼ごはんは、ビリヤニを食べに行こう。確かムスリム街にお店あるよね?」
「わかったわ、行きましょう」
リキシャーに乗るが、なかなか走り出さない。
スニとドライバーが長々と話し込んでいる。
ようやく走りはじめたと思ったら、立派な店構えの店の前でリキシャーは止まった。
店の看板には、シルク、ジュエリーと大きく書いてあり、嫌な予感がしてきた。
ここはレストランではなく、高級土産物店だった。

高級土産物店!
私がここフォートコーチンで一番行きたくない所だ。
「スニ・・・なぜ?」なぜなんだー!
「まぁまぁ、とりあえず店に入りましょう」
彼女になだめられて店内へ。

スニは店主と現地語マラヤラムで談笑。
私にスタッフが近づいてきて、お土産の売り込みが始まった。
絨毯。
仏像。
やたらと細かい細工の置物。
スタッフは私が外国人なので値段の高いものばかり勧めてくる。
私の心は1ミリも動かない。
買う気がないものの、何度も売り込みを断っていくのはストレスが溜まる。

「もう、疲れたよ」
店員に聞こえない程度の小声でスニに苦情を言った。
「ドライバーの彼は、私たちが店に入っただけでコミッション(手数料)を土産店の店主からもらっているのよ。少し協力してあげて」
「うーーん・・・わかった。でも買わないからね」

スニは観光地コーチンで長く暮らしているので、リキシャードライバーが経済的に恵まれていないと知っている。
だから彼女は頼まれたら断れない。
買う気が全くない土産物店巡りに5軒付き合わされ、ビリヤニ屋にようやく着いたのは1時間半後のことであった。

つづく






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sansara
旅が好き、音楽が好き、そしてカレーが大好きで、カレー店を始めることになりました。どうぞよろしくお願いします。

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