2019年11月30日(土)
2018年インド・スリランカ旅行記・19
旅行記×41
3月7日
40日の旅程を終え、日本への帰路に着くことになった。
空港での搭乗手続きも滞りなく終わり、フライトの遅延はないとの情報。
ここまで順調である。
乗り込んだスリランカ航空の機内で、面白い出会いがあった。
私の隣に座った男はパキスタン国籍で、日本で働くパキスタン料理のシェフだったのだ。
スリランカ航空はコロンボを中継地として、パキスタンにも路線がたくさんある。
だからスリランカ人以外に、パキスタン人がたくさん乗ってくる。
彼の日本語はペラペラ。
「私も料理人で北海道でカレー屋やってます」と彼に言うと「ホントに?」と驚いていた。
彼は入国カードの書き方を教えてほしい、と私に話かけてきた。
書いてある内容が理解できないのかと思ったが、詳しく話を聞くと自由に読み書きができないようなのである。
私が代筆してあげたら、彼はとても喜んでくれた。
飛行機の離陸後に機内サービスが始まり、乗客に食事と飲み物が配られ始める。
私はビールをオーダーした。
「アサヒ スーパードライ」
久しぶりの日本のビールにテンションが上がる。
おや?
隣のパキスタンの彼も、スーパードライをオーダーした。
私はあっという間にビールを飲み干し、キャビンアテンダントにビールを追加オーダーする。
隣を見ると、彼は上機嫌で赤ワインを追加でオーダーしている。
どうも彼はムスリム(イスラム教徒)のように見えるが、飲酒は問題ないのか?
疑問に思ったので、ズバリ本人に聞いてみた。
「この機内では周りにムスリムがいないようだ。誰も私の飲酒を見ていないから、問題はないのです」
「えーーー!そういうものなのですか!?」驚く私。
ムスリムにも戒律を厳格に守る人もいるし、彼のように柔軟に解釈する人もいる。
あくまでも個人差があるということか。
「誰も見ていないからOK・・・でもね、私は思うのです。あなたの神さま、アッラーは飲酒するあなたのことを見ているんじゃないのかな?」
軽い冗談のつもりで、でも鋭いツッコミを彼に入れてみた。
「・・・・・・アッラーも見ていない、問題ないね」
はっきりと断言した。
しかし彼は私からの視線を逸らしていたのだ!
ほぼ定刻通りに飛行機は成田空港に到着した。
入国手続きを終えた私がまずやること・・・・
麺料理を食べたくてしょうがない。
ラーメン、そば、うどん。
汁気のある麺料理を、なんでもいいから無性に食べたい。
このあと国内線を乗り継いで北海道に戻らなければいけない。
地元に戻って食べればいいじゃないか、と理性では思う。
しかし・・・それまで待てない、我慢できない。
それにしても3年前の帰国時は、ここまで食のホームシックにかかった記憶がない。
私は空港内で一番最初に目に入ったうどん屋に入った。
オーダーは天ぷらうどんだ。
だしの香り。
ネギのシャリ感、さくさくの天ぷらの食感も最高。
つるつる麺の、のど越し感もたまらない。
ズズーーーーー
ズズズーーーー
「ふーーーーっ」
美味いな・・・至福の時間。
あれ?
確か私は・・・カレーの勉強をしにインドまで行ったはずだが・・・
カレーの事は完全に脳裏から消えていた。
つづく?
40日の旅程を終え、日本への帰路に着くことになった。
空港での搭乗手続きも滞りなく終わり、フライトの遅延はないとの情報。
ここまで順調である。
乗り込んだスリランカ航空の機内で、面白い出会いがあった。
私の隣に座った男はパキスタン国籍で、日本で働くパキスタン料理のシェフだったのだ。
スリランカ航空はコロンボを中継地として、パキスタンにも路線がたくさんある。
だからスリランカ人以外に、パキスタン人がたくさん乗ってくる。
彼の日本語はペラペラ。
「私も料理人で北海道でカレー屋やってます」と彼に言うと「ホントに?」と驚いていた。
彼は入国カードの書き方を教えてほしい、と私に話かけてきた。
書いてある内容が理解できないのかと思ったが、詳しく話を聞くと自由に読み書きができないようなのである。
私が代筆してあげたら、彼はとても喜んでくれた。
飛行機の離陸後に機内サービスが始まり、乗客に食事と飲み物が配られ始める。
私はビールをオーダーした。
「アサヒ スーパードライ」
久しぶりの日本のビールにテンションが上がる。
おや?
