20191124(日)

2018年インド旅行記・13


2018年インド旅行記・13

2月24日

昨日に引き続き、本日もスニと一緒に行動。
彼女は私のために、わざわざ休みを2日取ってくれたのである。

安宿のロビーに、約束の30分遅れでスニが現れた。
「ん?」
スニはいつも民族衣装を着ているのだが、私には今までと同じものに見えない。
一目で良質な生地を使っているのがわかり、模様も上品な感じだ。
今日の彼女の服装は「気合」が入っているのだ。
前日の会話で私が「明日高級ホテルで昼食したいので、付き合ってほしい」
と話したからかもしれない。

エルナクラム(新市街)へ移動し、二人で高級ホテルのレストランで食事。
私はミールスとエビカレーをオーダー。
メニューを見たスニが、野菜ビリヤニをオーダーする。
「昨日ビリヤニ食べたよね。また食べるの?」
確認する私。
「好きだから何回食べても平気」
スニの言葉に、あきれる私。
インド人にとってのビリヤニは、日本人の外食での寿司だ。
ハレの日のご馳走。
スニが執着するのも理解してあげないとな。

「ここのビリヤニは今一つね。少し脂っぽい」
ところが食事に不満を言うスニ。
おいおい・・・
それでも追加注文したアイスクリームを彼女は実に美味しそうに食べていた。
スイーツは別腹なのは、インド女性も同様だった。

「これからどうする?映画でも見るかい」
レストランを出たあとに私が言うと、スニは気乗りしないよう表情をしている。
「映画・・・それよりも戻って色々話しましょうよ」
私の宿の2階が食堂になっているので、そこでおしゃべりしようと提案された。
彼女は既婚女性が外国人男性と二人で映画はマズイ、と思ったのかもしれない。
「じゃあ、戻ろうか」

私の宿に戻り、スニ先生の料理教室が始まった。
「ケララ伝統の卵カレーの作り方~♪」
上機嫌な彼女は歌うようにレシピの内容を口に出し、私のノートに書いていく。
そのピンクのボールペン・・・
彼女が持っているペンは私が昨日プレゼントしたものだ。
早速使ってくれて嬉しく感じる。

料理教室の次は、写真の撮影会だ。
スニはブロマイド写真のようなポーズをとり、自分の写真をとってくれという。
撮影後に彼女のスマホに写真を送った。
楽しそうに笑う彼女の表情を見て、私も嬉しかった。

他愛のない話をしていたら、気がつくと夕方になっていた。
「食事の準備をするので、そろそろ帰ります」
「2日間楽しかった。ありがとう、スニ」
「うん。またコーチンに来たときは連絡してね」
宿から外に出て、リキシャーに乗ったスニを見えなくなるまで手を振って見送る。
スニは帰っていった。




自分の妻が2日間も私と遊んで、スニの夫はどう思っているのか?
今回の訪問でスニに会ったときに、彼女の夫を紹介してもらうのが本来のスジだろう。
しかし、そうはならなかった。
スニの夫は、私が彼女と会っていることを知らない。
なぜなら、スニの結婚生活は破綻しており、現在夫と別居をしているからだ。

「夫はヒドイ人。この生活に耐えられない」
今回の旅行前に彼女からメールで何度か相談(というよりも愚痴)を受けたことがあって、そのたびに「何とか、やり直せないのかい?」と返信していた。
暴力なのか、浮気なのか、金銭トラブルなのか。
スニが具体的に語ろうとしないので何が問題なのか、よくわからない。
詳しい事情がメールではわからないし、「旦那と別れて新しい人生を始めたらどうか」とは無責任過ぎて言えない。

その後彼女から「結局、夫と別居することになりました」とメールがあった。
彼女の夫は料理人だと聞いていたので、本当は会って色々話を聞いてみたかった。
残念ながら、その希望はもう叶わない。

今回彼女と会っているとき、私はこの話題には一切触れていない。
また彼女から話し出すこともなかった。
彼女が今どのような生活をしているのかは、詳しくはわからない。
おそらく金銭的な不安もあるだろうし、別居ということで周囲の目も気になるだろう。
彼女は現在、何かとシンドイ毎日なのではないのか?と想像はしていた。

次に彼女と会うときは、どうなっているのか?
状況が好転していればよいのだが、としか言えない。
彼女に対して私の出来ること・・・
色々考えてみたけれど、現実的に私に出来ることはほとんどない、と感じた。
彼女と会ったときに、楽しい時間を一緒に過ごすこと。
これくらいしか思いつかなかった。

だから、いつかまたコーチンに来る機会があれば、私はきっとスニに会うのだろう。

つづく






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