隣のパキスタンの彼も、スーパードライをオーダーした。
私はあっという間にビールを飲み干し、キャビンアテンダントにビールを追加オーダーする。
隣を見ると、彼は上機嫌で赤ワインを追加でオーダーしている。
どうも彼はムスリム(イスラム教徒)のように見えるが、飲酒は問題ないのか?
疑問に思ったので、ズバリ本人に聞いてみた。
「この機内では周りにムスリムがいないようだ。誰も私の飲酒を見ていないから、問題はないのです」
「えーーー!そういうものなのですか!?」驚く私。
ムスリムにも戒律を厳格に守る人もいるし、彼のように柔軟に解釈する人もいる。
あくまでも個人差があるということか。
「誰も見ていないからOK・・・でもね、私は思うのです。あなたの神さま、アッラーは飲酒するあなたのことを見ているんじゃないのかな?」
軽い冗談のつもりで、でも鋭いツッコミを彼に入れてみた。
「・・・・・・アッラーも見ていない、問題ないね」
はっきりと断言した。
しかし彼は私からの視線を逸らしていたのだ!
ほぼ定刻通りに飛行機は成田空港に到着した。
入国手続きを終えた私がまずやること・・・・
麺料理を食べたくてしょうがない。
ラーメン、そば、うどん。
汁気のある麺料理を、なんでもいいから無性に食べたい。
このあと国内線を乗り継いで北海道に戻らなければいけない。
地元に戻って食べればいいじゃないか、と理性では思う。
しかし・・・それまで待てない、我慢できない。
それにしても3年前の帰国時は、ここまで食のホームシックにかかった記憶がない。
私は空港内で一番最初に目に入ったうどん屋に入った。
オーダーは天ぷらうどんだ。
だしの香り。
ネギのシャリ感、さくさくの天ぷらの食感も最高。
つるつる麺の、のど越し感もたまらない。
ズズーーーーー
ズズズーーーー
「ふーーーーっ」
美味いな・・・至福の時間。
あれ?
確か私は・・・カレーの勉強をしにインドまで行ったはずだが・・・
カレーの事は完全に脳裏から消えていた。
つづく?
2019年11月29日(金)
ミールスあります
こんにちは、サンサーラです。
今週末(11月30日~12月1日)のお知らせです。
①今週末はミールスmeals 1500円(数量限定)を提供いたします。
ミールスはカトリと呼ばれる小皿がたくさん乗った、南インドのカレー定食です。
メインのカレー2種の他、南インドの代表的な菜食カレーであるサンバル・ラッサム、ピクルス、ヨーグルト、野菜炒め、パパド(豆の煎餅)がセット内容となります。
是非混ぜながら食べてみてください。
手食を試したい方はフィンガーボール(手桶)を用意いたしますので、スタッフに申し付けください。
②今週の特別カレー
●マドラスビーフ 1100円
インドでは大変珍しい牛肉のカレー。
主にムスリム(イスラム教徒)のコミュニティで食されています。
是非お試しください。
今週末(11月30日~12月1日)のお知らせです。
①今週末はミールスmeals 1500円(数量限定)を提供いたします。
ミールスはカトリと呼ばれる小皿がたくさん乗った、南インドのカレー定食です。
メインのカレー2種の他、南インドの代表的な菜食カレーであるサンバル・ラッサム、ピクルス、ヨーグルト、野菜炒め、パパド(豆の煎餅)がセット内容となります。
是非混ぜながら食べてみてください。
手食を試したい方はフィンガーボール(手桶)を用意いたしますので、スタッフに申し付けください。
②今週の特別カレー
●マドラスビーフ 1100円
インドでは大変珍しい牛肉のカレー。
主にムスリム(イスラム教徒)のコミュニティで食されています。
是非お試しください。
2019年11月29日(金)
2018年インド・スリランカ旅行記・18
旅行記×41
3月5日
ヒッカドゥワ滞在最終日。
「レイコさんが時間の都合がついたって言っていたよ、遊びにいきましょう」
カオリさんと二人で、スリヤンガ宅に向かった。
「もう3年も経ちましたか?1年くらいかと思っていました」
レイコさんが笑って迎えてくれた。
お土産にS&Bゴールデンカレーを渡した。
前回と同じでカレーがお土産だったけれど、受け取った彼女は嬉しそうな表情。
スリヤンガは仕事の都合で残念ながら会えなかった。
私が急にやってきたのだから、それは仕方がない。
レイコさんは昼食を私のために用意してくれていて感謝しかない。
彼女の作る伝統的なスリランカ料理は、素晴らしく美味しかった。
まずレイコさんに、前回のホームステイのお礼を言った。
「私の店でスリランカの家庭料理を提供していますが、とても評判がいいです。
お世話になり、ありがとうございました」
レイコさんはとても喜んでくれた。
「その後、プロの料理人はこちらへ訪問していますか?」
と私が聞くと、
「料理を習いに来た人が何人かいましたが、プロとは言っていませんでしたね」
私の旅の話の中で、北部の町・ジャフナの話は、特にレイコさんの興味を引いたようである。
彼女もスリヤンガも、ジャフナには今まで一度も行ったことがないそうだ。
戦争が終わって10年も経っているのに、まだ恐怖感が残っているのだろうか。
「戦争の爪痕は、まだ残っているようでしたか」と彼女から聞かれる。
「いえ、観光客としてなら、感じることはないですね、ただ・・・」
「何か気になることでも?」
「タミル人の他に、シンハラ人もたくさん住んでいる感じでした」
「ああ、それは政府がシンハラ人に、ジャフナへの移住を勧めているからです」
博識な彼女はスリランカのことなら、なんでも知っている。
私は以前から感じていた疑問を彼女に尋ねてみることにした。
「タミル側から不満分子というか、戦争をもう一度起こそうという動きはないのですか」
「それは、もうないと思います」
断言するレイコさん。
「なぜですか」
「戦争の指導者が全員殺されて内戦が終結しています。末端の兵士達は厭戦気分で戦争をやめたがっていましたから」
「そうなんですか、すっきりしました」
彼女は本当になんでも知っている。
「ジャフナで色々食べたのですが、南インドそっくりでしたね」
私はスリランカ北部・タミル料理の感想を言った。
「ヌワラエリアが面白いと思いますよ。植民地時代に強制労働で連れてこられたタミル人の子孫が結構住んでいて、食文化もシンハラ人のものとミックスしているようです」
と、レイコさんが教えてくれた。
紅茶で有名なヌワラエリアだが、私は料理の勉強のため、将来ここを訪問することになりそうだ。
「いやーー勉強になります。それは興味深いですね」
彼女は本当になんでも知っている。
レイコさんから、いつまでもスリランカの話を聞いていたい気分だったが、コロンボ行きのバスに乗らなければならない。
ありがとう、レイコさん。
レイコさんに別れを告げ、カオリさんの車でバス亭まで送ってもらった。
「またヒッカドゥワに遊びにきてくださいね」
ありがとう、カオリさん。
お世話になったカオリさんに深々と日本式お辞儀をしたら、ニコニコ笑って手を振っていた。
「じゃあ、また来ますね!」
やはり、またスリランカに来なくてはならないようだ。
スリランカ料理の勉強は終わりそうもない。
知れば知るほどわからないことが増え、調べなければいけないことが増えていく。
でも、そこがいい。
自分が好きでやっている仕事だから。
つづく
ヒッカドゥワ滞在最終日。
「レイコさんが時間の都合がついたって言っていたよ、遊びにいきましょう」
カオリさんと二人で、スリヤンガ宅に向かった。
「もう3年も経ちましたか?1年くらいかと思っていました」
レイコさんが笑って迎えてくれた。
お土産にS&Bゴールデンカレーを渡した。
前回と同じでカレーがお土産だったけれど、受け取った彼女は嬉しそうな表情。
スリヤンガは仕事の都合で残念ながら会えなかった。
私が急にやってきたのだから、それは仕方がない。
レイコさんは昼食を私のために用意してくれていて感謝しかない。
彼女の作る伝統的なスリランカ料理は、素晴らしく美味しかった。
まずレイコさんに、前回のホームステイのお礼を言った。
「私の店でスリランカの家庭料理を提供していますが、とても評判がいいです。
お世話になり、ありがとうございました」
レイコさんはとても喜んでくれた。
「その後、プロの料理人はこちらへ訪問していますか?」
と私が聞くと、
「料理を習いに来た人が何人かいましたが、プロとは言っていませんでしたね」
私の旅の話の中で、北部の町・ジャフナの話は、特にレイコさんの興味を引いたようである。
彼女もスリヤンガも、ジャフナには今まで一度も行ったことがないそうだ。
戦争が終わって10年も経っているのに、まだ恐怖感が残っているのだろうか。
「戦争の爪痕は、まだ残っているようでしたか」と彼女から聞かれる。
「いえ、観光客としてなら、感じることはないですね、ただ・・・」
「何か気になることでも?」
「タミル人の他に、シンハラ人もたくさん住んでいる感じでした」
「ああ、それは政府がシンハラ人に、ジャフナへの移住を勧めているからです」
博識な彼女はスリランカのことなら、なんでも知っている。
私は以前から感じていた疑問を彼女に尋ねてみることにした。
「タミル側から不満分子というか、戦争をもう一度起こそうという動きはないのですか」
「それは、もうないと思います」
断言するレイコさん。
「なぜですか」
「戦争の指導者が全員殺されて内戦が終結しています。末端の兵士達は厭戦気分で戦争をやめたがっていましたから」
「そうなんですか、すっきりしました」
彼女は本当になんでも知っている。
「ジャフナで色々食べたのですが、南インドそっくりでしたね」
私はスリランカ北部・タミル料理の感想を言った。
「ヌワラエリアが面白いと思いますよ。植民地時代に強制労働で連れてこられたタミル人の子孫が結構住んでいて、食文化もシンハラ人のものとミックスしているようです」
と、レイコさんが教えてくれた。
紅茶で有名なヌワラエリアだが、私は料理の勉強のため、将来ここを訪問することになりそうだ。
「いやーー勉強になります。それは興味深いですね」
彼女は本当になんでも知っている。
レイコさんから、いつまでもスリランカの話を聞いていたい気分だったが、コロンボ行きのバスに乗らなければならない。
ありがとう、レイコさん。
レイコさんに別れを告げ、カオリさんの車でバス亭まで送ってもらった。
「またヒッカドゥワに遊びにきてくださいね」
ありがとう、カオリさん。
お世話になったカオリさんに深々と日本式お辞儀をしたら、ニコニコ笑って手を振っていた。
「じゃあ、また来ますね!」
やはり、またスリランカに来なくてはならないようだ。
スリランカ料理の勉強は終わりそうもない。
知れば知るほどわからないことが増え、調べなければいけないことが増えていく。
でも、そこがいい。
自分が好きでやっている仕事だから。
つづく
2019年11月28日(木)
2018年インド・スリランカ旅行記・17
旅行記×41
3月3日
ヒッカドゥワでの滞在中、私はカオリさんの部屋にちょくちょく顔を出し、世間話につきあってもらった。
日本語でたっぷり会話ができるのが心地よいし、カオリさんは関西出身ということもあって、サービス精神旺盛で話をして楽しいのだ。
彼女から、夫であるキンスリーの話を色々聞くことができた。
キンスリーは筋トレが趣味である。
彼は私と年齢が同じなのだが、細マッチョでスタイルがよく、非常に若々しく見える。
「ちょっと聞いてくれます?キンスリーが私を最初にデートに誘ったとき、なんて言ったか」
おかしくてたまらない表情をするカオリさん。
「なんて言ったんですか、彼は」
「僕と一緒に浜辺でトレーニングしないか、よ」
「マジですかw」
「あっはは。ウケるでしょう?」
「それで、一緒にやったんですか。トレーニング」
「うん、でも毎朝6時から始まるのよ」
「マジですかwww」
カオリさんの話によると、キンスリーは苦労人だ。
今でこそ大きなゲストハウスの経営者だが、若いころイタリアで出稼ぎした金をもとに部屋2つの小さなゲストハウスを始めた。
彼の人柄が信用され、欧米からの長期客が増加し、少しずつ増築して現在の大きなゲストハウスになった。
そしてキンスリーは日本人が好きらしい。
他のシンハラ人と比較すると、彼の顔は濃くない。
子供のころ、日本人みたいな顔と言われ、彼は嬉しかったそうだ。
カオリさんと結婚したあと日本で生活した経験があるが、和食が全く合わなかったらしく、
いつも自分でカレーを作って食べていたようである。
夕方に、カオリさんが私の部屋をノックする。
「キンスリーがマトンカレー作ったから、食べに来ないかって言ってるよ」
マトンカレーだと!?
「行きます行きます。絶対行きます」
スリランカ人が作るマトンカレーは、今まで一度も食べたことがない。
まさに千載一遇のチャンスだ。
初めて目にするマトンカレー。
羊肉はキンスリーが、わざわざゴールの町まで買いに行ったそうだ。
ゴールはムスリム(イスラム教徒)人口の多い町だから、羊肉の需要があるのだ。
お皿にライスが乗り、マトンカレー、豆カレー、サラダが盛りつけられている。
これが目をひんむくくらい美味かった。
マトンカレーは、カルダモンとブラックペッパーが強烈に自己主張している。
臭み消しのジンジャーも良い風味だ。
「美味いよ!キンスリー、美味い」
夢中になってガツガツ食べていく。
キンスリーも満足気な表情で嬉しそう。
「どんなスパイスを使っているの?」
キンスリーに作り方を根掘り葉掘り聞いた。
これは絶対に店に戻ってから、メニューに加えなけらばならない。
3月4日
時間があったので観光地のゴールへ行った。
欧米人、アジアからも観光客がたくさん来ていた。
観光の見どころは城塞跡だが、周辺も含め半日あれば十分。
私が次回ゴールへ来るときは、観光ではなく、ムスリム料理を勉強するために訪問することになるだろう。
ゴールから戻った私は、宿の近くにあるスーパーマーケットへ出かけた。
外食に飽きてきたので、久しぶりに自炊をしようと思ったのだ。
夕食は久し振りにパスタを調理した。
香辛料は塩胡椒のみのシンプルな味付けだが、非常に美味しく感じた。
冷蔵庫からキンキンに冷えたビールを出して、グビグビ飲む。
カオリさんがマトンカレーを持って部屋に遊びに来た。
「キンスリーが友達に自慢してたよ。俺のカレーは日本の料理人に褒められたって」
「そうなんだ。ほんとに美味しかったからね」
「そういえば、キンスリーは仕事があるはずなのに、なんか私の所にずっといようとするんだよね」
カオリさんは不思議そうな顔をする。
「そりゃそうですよ、久しぶりにカオリさんがスリランカに戻ってきたのだから」
「そう?」
「絶対そうですって」
スリランカではアーユルヴェーダの施設を立ち上げ、オフシーズンには南インドでヨガの修行をしている。
人生を謳歌する自由人のカオリさん。
前回の旅ではスリヤンガ・レイコ夫妻にお世話になったが、今回はキンスリー・カオリ夫妻と深く関わることになった。
人の縁とは、本当に面白いと思う。
つづく
ヒッカドゥワでの滞在中、私はカオリさんの部屋にちょくちょく顔を出し、世間話につきあってもらった。
日本語でたっぷり会話ができるのが心地よいし、カオリさんは関西出身ということもあって、サービス精神旺盛で話をして楽しいのだ。
彼女から、夫であるキンスリーの話を色々聞くことができた。
キンスリーは筋トレが趣味である。
彼は私と年齢が同じなのだが、細マッチョでスタイルがよく、非常に若々しく見える。
「ちょっと聞いてくれます?キンスリーが私を最初にデートに誘ったとき、なんて言ったか」
おかしくてたまらない表情をするカオリさん。
「なんて言ったんですか、彼は」
「僕と一緒に浜辺でトレーニングしないか、よ」
「マジですかw」
「あっはは。ウケるでしょう?」
「それで、一緒にやったんですか。トレーニング」
「うん、でも毎朝6時から始まるのよ」
「マジですかwww」
カオリさんの話によると、キンスリーは苦労人だ。
今でこそ大きなゲストハウスの経営者だが、若いころイタリアで出稼ぎした金をもとに部屋2つの小さなゲストハウスを始めた。
彼の人柄が信用され、欧米からの長期客が増加し、少しずつ増築して現在の大きなゲストハウスになった。
そしてキンスリーは日本人が好きらしい。
他のシンハラ人と比較すると、彼の顔は濃くない。
子供のころ、日本人みたいな顔と言われ、彼は嬉しかったそうだ。
カオリさんと結婚したあと日本で生活した経験があるが、和食が全く合わなかったらしく、
いつも自分でカレーを作って食べていたようである。
夕方に、カオリさんが私の部屋をノックする。
「キンスリーがマトンカレー作ったから、食べに来ないかって言ってるよ」
マトンカレーだと!?
「行きます行きます。絶対行きます」
スリランカ人が作るマトンカレーは、今まで一度も食べたことがない。
まさに千載一遇のチャンスだ。
初めて目にするマトンカレー。
羊肉はキンスリーが、わざわざゴールの町まで買いに行ったそうだ。
ゴールはムスリム(イスラム教徒)人口の多い町だから、羊肉の需要があるのだ。
お皿にライスが乗り、マトンカレー、豆カレー、サラダが盛りつけられている。
これが目をひんむくくらい美味かった。
マトンカレーは、カルダモンとブラックペッパーが強烈に自己主張している。
臭み消しのジンジャーも良い風味だ。
「美味いよ!キンスリー、美味い」
夢中になってガツガツ食べていく。
キンスリーも満足気な表情で嬉しそう。
「どんなスパイスを使っているの?」
キンスリーに作り方を根掘り葉掘り聞いた。
これは絶対に店に戻ってから、メニューに加えなけらばならない。
3月4日
時間があったので観光地のゴールへ行った。
欧米人、アジアからも観光客がたくさん来ていた。
観光の見どころは城塞跡だが、周辺も含め半日あれば十分。
私が次回ゴールへ来るときは、観光ではなく、ムスリム料理を勉強するために訪問することになるだろう。
ゴールから戻った私は、宿の近くにあるスーパーマーケットへ出かけた。
外食に飽きてきたので、久しぶりに自炊をしようと思ったのだ。
夕食は久し振りにパスタを調理した。
香辛料は塩胡椒のみのシンプルな味付けだが、非常に美味しく感じた。
冷蔵庫からキンキンに冷えたビールを出して、グビグビ飲む。
カオリさんがマトンカレーを持って部屋に遊びに来た。
「キンスリーが友達に自慢してたよ。俺のカレーは日本の料理人に褒められたって」
「そうなんだ。ほんとに美味しかったからね」
「そういえば、キンスリーは仕事があるはずなのに、なんか私の所にずっといようとするんだよね」
カオリさんは不思議そうな顔をする。
「そりゃそうですよ、久しぶりにカオリさんがスリランカに戻ってきたのだから」
「そう?」
「絶対そうですって」
スリランカではアーユルヴェーダの施設を立ち上げ、オフシーズンには南インドでヨガの修行をしている。
人生を謳歌する自由人のカオリさん。
前回の旅ではスリヤンガ・レイコ夫妻にお世話になったが、今回はキンスリー・カオリ夫妻と深く関わることになった。
人の縁とは、本当に面白いと思う。
つづく
2019年11月27日(水)
2018年インド・スリランカ旅行記・16
旅行記×41
3月2日
北部の町ジャフナから東海岸のトリンコマリーに行くか迷ったが、結局キャンディに南下することにした。
キャンディの訪問は2回目。
街のシンボルであるキャンディ湖を眺めながら、この後の旅の日程をどうするか悩む。
ヌワラエリアは紅茶で有名な町で、一度は訪問しておきたいと考えていた。
しかし、なぜか気乗りがしなかった。
「そうだ」
私は前回の旅でゴールを訪問したかったが、結局行けなかったことを思い出した。
南西部の町ゴール。
あれ?
ゴールってヒッカドゥワの隣町だったはずだ。
とりあえず前回ホームステイでお世話になった町、ヒッカドゥワに行ってみようか。
決めた。
ヒッカドゥワに行こう。
「キンスリーの宿に泊まりたいので、連絡先を知っていたら教えてくれませんか?」
レイコさんに、スマホからメールを送ってみた。
彼女はヒッカドゥワ在住で夫婦で旅行代理店を経営している。
3年前にホームステイの件で大変お世話になった人だ。
キンスリーはレイコさんの知人であり、私も彼と面識があった。
せっかくなら、知り合いがやっている宿に泊まろうと思ったのだ。
すぐに返信が来た。
キンスリーのゲストハウスは満室らしいが、新しく作った宿に空きがあるかもしれない。
直接カオリさんに聞いてみてください、と彼女の携帯番号が書いてあった。
カオリさんも3年前に会っていて面識がある。
彼女はキンスリーの奥様だから、直接話をしたほうが早い。
「大丈夫。空いていますよ」
早速カオリさんに電話して、泊まれることを確認。
彼女が私のことを覚えてくれていて一安心する。
キャンディからコロンボ経由で、その日のうちにヒッカドゥワへ移動する。
到着後はスリーウィラー(3輪タクシー)を捕まえて、キンスリーのゲストハウスに向かう。
ここでカオリさんと待ち合わせ。
私のことはスタッフに話が伝わっているようで、ロビーで待っているよう言われる。
私の到着をスタッフから連絡を受け、カオリさんが現れて再会を果たす。
「もう3年たったの?早いねー」ニコニコ笑っている。
彼女の車に乗り、新しい宿へ移動。
「あなたはタイミングがいいよ、ホントに」とカオリさんが言う。
実は彼女、ヨガの修行のため南インドに長期滞在中なのだが、たまたまスリランカに戻ってきていたのだ。
「そうですね。でも世の中には偶然はなく、全てが必然という考えもある。
ここでカオリさんと会うのは必然かも」
私は知ったかぶりのスピリチュアル思想を開陳した。
「あっははは。そうかもねー」
笑うカオリさん。
到着したのは3階建ての豪奢な建物。
1階はアーユルヴェーダの施設。
3年前に彼女が語っていた夢は実現されていたのだ。
今はオフシーズンなので、施設は閉鎖されており、スタッフも帰しているのだという。
2階3階が客室となっているが、本来は施設の営業期間にスタッフが使用する部屋らしい。
客室の総数は全部で4室。
私の部屋は3階だった。
客室の間取りは、入口からすぐに10畳以上の広さがある寝室があり、ダブルベッドが置いてある。
寝室はエアコン完備である。
浴室はトイレが一体式だが、4畳半くらいの広さがある。
もう一部屋が20畳くらいあるリビングなのだが、外に面する壁がなく、常に外気に触れる開放的な空間となっている。
カウンターやキッチンも備わっており、4人掛けテーブルが置いてある。
一人で泊まるには十分すぎる広さの部屋である。
個人的に嬉しかったのはキッチンと冷蔵庫があったこと。
自分で料理ができて、冷えたビールがいつでも飲めるのは非常にありがたい。
カオリさんとキンスリーの部屋が2階となっていて、3階にいく通路は必ずこの部屋の前を通ることになっている。
しかも通路に接しているリビングには窓がなく、格子状の木枠があるだけで誰か部屋にいたら丸見えなのだ。
カオリさんが部屋にいたので、お土産を渡しにいった。
S&Bゴールデンカレー(辛口)
成田空港に行く途中に寄ったコンビニで、これしか売っていなかったのだ!
「あはは!カレー屋さんだけに、お土産もカレーなのね」
やはりカオリさんは、面白い人だ!
迷ったけれど、ヒッカドゥワに来てよかった。
旅の日数は残り少なくなっているが、意心地がいいので、ここでのんびりしようと決めた。
つづく
北部の町ジャフナから東海岸のトリンコマリーに行くか迷ったが、結局キャンディに南下することにした。
キャンディの訪問は2回目。
街のシンボルであるキャンディ湖を眺めながら、この後の旅の日程をどうするか悩む。
ヌワラエリアは紅茶で有名な町で、一度は訪問しておきたいと考えていた。
しかし、なぜか気乗りがしなかった。
「そうだ」
私は前回の旅でゴールを訪問したかったが、結局行けなかったことを思い出した。
南西部の町ゴール。
あれ?
ゴールってヒッカドゥワの隣町だったはずだ。
とりあえず前回ホームステイでお世話になった町、ヒッカドゥワに行ってみようか。
決めた。
ヒッカドゥワに行こう。
「キンスリーの宿に泊まりたいので、連絡先を知っていたら教えてくれませんか?」
レイコさんに、スマホからメールを送ってみた。
彼女はヒッカドゥワ在住で夫婦で旅行代理店を経営している。
3年前にホームステイの件で大変お世話になった人だ。
キンスリーはレイコさんの知人であり、私も彼と面識があった。
せっかくなら、知り合いがやっている宿に泊まろうと思ったのだ。
すぐに返信が来た。
キンスリーのゲストハウスは満室らしいが、新しく作った宿に空きがあるかもしれない。
直接カオリさんに聞いてみてください、と彼女の携帯番号が書いてあった。
カオリさんも3年前に会っていて面識がある。
彼女はキンスリーの奥様だから、直接話をしたほうが早い。
「大丈夫。空いていますよ」
早速カオリさんに電話して、泊まれることを確認。
彼女が私のことを覚えてくれていて一安心する。
キャンディからコロンボ経由で、その日のうちにヒッカドゥワへ移動する。
到着後はスリーウィラー(3輪タクシー)を捕まえて、キンスリーのゲストハウスに向かう。
ここでカオリさんと待ち合わせ。
私のことはスタッフに話が伝わっているようで、ロビーで待っているよう言われる。
私の到着をスタッフから連絡を受け、カオリさんが現れて再会を果たす。
「もう3年たったの?早いねー」ニコニコ笑っている。
彼女の車に乗り、新しい宿へ移動。
「あなたはタイミングがいいよ、ホントに」とカオリさんが言う。
実は彼女、ヨガの修行のため南インドに長期滞在中なのだが、たまたまスリランカに戻ってきていたのだ。
「そうですね。でも世の中には偶然はなく、全てが必然という考えもある。
ここでカオリさんと会うのは必然かも」
私は知ったかぶりのスピリチュアル思想を開陳した。
「あっははは。そうかもねー」
笑うカオリさん。
到着したのは3階建ての豪奢な建物。
1階はアーユルヴェーダの施設。
3年前に彼女が語っていた夢は実現されていたのだ。
今はオフシーズンなので、施設は閉鎖されており、スタッフも帰しているのだという。
2階3階が客室となっているが、本来は施設の営業期間にスタッフが使用する部屋らしい。
客室の総数は全部で4室。
私の部屋は3階だった。
客室の間取りは、入口からすぐに10畳以上の広さがある寝室があり、ダブルベッドが置いてある。
寝室はエアコン完備である。
浴室はトイレが一体式だが、4畳半くらいの広さがある。
もう一部屋が20畳くらいあるリビングなのだが、外に面する壁がなく、常に外気に触れる開放的な空間となっている。
カウンターやキッチンも備わっており、4人掛けテーブルが置いてある。
一人で泊まるには十分すぎる広さの部屋である。
個人的に嬉しかったのはキッチンと冷蔵庫があったこと。
自分で料理ができて、冷えたビールがいつでも飲めるのは非常にありがたい。
カオリさんとキンスリーの部屋が2階となっていて、3階にいく通路は必ずこの部屋の前を通ることになっている。
しかも通路に接しているリビングには窓がなく、格子状の木枠があるだけで誰か部屋にいたら丸見えなのだ。
カオリさんが部屋にいたので、お土産を渡しにいった。
S&Bゴールデンカレー(辛口)
成田空港に行く途中に寄ったコンビニで、これしか売っていなかったのだ!
「あはは!カレー屋さんだけに、お土産もカレーなのね」
やはりカオリさんは、面白い人だ!
迷ったけれど、ヒッカドゥワに来てよかった。
旅の日数は残り少なくなっているが、意心地がいいので、ここでのんびりしようと決めた。
つづく